詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

目に映る緑

2018年06月29日 | 
眉毛の下にホテルがある
それはだれにも言ってなかったことだ

部屋からは空と湖が見渡せた
ボートは小さく
向こうの水面を滑っている
なびかせたい機微がいくつも揺れている

野の花の地図
胸の形の等高線

湖畔詩人になろうかな
言葉よりも前のゆるやかな結びつきで

湖がまばたくとき
色が変わる
緑になり青になり黒になる
雲の道連れの影が
木々にも山々にもホテルにも
ひっかかることなく
走って逃げたり
遅れてついていったりするから

ここは電話の届かない場所だから
消息をカーテンに尋ねている
バザバサバサとはためいて
あの人のことを考える
広げたノートを片手で押さえ
もう片方でほおづえついて眺めている
光や風で雄弁なカーテン

カーテンを通して見える景色が
過去でもあり未来でもある
わたしの夢だった
大切にされすぎた記憶は手垢がついて
もう同じようには見えなくなった
再生を怠ると
時折元に戻る
それもまたあたためられると
埃に紛れ銀色に散っていく

人生は台紙みたいなもの
その上に貼っていくはかない夢が
真実わたし、真実愛する人
留めることはできないのに
焼き付けたいと願う
不思議なフィルム

あの峰を歩いて
緑の草原を転がり遊ぶ
風のような少女
その子が愛するものをわたしも愛する
ずっと昔の
まなこの奥の十字路から
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投げつけようとして奪うもの

2018年06月25日 | 
時間があればかまってしまうから
かえってわからなくなってしまう

余裕がなくて
ぱっとつかまえる翼
それが尾ひれのつかない正体

速く激しく強く
雑音にまみれた日々から
はらわたを抜き取る

それは透明で
柔らかいのに弾力があって
抱き締めると
はちきれんばかりになって
全身でかわいく抵抗する

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待ち合わせ

2018年06月22日 | 
知っている人と会うために
知らない場所を選んだ

早めに着く
景色になれる場所を見つけて擬態する

通り過ぎるたくさんの人たちは
違う星の言葉を話し

知っている人は
少し知らない人になる
服装も髪型も表情も
予想だから未知になる

腕時計の1分毎に違う色の物語を埋め込む

そうしてあらわれるあなたは
いつも私の予想を少し上回り
新しい星のように瞬きながらやってくる

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あじさい

2018年06月15日 | 
雨が降り、タオルケットを蹴飛ばした。
元気のいい人を思い出した。

私は起きない。
魚眼レンズのように天井を眺める。
雨が降ってもおもしろいことは降ってこない。
今日一日が空気の層のように手応えがなく
宇宙から帰還した人のようにその重さだけずしりと感じた。

内からも外からも私を動かす力がない。
このままでは日暮れまでここにいてしまう。
グゥ。おなかが鳴った。
内から現れたふいに私を動かす力。
ピザトーストを食べてコーヒー牛乳を飲みたい。
起きあがって寝床を振り返ると
タオルケットがトルネードしていた。

トースターがぶーんとうなって
香ばしい匂いを製造している間によし
食べ終わったらノートを開き
青臭い文章を書こう!と思う。
磨りガラスから入る
青臭い光に気付いてしんとしよう。
現象をただ書き留めるとき
自己評価の灯りがすっと消えて
未熟さの目がまっすぐになる。

そう信じられたならもう
外に出ずにはいられない。
傘を差して雨の歩き方。
濡れた地面に甘やかされる。
道路を渡ればあじさい。

ねずみと読ませる色調を背に
色のモザイク 頭文字を踏んで
淡い深い
段差の中に私を運んで
憂鬱にさえ遊園地のような
あじさいの目によろこび

ゆっくり歩けば
階段も窓も看板もアンテナも
パイプもメーターも
私に親しく新しく
名もなき毎日
四片(よひら)のように
色を重ねる
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ちがうひとに会う

2018年06月08日 | 雑記
いつも会っている人とちがう人に会う。

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