聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

ゴールのない目的地へ

2010-02-18 12:09:01 | 邦画ヒューマン
見たいなぁと思っていて
結局未だ見ていない秀作って沢山ある。

きっと生涯タイミングが合わない作品もあるはず。


な~んて書くとちょっと大げさだけど
実はこの作品2、3回レンタルしていたのに
そのまま見ずに返却し
"ようやく"鑑賞したのです。


もっと早く見ておけば良かった~~


歩いても 歩いても 


ふと、連ドラ「僕の生きる道」で草君が言っていた台詞を
思い出してしまった。

"それは見なかったのではない。
 見ようとしなかったのだ。"と。


横山 良多(阿部 寛)は
兄の15回目の命日で
妻・ゆかり(夏川 結衣)とその連れ子あつし(田中 祥平)と共に
生家を訪れます。


再婚だからと何かにつけ嫌味を言う
堅物父恭平(原田 芳雄)。

そんな父をブツブツ言いながらも上手く支える
いかにも昔の母親とし子(樹木 希林)。

男兄弟にはさまれたせいなのか、ちょっとお調子者で
何とか二世帯に持ち込もうとする長女ちなみ(YOU)。

さらにその上をいくお調子者の旦那(高橋 和也)。

そして医者が偉いと思っている父や
大人になっても世話をしようとしてくる母を
若干煩わしく思いつつ
自分も父親となり、新たな家庭を築いていこうとしている良多…


一見すると、どこにでもありそうな家族。
けれど、その何気ない日常には
家族にしか共有できない幾多の感情がある。


そんな歳月と共に変わる家族の姿を
2日間に凝縮したヒューマンドラマです




是枝 裕和監督の出身畑がそうだという事もあって
まるでドキュメンタリーを見ている様。

会話がリアルすぎて
もう笑うしかないでしょ~っていう部分が沢山ある。

日常にもこんな笑が実は沢山あるんですよね~。
怒るのも笑うのも紙一重。


最近私はムカッときたら
(まあ正直あんまりないけど)
「ありがとうございます。」と手を合わせるようにしている
そうしたら、あ~ら不思議。
嫌な出来事も楽しい事にチェンジ
皆さんにもお薦めします


とまあ少し話がそれましたが
正反対の感情が紙一重というのは事実ですよね。

この作品では樹木 希林さんの演技が
大絶賛されましたが
"女の怖さ"を見事に表現されていました。、

特に印象的なのが
"1年に1度くらい苦しんでもらったっていいじゃない"と
良多につぶやくシーン。

良多の兄、つまりとし子の子供は
海で溺れている子を助けて、命を落としたんですね。

毎年助けられた子は
命日に横山家に来るんだけど、今年で25歳。

自分の命と引き換えに亡くなった訳だから
当然、訪れても居心地が悪い。

それを見るに見かねて、良多が
"もうそろそろ来なくてもいいんじゃない?"って
とし子に言うんですね。

そこで、とし子の言葉。
「10年やそこらで忘れてもらっては困る。
 母親にしたら、殺されたも同然。
 むしろ憎む相手が居ない分、しんどい。
 だから、
 1年に1度くらい苦しんでもらったっていいじゃない。」と。

背筋がスーッと寒くなりましたよ
でも同時に解るって思う自分もいる。

もちろん、私は子供を産んだ事がないから
全く同じ気持ちかどうかは判らないけど
そこまで残酷だとは思わなかった。

つら~っと言ってのけたとし子に
もしかしたら男性陣は鳥肌が立つのかもしれませんが


人はこの様に愛しさの裏側に
残酷さをも併せ持つものなのでしょう。

そんなグレーゾーンを描く是枝監督に
学んでいたのが
ディア・ドクターで、今年数々の賞を受賞されている西川 美和さん。
根底で描いているものが一緒ですものね


う~ん。
久しぶりに監督で作品を見たくなってきた
お2人の作品を
"グレーゾーン"というテーマで鑑賞するとしますかっっ


そうそう私は最初に草君の台詞を書きましたが、
きっとこのタイミングで見たかったのだと思います。
だから付け加えておきます。

"それは見なかったのではない。
 見ようとしなかったのだ。
 そして見るにふさわしい時があるのだ。"


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