詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

読むこと、書くこと

2023年11月17日 | 
ほのかにあかく流れていく時間を
日々惜しむことはできるでしょうか
空へ時間へ挑むようにそびえる建物も
冬に向かって早くなっていく一日を
引き延ばそうとがんばっている
わたしはあきらめに似た気持ちで
憧れている

毎日
読むこと、書くこと
特に、読むこと
平らなわたし
無力な人で
感じることしかできない

グラスに残った氷が溶けていく
そこから漏れだした液体を少しずつ飲む
音楽のように
流れるそれを急いで
味わってしまうことはできないの

わたしの読むことにかかる時間は
社会の回り続ける速さに
うまく噛み合わないけれど
わたしはそれで百年二百年を少しのことのように
一日や一瞬をとてもとても長く
光のように旅することを知った
冷たくてあたたかくて

どんなに急いでいても
ひとの時間は変わらない
同じ太い光の柱で
生まれてから死ぬまで焦らずに
触れることのできるもの
たくさんの紙のやわらかさ
どれほどの円を描いたことか
読みきれない文字が少しだけ広げる
樹皮のような
わたしの感受性で
伸びたり縮んだりしながら
愛することを誓います


***
早稲田祭2023
作家堀江敏幸氏によるご講演
「本を読むこと、書くこと」を聴講して
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夕日の思い出

2023年11月09日 | 
北鎌倉から江ノ島まで
歩いたり江ノ電に乗ったりして
やわらかな線を結んだ
とても天気の良い日で
山を覆う木々は艶やかに葉をなびかせ
海岸の光は散乱して目に痛いほどだった

私たちは互いのこのところの
生活の変化や
考えていることを交換しあったり
景色についての感想を
順々に伝えあったりした

江ノ島の橋の袂に着いたのは
見事な夕暮れ時

じっと見守っていた夕日が
山の間に隠れてしまうと
桟橋に残る人はシルエット
海が静かに揺れていて
なだらかな無数のさざなみ一つ一つに
もうくらくなっている空にはない
淡いけれども明るい
桃色と水色を繰り返していた

私たちもひとりひとり
しずかに揺れていて
空を写し海を写して
淡いけれども明るい
桃色と水色
見分けもつかず
みずからのおもてに繰り返している

夕日が沈んでも
空と海と私たち
不思議に明るい夕暮れ
その思い出をじゅんじゅんに語り合っている
色が夜に沈むまで


*お詫び*
「いいね」をいただいた後に、うっかり
コピーをせずにそのまま大幅変更してしまいました。
申し訳ありません!
いつも「いいね」をありがとうございます😊
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