聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

酷な現実を描いた大人のファンタジー

2010-12-19 19:49:14 | 邦画ヒューマン
リンダ リンダ リンダでも好演した
ペ・ドゥナがまるで本当の人形の様に思えるほど
素晴らしい演技を見せてくれました



"人形が心を持ってしまう"お話だから
ファンタジーなんだけど
妙にリアルな部分があって、
現実とファンタジーの世界を行ったり来たり
不思議な感じを覚えます


空気人形 


監督は誰も知らない歩いても 歩いても
お馴染みの是枝 裕和さん。

カメラは独特の映像を撮ることで有名な台湾のリ・ピンビンさん。





恋人と別れて以来
普通の恋愛関係を築けなくなり
人形と疑似恋愛をしている
ファミレスの従業員秀雄(板尾 創路)


彼はその空気でふくらませる人形に
名前を付け、一緒にご飯を食べ
公園に連れ出し、夜を共にします…



そんなある日、空気人形は
心を持ってしまったのです


男性の性欲処理をするために作られたのだから
本当は心なんて持ってはいけなかったのに…




今まで"感情"を持ったことのない彼女にとっては
何もかもが新鮮



アパートの軒から垂れる雫、
真っ青な空、
レンタルビデオ店、
そこで"働く"という事。
初めて目にする何もかもが


そして何より人とコミュニケーションする楽しさを覚えます。
と、同時に意志を持つ辛さも知り…



人を必要としなくなった人間と
人を必要とする人形の対比を通して
酷な現実を描いた大人のためのファンタジーです











久しぶりに見終えた時につけた
エントリするにあたって増やしたな~。



何だかよく分かんないんだけど
是枝監督は深い事を表現しているんだと感じた。


単純に好き、嫌い
面白い、面白くないとか言えず
考えれば考えるほど分からなくなるというのか…

自分が見終わって何を感じたのかさえ…







人は多かれ少なかれ
現実から目を背けて生きている。
"虚しさ"や"淋しさ"を感じながら。


気持ち悪いとか知らなきゃよかったとか
世の中には直視できない事が一杯あって
現実はとてつもなく酷だと思う。


真っ向から全てに立ち向かえる人はいないし、
向かう必要もない。


いわゆるグレーゾーンを持って生きている。



主人公の秀雄は"いき過ぎた"例だけど
変な部分は誰にでもあるでしょうし、
それをどう感じるかは人それぞれでしょう。





とまあ非常に抽象的で
「結局、何が言いたいの」と突っ込まれそうですが
う~ん、よく分からない




ちょっと初めて新宿ゴールデン街に行った時を
思い出してしまった。


あのドロドロした人間の様々な感情をキャッチして
"私はこの世界を知らなくていい"と思うのと同時に
"どんな世界なのか知ってみたい"という欲望も生まれた。


きっと秀雄の様な人は現実にいるのでしょう。


正直、気持ち悪いし関わりたくない。
なら関わらなければいい。
知らないふりをすればいい。



世の中にはそんな風に
目を背けている事がいっぱいあるんだろうなぁ…