詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

2020/07/19

2020年07月19日 | 雑記
この新しい時代に、適応して生きていこうとすると、とんでもなくリベラルである必要があるように思う。

それがとても困難なことのように感じてしまうのは、自分を超えてリベラルであるためには、自分の良い悪いの感覚を信じてはいけない、と自分に言い聞かせ続けることだから。

保守的なのは、これまでコツコツ建ててきた安定した世界観や、大切にしてきたものを、これからも守っていきたいからで、それらをゴミ箱に捨てて、いまここから新しく出発しなくてはいけないなんて途方に暮れてしまう。

でもそんなふうに感じるのは、これまで、自分の感覚を崩されることなく生きてこられたからで、そんな私の「良い」の範囲はとても狭いものなのだろう。








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夜想曲

2020年07月02日 | 
胸が音符をかき分ける
ぽたんぽたんと落ちてくる

いまも覚えている
不安を線として感じ
湯船で膝頭を水面から沈めたり
のぞかせたりしながら
不安を線として感じ
チューニングしていたこと
意識の上げ下げで未来を定められる気がした
覚醒のような錯覚

そのように世の中や人生という
漠としたものについて
不安や恐れを抱いていることがあった
見えない線を上下させて
いま感じていることが
隠されているのかもしれないほんとうや
透明にねじれた金色の線や
未来からの景色に
釣り合っているかを確かめる
思い出すことで危うい均衡を学び続ける

頭の中の雨は眠らずに
もっと深くへ、とこわれる
街灯の明かりがじんわりと
開きかけた貝のような
カーテンの足跡をたどると
わたしの目が少し明るくなり
窓の向こうにある夜の
満ち足りない砂漠のような海がこぼれる
部屋の中の頭の傾きに向かって
グラスの水も半球をなぞる
どこからか拾った光の粒を二、三投げ返す

わたしを暖める夜の厚み
不均衡があるからエネルギーは生まれて
わたしは生まれて
流れ落ちていくいのち
いまはこの暖かい場所にしばし留まり
長い時間をかけて帰ってくるものを待っている

手には何も持たないで
生誕から指の先まで
夕方から幸福になるまで
塩を舐めて(暮らすような)
だれかれの美しい幾夜を思い出す

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