聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

代わって復讐を果たしてやる

2013-03-15 15:56:01 | 西部劇
世に数々の名作、傑作、秀作が
送り出されて約120年。

一体どれほどの作品があるのか
自分が見てきたのかも分かりませんが
1番好きなのは15年ほど変わっていない。

レザボア・ドッグス(92)

この映画に次ぐかも~と思われる作品に出会ってしまった


  

ジャンゴ 繋がれざる者


ちょっと知りたい事があれば
すぐにネットで調べられるこのご時世。

久しくパンフレットも買っていなかったけど
見終えて興奮そのままにゲットしましたよ~


しかもこれスパゲティ・ウエスタンならぬ
マカロニ・ウエスタンですよね


西部劇と言えばカテゴリーを見てもらえば一目瞭然。
私の苦手分野~

それでも面白くって2時間45分があっという間だったんだから
流石はクエンティン・タランティーノ

タランティーノ狂という人がいるというなら、そう言われても本望


先のアカデミー賞では、
脚本賞・助演男優賞でオスカーを手にしています



南北戦争が起こるほんの少し前。
奴隷制度に反対する北部と認める南部の対立が
激しくなっていた1858年。

認める方の"奴隷州"に属していたテキサス州で
足を鎖に繋がれている黒人達が
列をなして歩いていました。

先導している白人の兄弟に声を掛けたのが
キング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)

表の顔は歯医者ですが、
実は賞金稼ぎ(=バウンティー・ハンター)


そのターゲットについて訊いたのですが
ドイツからやって来た彼は奴隷にも紳士に対応したのです。

それが気に入らなかった兄が銃を向けると
逆にシュルツが発射して殺害


改めて奴隷に訊ねると
そのうちの1人ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が知っていると言うのです。


そこで共に行動するようになり、賞金稼ぎになるのですが
実はジャンゴには目的が。


それは生き別れになった
ブルームヒルダケリー・ワシントン)を助ける事でした。


銃撃の腕を磨き、心を鬼にして
やがて彼女が捕らわれている農園の主
ムッシュ・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)と対決するのですが


タランティーノにしか描けない激しすぎる脚本、
CGに頼らない壮大なスケールで
自身最高のヒットを飛ばすマカロニ・ウェスタンです












また、よしおか寒い事言っているな~
あなどるなかれ~

最初に書いた
スパゲティ・ウェスタン(Spaghetti Western)とは
ギャグでも何でもなくて
60~70'Sに作られたイタリア製西部劇の事。

欧米での名称ですが、日本ではマカロニって言うんですよね。


ずっと何故だろうと思っていたら
映画評論家の故・淀川長治さんが
「スパゲッティだと細くて貧弱だから。」と変えたんですって。

今回パンフレットで知りました



で、肝心のストーリーですが
アウトレイジ ビヨンド(12)も真っ青の
これだけ激しいバイオレンスだと、当然批判も出てくる。

多くは「どこまで本当なのか判らない。」という事。


では逆に訊きます。
どこまでなら赦されるのか


映画の中では強制労働は当たり前、
黒人同士を殺させ合ったり、犬に食べさせたりと
思わず目を覆いたくなるシーンも沢山出てきました。

これら残虐な行為はたった1回なのかもしれない。
当たり前に行われていたのかもしれない。
はたまた実際には無かったのかもしれない。


だけど人を人として扱っていなかった。
その赦されざる事実は紛れもなくあったのです。

程度の問題ではありません。
人が人を物として扱う"奴隷制度"が
あったのは事実なのです。

そして現実には成し得ない復讐を
タランティーノが映画の中で成し遂げただけ。

それに対して非難する必要があるのでしょうか


ニューヨークの劇場では
前を陣取っていたアフリカ系の観客が
「イエ~ス」と雄たけびをあげて見ていたそうです。

決して面白くしてやろうとか
オーバーに書いてやろうとかそんな単純な理由で
この映画を作っていないのは明らかでした。


でなければジェイミーやサミュエルも出演しないでしょう。

ラブストーリーになっているのも素敵


そうそう、サミュエル・L・ジャクソンには
今回もやられましたよ~


ラストのあれはもちろん、あのビジュアル
出てきた瞬間笑っちゃいましたけど
執事スティーブンの白黒の対比はわざとなんですってね

あのウザったらしい喋り方も流石でしたよ。
ディカプリオの悪役も良かったし、
クリストフ・ヴァルツの
紳士でありながら冷酷なのも素晴らしかったし、
ちょっとタランティーノが太っていたのだけ気になったけど
個人的には2012年作品の中では
アカデミー賞作品賞を獲ったアルゴを抑えてNO.1

是非、この映画を好きな方と興奮を分かち合いたいわ~


ちなみにタランティーノはあちこちにオマージュを捧げているので
予習に「続・荒野の用心棒」や「国民の創生」などを見てから
劇場に行った方が良いという方がいますが見なくていい

むしろ知らなくても十分楽しめるからすごいんだと思います。

すでに見ているならもちろんそれはそれで楽しめるけど
別に授業じゃないんだから、思い思いに鑑賞すればいいと思いますよ


ジャンゴ 繋がれざる者
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

リメイクではない、原作に忠実な西部劇

2012-04-20 13:24:40 | 西部劇
横に並んでいるカテゴリーを見て頂けたら
一目瞭然だと思うのですが、
私、″西部劇″は全く見ません


それは好きじゃないからというのではなく、
解らないから。


外国人からすると
″時代劇″が近いのかもしれませんが
その歴史を知らないと
面白さも半減するので、もう少し年を重ねてからでいいのかなと



それでもオスカー監督の作品だし、
有名なジョン・ウェイン主演のリメイクだし、
(リメイクと言われたくないと、あとで知った)
WOWOWでやっているし…と様々な条件が重なり
とりあえず見てみました




トゥルー・グリット



やっぱりまだ早かったみたい


ジョエル&イーサン・コーエンにとっては
今までの作品の興行収入を大幅に上回るヒットになり
第83回アカデミー賞では
作品賞を含む10部門にノミネートされました



1870年代のオクラハマ。
父を殺された14歳の少女
マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)は
仇を討とうと画策。

色々考えた結果、
元大泥棒で大酒呑みだけど
"トゥルー・グリッド(=真の勇気)"がある保安官

ルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)に頼む事に。



ところが小娘一人で仇討ちなど夢物語だと
一笑されてしまいます



それでも必死に食らいついてくる彼女に負け、引き受ける事にします。

同じ男を追っているテキサス州の法務執行官
ラビーフ(マッド・デイモン)の加わって。


果たして、14歳の少女の復讐は叶うのでしょうか



チャールズ・ポーティス「勇気ある追跡」の
原作に魅せられ、
オリジナルの脚本を作り上げたコーエン兄弟の西部劇です














最初にも書いたように
何もかも解らない事だらけだったので
素直に解説(キネマ旬報2011年3月上旬号特集)を読みました。



で、読んでもやっぱり知識不足だったので
今回はその中で気になったお話を。


先日アーティストを見たのもその理由の1つかもしれませんが
"映画のこれから"について。




この映画のマティの声がとてもクリアだった。

普通1人が喋っていても
色々な音が混ざっていますよね。
車が走っていたり、犬が吠えていたり。

ところがマティの声は
その周りの音がない。

同じ年のソーシャル・ネットワークもそうで
これは非常に映画では新しい事なんですって


そもそも映画はモノクロサイレントで
そこから音が付き、"語り"にこだわる様になった。
そして色が付き、3D…と
"見せる"時代になった。


じゃあ、この先は
映画自体が方向性を迫られている中で
"語り"に戻ったのが2010年だと。


"語り"という題材を扱ったのが英国王のスピーチであり
新しい"語り"を用いたのが
この作品やソーシャル・ネットワークだと言うんですね。


ここまでが本の内容なんですが…
それを踏まえると
つまり2011年はサイレントにまで戻っている

非常に興味深いと思うのは私だけでしょうか



世に送り出されてから120年が経とうとしている映画。
進むのか、戻るのか…
はたまたごちゃまぜの時代になるのか…
今は長い歴史からも見ても転換期なんですね。

一体これから今年はどんな映画が受け入れられるのか
アーティストの評価を受けて
サイレントが見直されるのか

数年後どんな映画が支持を得ているのか、全く想像つきません
あなたはつきますか

用心棒のイタリア版!でも撮影はスペイン!!

2009-07-07 21:22:30 | 西部劇
今ではイタリア版なんて
オブラートに包んで表現しているけれど
これは盗作だと訴えられても仕方ない

刀が銃に代わっているけれど、まぎれもなくストーリーは同じ



荒野の用心棒 



黒澤監督の61年の作品用心棒のイタリア版です


1872年のニューメキシコのとある町。
ロホ兄弟と保安官のバクスターという
2大勢力が張り合っています。

そこにジョー(クリント・イーストウッド)という
銃の達人がやって来ます。


町の人達は何ぼのもんだと鼻で笑っていましたが
この腕前を見て一転。

ロホ兄弟はジョーを用心棒として雇う事にします。


ところが彼は単純な男ではありません。
ロホ兄弟にとって敵であるバクスターとも関係するのです。

当然面白い訳がないのですが、ジョーの方が上手。
2派をたくみに操って共倒れさせ、
町を去っていく。

ラモン・ロホ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)は
「ガンはライフルに勝ち目はない」と豪語していたけれど…


最後のガンとライフルの対決が見もののマカロニ・ウエスタンです














書き出しを見て、この作品を批判していると思われたかもしれませんが
決してそうではありません

むしろ、よくここまで忠実に制作したなぁと
感動すらしているほどです。



と言うのも、監督・脚本のセルジオ・レオーネ
用心棒を見て感銘し
何度も見て、台詞を書き写して作ったんですって


黒澤監督の許可をとっていなかったから問題になったけど
完全なるリメイク。
判らない様にちょこっと盗んだとか悪気があった訳ではない。


まあまだ著作権とか今ほどうるさくない時代だったから
起きちゃったんでしょうね


なので用心棒のイタリア版で私も良いと思います


ところで、あなたはマカロニ・ウエスタンってご存知ですか

私は西部劇を全く見ない()ので
今回調べたのですが
西部劇=ウエスタンがアメリカを舞台にしているのに対し
イタリアで作られたものをこう言うそうです。


ちなみにマカロニ・ウエスタンは日本だけの呼称で
世界的はスパゲッティ・ウエスタンって言うんですって。

へ~。
こっちの方が納得ですよね。
だってマカロニはショートパスタで
イタリアと言えばスパゲッティだもん


と、ストーリーからずれたついでにもう1ネタ。

この作品はセルジオ・レオーネ監督が
黒澤作品を尊敬して作った訳ですが
同じ様に三池 崇史監督のスキヤキ・ウエスタン・ジャンゴもオマージュ作品なんですって
以前見た時、知らなかったのでもう1度見たい気持ちになりました


荒野の用心棒 完全版
スペシャル・エディション [DVD]
ジェネオン エンタテインメント