失なわれゆく風景

多摩地区周辺の失われた風景。定点撮影。愚問愚答。

唐木田の双体道祖神

2008年07月13日 | 失われた風景
 今回は「里の風景 唐木田の野辺に立つ双体道祖神。昭和40年5月撮影(多摩市)」という一枚の写真が話の発端です。その写真とは『写真集 多摩 風のうた 水のささやき 土のゆめ』(TAMAらいふ21協会 1993年)の133ページのものです。昔の多摩丘陵の雰囲気ただようなんとも懐かしい感じの一枚です。(この写真集はほとんどの多摩地区の市立図書館と都立図書館が所蔵していますので、比較的容易に閲覧できると思います。)
 さてこの写真に写っているという双体道祖神ですが、この写真には複数の石仏が写っていますので、どれが双体道祖神なのかははっきりわかりません。すこし調べてみると、峰岸松三さんの『落合名所図絵』(平成元年)p.132「あらたの辻」の項に次のような記述があり、絵もついています。

(引用開始)
辻は三角の地形をして、中に檜と杉が高くそびえ建ち、根方には市内で珍しい若い男女が寄りそう双躰道祖神や庚申塔の石仏が建てられていた。
道祖神は元和七年。・・・現在は唐木田稲荷神社の境内に移設されている。
(引用終わり)

『写真集 多摩』の写真には檜も杉も写っていないのですが、石仏の形(輪郭)が『落合名所図絵』の挿絵と似ていることと、上記のとおり双体道祖神が(多摩)市内では珍しいと書かれていることから、この写真集の道祖神と「あらたの辻」の道祖神は同じものだろうと思います。
 ということで、唐木田稲荷神社に行って撮ってきました。

<唐木田稲荷神社にある双体道祖神。中央のもの>

 『写真集 落合の移り変わり』の306-309ページには開発前の唐木田稲荷の写真が載っています。昔は何段も石段があって、現在よりもっと山地形になっていたようです。(現在の社殿は周辺の道路とあまり変わらない高さにある。)

<現在の唐木田稲荷神社>

「あらたの辻」とはどのあたりでしょうか。唐木田稲荷から北西方向に向かうと小さな公園があって、「あらたの辻」の案内板が建っています。現在の唐木田1-42。

<道路左側が案内板のある公園>
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