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聴くネタバレ映画・ドラマと英語日記

~元MC苅田三貴が見た映画やドラマを私情バンバンはさんでご紹介♪

煙突が象徴する奥深さ

2011-08-20 21:17:20 | 邦画ヒューマン
この映画を見たら
無性に″たい焼き″が食べたくなって
あんことチーズのたっぷり詰まったものを買いに行き、
幸せな気持ちで食した


だ~って~~、この時代のはペラッペラッなんだもん


「東京物語」とあわせて
当時の庶民の生活を知る貴重な文化財とも言える


煙突の見える場所



監督は日本で初めて
音の出る=トーキー作品「マダムと女房(31)」を撮った
五所 平之助さん。


これだけ昔の監督だと
感覚が全然違うのかと思いきやそんな事ない


大御所に対して失礼だけど
"お茶目"と思いながら、くすくす笑わせて頂きました





戦後間もない昭和。
場所によって本数が変わって見える
通称"お化け煙突"が立つ東京・北千住。


この煙突が見える場所に
緒方 隆吉(上原 謙)は
弘子(田中 絹代)と暮らしています。


そして2階には
商店街でアナウンスをしている
現代的な東 仙子(高峰 秀子)と
役所に勤める久保 健三(芥川 比呂志)が下宿。


昔ながらのはり紙だらけのふすまで仕切られているので
物音は相当聞こえるし
よく顔は会せるけど
それなりに別々の生活を送っていました


そんなある日、大きな変化が



緒方夫妻の部屋に覚えのない
赤ん坊が置き去りにされていたのです


よくよく調べると
弘子は別の人とも結婚していて
戸籍上、この子は彼女の子供らしいのですが…




"人は見た目だけじゃ判らない"


昭和39年まで本当にあった"お化け煙突"を通して
人間の奥深さを描いたヒューマンドラマです














最初に"たい焼き"のお話を書きましたが
映画に出てきたのは
現代の私たちが想像するのとは大幅に違い
ほんと~~ぅにペラペラ


きっと"あんこ"なんて入っていなくて
魚の形をした皮だけなんじゃない




「たかが、たい焼きでそんなに語らなくても…」と思うかもしれませんが
実はこの違いこそが象徴で
ふすま、下宿、洋服掛けなど
細かい部分で、当時の様子をうかがい知る事ができます




弘子が重婚していたというのもそうだよね~。
彼女はちゃんと隆吉とも結婚していたけど
別の人とも結婚しているままだった


今ならすぐに判るだろうけど
戦後の混乱期だからこそ
起こり得た事でしょう。

きっと混迷していたんだろうなぁ




そしてこの映画を語る時
外せないのが高峰 秀子さん演じる
仙子という現代的女性。


仙子が帰ってきて、2階に上がろうとした時、
緒方夫妻が…



この時、見られた2人の方がドキマギして
仙子はじ~っと見ていたんです。


まあ今だったらそんなに驚くようなリアクションじゃないけど
当時の女性たちは
相当びっくりしたようですよ

弘子の様に恥じらうのが普通でしたからね。
"新しいタイプの女性"が登場したのです





とまあ、この映画の最大の魅力は
「当時を知る事ができる」所だと思います。


当然、映画は色々な世代の人が
色々な気持ちで
色々な目的を持って見るものでしょう


正解はないけど、
この映画は何となく見ても
つまらないものになってしまうような気がします。
ご覧になる方は、是非、今と比べて楽しんでください
豪華な"たい焼き"を食べられる現代に感謝するはずです



ちなみにラストシーン。

場所によって1本、2本、3本と違って見える
立派な4本の煙突は、
水に映っている姿はゆ~ら、ゆら。

人間って案外そんなものかもしれませんね

人はみんな中の下

2011-08-14 23:42:39 | 邦画ヒューマン
20代半ばでこ~んな作品を作り出すなんて
今後がとっても楽しみだわ~


一度見始めたらぐいぐい世界に引き込まれ
若干寝不足覚悟で、夢中になりました



川の底からこんにちは


現在27歳の石井 裕也監督の商業映画デビュー作でありながら
今年度のキネマ旬報ベスト・テンの5位に選出



今私が一押しの女優満島 ひかりさんと
この映画をきっかけに結婚しています






とあるおもちゃ会社の派遣OL
木村 佐和子(満島 ひかり)の口癖は
「しょうがない」


高校卒業と同時に上京し
捨てられた男の数、5人。
辞めた会社、5社


今付き合っている彼氏新井 健一(遠藤 雅)も
バツイチ、子持ちの上司で
特に大好きという訳でもなく
妥協だらけの人生を送っています



そんな彼女のもとに
"しじみ工場"を経営する父が倒れ、
余命わずかだとの連絡が

1人娘の彼女は否応なく
後継ぎしなければならず…



特に夢も希望もない私は人生″中の下″
でも、いや、だからこそ頑張らなくてどうする



見終わったら何だか元気になれる
若き本格派映画監督石井 裕也が送るヒューマン・コメディです


















すごいね。
すごすぎるね


いえいえ確かにそうなんですよ。
「人はみんな中の下。」


テレビや映画の中で描かれるHAPPYは
そうそう起こるものではなく
ほとんどが大変で平凡な毎日。

そんな毎日の中にささやかな幸せを感じて生きている。




でもさ、そんな事、
25歳で伝えられるほど大人でした
大人ですか



少なくとも私は、20代前半は
何を勘違いしていたのか
上の人生だと思っていた


今だって若干、中の上くらいだと思っているもん
お目出度い奴、はは。





実はこの″中の下″なんだって認識する事こそ
スタートなのかもしれない


何者でもない自分。



それをちゃんと受けとめられたら
″努力する″しか″頑張る″しかないんだって
主人公の佐和子の様に気付ける


もしかしたら今の若者の代表であるからこそ
現代の問題を見事に描き出せたのかもしれないけど
こんなリアルな問題を
前向きなメッセージとして送り出した監督には頭が下がります


細かい笑いも一杯あったし


改めて思い出そうとすると
取るに足らない事のような気もするんだけど
全編にわたって、″あは″的な笑いをしていたと思う



特に叔父さんはイイキャラでしたね~



「時効警察」などでもお馴染みの
若松 了さんが演じていたんだけど
酔うと、ただのエロオヤジ

″細かい所は気にしない″と言うけど
気にしなさすぎ


独特の空気感で満島さんとのやり取りは
心がとっても和みました。



と言う訳で久しぶりに
かなり期待値の高い監督登場


最新作「あぜ道のダンディ」は東京から順次公開され
北海道では今月27日からシアターキノで公開


久しぶりにキノにも行こうかな

戦闘シーンのない反戦映画

2011-08-04 12:21:55 | 邦画ヒューマン
同郷というだけでなんだか親近感ってわくもの。
日本を代表する大女優、故高峰 秀子さんも
北海道出身なんですね~


昨年の暮れに亡くなった彼女を偲ぶため
少し前NHKで特集を組んでいて知ったエピソード。


当時30歳だった彼女が初老を演じるにあたって
手を縛って
おばあちゃんのしわくちゃの手に見せたんですって



二十四の瞳


日本で初めてカラー映画を撮った事でも知られる
名監督木下 恵介さんの作品ですが
この作られた″54年″は「七人の侍」「ゴジラ」なども生まれた年で
語り継がれる映画が多い、重要な年ですよね


そんな数々の作品の中、見事キネマ旬報ベスト・テンで1位に





昭和3年、瀬戸内海の小豆島の分教場に
大石先生(高峰 秀子)が赴任してきます。


時代が時代ですから
洋服で自転車通勤する姿は島の人の注目の的


それでも新米教師なりに
12人の生徒たちと真摯に向き合い
信頼関係を築いていきます。



そんな関係を壊していくのが
貧しさや戦争…


家の事をやる必要に駆られ、学校に通えなくなる子、
成長して戦争に行く子、
戦争から戻って障がいを持ってしまった子…



高峰 秀子さん演じる新米から初老の大石先生を通して
美しい自然とは対照的に
時代の波に逆らえない悲劇を描いた反戦映画です














作られたのが終戦から9年。
それまでは生きていくのが精一杯で
飢餓の時代が続いていた。

そしてこの頃、
10年近く経って
ようやく「戦争は辛かったね」と語り合う余裕が生まれた。


それまでは考えたくもない渦中にいたという事ですよね。


その余裕ができた時にこの内容。



つまり木下監督は時代をタイムリーに切り取り、
見事ヒットさせ
当時の劇場には相当人が入ったんだそうですよ




こういう背景を知ると
何故評価されているのか判りますよね。
必ずしも面白いからだけではない。


その時代に生きていないと解らない事って多いと思うけど
"戦争"は代表例ですよね。


推し測るのはできるけど
やっぱり体験した人としていない人では思いが全然違うでしょう。




だから、あくまで"体験していない"、私の感想です。




個人的に好きだなぁと思ったのは
大石先生と子供たちが汽車ポッポで遊んでいるシーン


何も知らない子供たちと
まだこれからあんな悲劇が待っているなんて思わない大石先生が
純粋に、素直に時間を楽しんでいる。


なんてことない遊びなのに
心が温かくなり、見ていて幸せになったのです



白黒なので今の映画やドラマと比べると
美しさが判らないはずなのに
素晴らしく美しい景色


後で切ないシーンが出てくる度に
この幸せな映像が蘇ります



ちなみにこの映画は
昭和3年から終戦後の45年を描いていますが
戦闘シーンは出てきません。


それでも大石先生が海辺で
生徒たちと将来を話して

「軍人よりも漁師さんやお米屋さんが好き」と言っています。


とてもさりげない一言だけど
もしこれが戦争中なら大変な事ですよね。


戦争が終わって10年経ったからこその台詞。


当時大人の女性ならみんな心で思っていたでしょう。
自分の愛する人や子を
死なせたい人なんていませんもんね。


ただし同じ″反戦″でも
たった10年では傷が癒せるわけもなく
″戦闘シーン″を見るには早かったのかも


そんな人々の気持ちを丁寧にくみ取り
1人の女性を通して訴えたからこそ、共感を得たんでしょうね。


″戦闘シーンのない反戦映画″として
今でも語り継がれる理由です

煩わしいほどの絆

2011-07-02 22:06:41 | 邦画ヒューマン
先に市川 崑作品を見ようと思って
ず~っとDVDにおとして寝かせておいた


ようやく先日本家本元を見たので
満を持して山田 洋次監督作品の鑑賞




おとうと



個人的には基になる作品を踏襲しつつ
明るい、未来のあるラストだったので、こっちの方が好き



けれど市川監督が60年に作っていなければ
この作品が生まれていない事を考えると
本家に1つ足しておかなければなりませんね






早くに旦那を亡くし、女手ひとつで
小春(蒼井 優)を育ててきた
高野 吟子(吉永 小百合)


東京の郊外の商店街で高野薬局を営むものの
大手のドラッグストアーの進出などもあり
売り上げは下がる一方で、なんとか暮らしていく日々…


そんな中、お目出度いニュースが

なんと小春が
エリート医師と結婚するというのです


けれど1つだけ心配な事が…


それは"おとうと"丹野 鉄郎(笑福亭 鶴瓶)の存在



彼は幼い頃から吟子の手を煩わせ、
大人になっても何かと問題を起こすのです


案の定、小春の披露宴では泥酔し、
その後も次から次へと迷惑を掛けてきます


ついに優しかった彼女も
堪忍袋の緒が切れて、縁を切るのですが…



"家族"の形が変わり続けている今、
山田 洋次監督
人々にその意味を問いかける10年振りの現代劇です














お~お、やっぱり本家を見てからで正解
しかも解説も聞いたので尚更


力を入れた所が判ります



1番やっぱりなぁと思ったのは
鉄郎が吟子と喧嘩して出ていく時


嫌~な咳をしていたけど
そこは同じように吐くシーンを入れず
アイスクリームで絨毯に染みを付けた。


山田監督も描いたという事実は
改めて重要なシーンだったという意味ですよね


その他にもフライヤーにものっていたピンクの紐や
鍋焼きうどんなどキーワードとなる要素が出てきているので
紛れもなくオマージュ作品


その上で、″リメイク″と明らかに異なるのは
監督ご自身が今の時代に問いかけているからなのかもしれません。




モデルとなった場所があるのには驚きましたが
鉄郎が最後を迎える事になった″みどりのいえ″


本当にあるんですってね。
身寄りのない見ず知らずの人を看取るなんて、
しかもお金儲けじゃないんだから頭が下がります。


この様な″看取り″や″ターミナルケア″などは
まさに現代ならではの問題。


結婚してから″思ってたのと違った″なんて
あっさり帰ってくるあたりも…




とまあ現代風にアレンジしながらも
根底にあるのは
″家族とは何ぞや″という問いかけですよね。


その関係が希薄になってきている感じに
警鐘を鳴らしているのはそうなんでしょうけど
私が面白いと感じたのは
吟子が亡くなった旦那さんのお母さんと暮らしている所


義理のお母さんだから気を遣っているのかと思いきや
結構言いたいことをズバズバ言ってんの


しかも最後は小春が再婚するんだけど
それを義母、吟子、小春の3人で乾杯してた


時代と共に家族の形も変わっていくのは当たり前。
その上で1つの形、
あ、″みどりのいえ″もそうだから2つの形…


いずれにしろ、このラストは
監督ならではの″提案″をしたのかもしれません

そういう意味でも未来が見えて好きだなぁと思ったのです


最初にご自身の代表作「男はつらいよ」など
小ネタも盛り込んだお茶目さも好きです

赤いインクが示す意味

2011-06-25 21:49:39 | 邦画ヒューマン
山田 洋次監督が
昨年オマージュしたのを知り、ずっと見たかった


こちらを先に見てからにしようと思ったら
ついにBSプレミアムでO.A.してくれました



全くの同じタイトル



おとうと


恋人同士にも思えるような
美しくも悲しい姉弟愛="家族"を描いた
60年、市川 崑監督の作品です


日本を代表する女優岸 恵子さんが
時々とてつもなく可愛らしく思えます




小説家を父に持つげん(岸 恵子)は
リウマチで体の不自由な後妻(田中 絹代)の代わりに
家族の世話をしています。



中でも弟碧郎(川口 浩)は
手を煩わせてばかり


万引きをして警察に引き受けに行ったり
ビリヤードやボートで借金をしては
払わされたり…



しかも口が悪いので
いつも言い合いをしてばかり


けれどそんなおとうとが
ある日結核になり…



黒沢映画などでもお馴染みの宮川 一夫カメラマンが
初めて"銀残し"を試みた、語り継がれるヒューマンドラマです












この作品も現在BSプレミアムで行われている
山田 洋次監督が選んだ日本の名作100本のうちの1本。


放送のはじめと終わりに解説してくれるので
さらに作品を楽しめます


まず"銀残し"


私も言葉は聞いたことがあったのですが
今一つピンとこなかった。


でも作品を実際に見て教えてもらったら納得



これは現像手法の1つで
本来取り除くはずの銀を、あえて残しておく方法なんですね。

すると通常より全体的に渋い色になる。


ほら昔の写真などを見ると
ずい分赤とか鮮やかな色って暗くなってしまっていますよね


そういうのを意図的に行うのです。
では、何故



その1つは″コントラスト″を際立たせる為。





結核になった碧郎が喧嘩をして
お父さんのインクをこぼしてしまうシーンがあります。


そのインクの赤
全体的に暗いトーンなので、非常に目立ちます。


さらにこのシーンには深い意味があって
これは碧郎の吐血をを意味しているのだそう。



というのもこの後彼は咳をして
部屋から出ていくんだけど
物語の流れから、明らかに血を吐いている。


だけど描かれてはいない。


つまりこのインクが血をも表していたという事なんです

ひゃ~、深いですねぇ。


他にも碧郎が余命わずかになって
お姉ちゃんに着物を着るよう頼むんだけど
この着物の紫も鮮やかに活きています



こんな風に解説してもらえると
改めて創り手は様々な計算をしているんだと
感心させられますよね




ところで結局、
当たり前のこの時代にもげんは嫁にいかず
おとうとの世話ばかりだったにも関わらず
碧郎を亡くします。


そんな弟を前に
彼女は倒れ、
目覚めると同時に
エプロンをして働き始めるというラスト。


忙しくでもしていなければ辛すぎるという事なのでしょうが、
個人的には
もう少し余韻に浸りたかったなぁ


もちろんこれは完全なる私の好みです。

オマージュした山田監督はどう描いているのでしょう

それでは満を持して、現代の"おとうと"を鑑賞することにしましょう

当時の子供達は今、この出来事について何を語る!?

2011-06-17 22:52:42 | 邦画ヒューマン
マイ・バック・ページ悪人と大絶賛し、
改めて彼について調べていたら、
そうそうこの映画にも出演していましたよね


公開された当時、実話に基づいていると知って
ずい分斬新な事をする人もいるものだなぁと感じたのを
思い出しました


見たいと思った矢先、ラッキーにも地上波でO.A.



ブタがいた教室


若手から中堅への階段を上り、
人気・実力ともに備えた妻夫木 聡さん主演、
前田 哲監督の08年の作品。


ヒロインには"コドモのコドモ"で
第82回キネマ旬報ベストテン新人女優賞を受賞した
くりくりお目目の甘利 はるなちゃん





4月、新任の星先生(妻夫木 聡)は
6年2組の子供達に

「これから豚を飼育して、1年後みんなで食べようと思います。」と提案


当然、子供達からは驚きの声が


それでも、星先生の真摯に命と向き合う態度を
自然に感じ取り
協力して育てていく事になります。


最初はあたふたしていた
掃除やえさやりにも慣れ
″Pちゃん″という名前まで付け可愛がるまでに。

ところがこの頃から雲行きがあやしくなります…





そもそもこの豚は″食べる為に″飼い始めたのです。
それがすっかりクラスの一員になり
「食べるなんてかわいそう」という話になり…




果たして6年2組の子供達は
最終的にブタを食べるのでしょうかそれとも…



まだ″食育″なんて概念がなかった1990年に
実際に行われた授業の1つを基にしたストーリーです














まずは妻夫木君について。
悪くないですよねけどあんまり色がない。

個人的にはやっぱり負の部分を演じた時に
本領を発揮するんだそうなぁと思います


以上



内容については
2つに分けて考えた方がいいかなと感じるのですが、
この事実を″映画化した″という事実は
素晴らしいと思います



こういう出来事があったと知る
きっかけにもなるし、
私も含めて知らない人が
考える機会を持てますからね。


私が言うのもおこがましいですが
非常に有意義な事だと思います





一方、この実際にやった先生に関しては…





″えげつない″



これが私の感想です



当時だって賛否両論あって、答えは出ていないし、
今後も出るものじゃない。


もっと言えば、自分の子供か?
その先生との信頼関係はどれくらいなのか?とか
様々な事情が絡んでくればさらに複雑になる。


それを充分解った上での、私の率直な思いです。



つまり根本的に
仕事で豚を飼っている人と
子供達では、豚に対する向き合い方が違う訳ですよ。


もちろん一生懸命育てて下さっているのは
理解できますが、
あくまでビジネスなんですよ。

もしその豚が一銭ももたらしてくれないなら、
同じ様に飼うのか?


けれど子供達は違う。
見返りを求めていないんです。
程度の差はあれ、親が子供を想うように
無心に育てている。

そんな動物を食べろだなんて
あまりにも残酷だと思いませんか



劇中の子供達は
大人用と別の、結論ののっていない台本が渡され、
本気で議論したそうですが、
そりゃ、みんな泣きますよ。


食べ物の有り難さ、命を頂くという意味を学ぶのに
本当にそこまでしなければならないのか、
私にはやっぱり疑念がぬぐえません。

単純に養豚家の手伝いをして
どんな風に育てているのか、
肌で感じるのじゃ駄目だったのでしょうか

私には解りません。

是非、実際に育てた子供達、
もちろん今は私と同じ位の年齢でしょうが、お話を伺ってみたいものです

トリマシタ、ナキマシタ

2011-05-23 13:47:49 | 邦画ヒューマン
最初に撮ったのが1943年。
そして自分でリメイクしたのが1958年。

この間にあった
世の中の価値観を大きく変えた出来事と言えば…




1945年の終戦。


軍国主義の中、
検閲でカットされたシーンがあったので
戦後、リメイクしたのは



無法松の一生



撮り直した作品はヴェネチア国際映画祭
見事グランプリの金獅子賞を受賞。

稲垣 浩監督は
それはそれは嬉しかったことでしょう
受賞を知った時の電報からも判ります。

「トリマシタ、ナキマシタ」



北九州に住む"無法松"こと
富島 松五郎(三船 敏郎)は
博打が好きで、喧嘩っ早い人力車夫。


息子を助けたのをきっかけに
陸軍大尉の吉岡 小太郎(芥川 比呂志)と
親しくなるのですが…



彼は急死


気の毒に思った無法松は
残された妻良子(高峰 秀子)と息子敏雄
何かと世話します。



けれど実は無法松は
良子に密かな想いを寄せていて…




そう昔ではないけれど、まだ身分の違いがある中、
一途に想う様は
"無法松の様な恋"と形容されるようになったほど
人々に感銘を与えた切ない物語です











ちょっとだけジャンルをラブストーリーにしようか迷いました
それほど無法松の恋が
痛々しいんですよね~


結局、検閲でカットされた
良子に想いを打ち明けるシーンは
リメイクでも復活しなかったけど
逆にはっきり言わなかった部分が切なさを深くしたのでしょう。


彼女にではなく
亡くなった小太郎の写真にむかって謝るあたりも
時代を感じます。


だからラブ・ストーリーとしてもいいかなぁ、
人によってはそうだろうなぁとも思うけど
やっぱりヒューマン


タイトルにもあるように
これは1人の男の人生を描いているんです。


彼が人力車夫だから
途中、途中に車輪が回るシーンが入っていた。


これが年月の経過を表していた訳だけど、
最後、ピタっと止まる。

つまり無法松は一生を終えたという事ですよね。

しかも自分の感情をうまく消化できなくて
最後はぐだぐだになっちゃって…


さらに給料なんてほとんどもらっていないだろうに
良子と敏雄の名義で
お金まで残していて…



だからこの映画の魅力は
どう考えても"無法松"という"人"なんです。


自分のせいではなく、
どうしようもない社会の波に流されながらも
こう生きるしかなかった″時代″が大きく左右しているのでしょう。



だって今なら身分の違いなんてありえないし、
(まあ厳密にはあるけど
人の名前で貯金だってできないし
今撮ろうと思ったって
こんな人は描けないよね。


そういう意味でも日本映画史に残る作品だし、
見て良かったなぁと思います


そうそうこの映画も
山田 洋次監督が選んだ日本の名作100選~家族編~の
1作品ですよ

″家族″は崩壊するものではなく、ただあるもの

2011-04-23 15:10:56 | 邦画ヒューマン
山田 洋次さん
監督生活50周年を迎えるにあったって
現在BSプレミアムでは
山田 洋次監督が選んだ日本の名作100選と題して
2年に渡り、日本映画の代表作を放送しています



その1作目が


東京物語



世界的に有名な小津 安二郎監督作品で
テーマは"家族"


1年目の企画ではこの"家族"にスポットをあて
日本映画が「どのように描いてきたか」を
見ていくことになります。


意外や意外。
私はこの戦後の家族を見て
今と同じだと感じました。




広島県に住む
平岡 周吉(笠 智衆)ととみ(東山 千栄子)は
東京で暮らす子供たちの家を訪ねます。


けれども長男はお医者さん、
長女は美容師として今の生活があり、
なかなか時間を取れません。

結局自分の仕事を休んでまで
2人と一緒に過ごしてくれたのは
戦死した次男の嫁紀子(原 節子)だけ…


その後予定より少し早めに帰った
とみの体に異変が起きるのですが…




終戦から8年。
まだまだ先の見えない中で
変わりゆく家族の関係を描き、
世界的に評価されているヒューマンドラマです









年齢のせいなのか、
最近非常に"家族"を描いた映画やドラマを
好んで見るようになった。

だからこの企画は私にとって
タイムリーと言えばタイムリー。



裏を返せば、
"誰でも"
年を重ねていくとだんだんそこに行きつくのでしょう。
山田監督も、その特番の中でおっしゃってましたけど。


そんな私が″同じだ″と言うのは
いつの時代も、
″家族が「崩壊しつつある」と危惧するものだ。″と感じたから。

年を重ねた人が「今の若い者は」と嘆くのと一緒。



この映画の中では
母親が亡くなった時でさえ
自分で仕事をしている2人はさっさと帰ってしまった。
大阪に勤めている息子も。


少し残って周吉を支えたのは、紀子だけで
それに不満をもらした1番下の次女(香川 京子)に
彼女はこう言います。


「大人になると自分の生活が大事になるものなのよ。
 嫌だけど、仕方のない事だわ。」と。


ここが肝ですよね。
本来なら、
″家族は支えあうもの。何をおいても優先すべきもの。″


その姿が崩れていっている、
憂慮すべだって事ですよね。



正直、今から50年も前は当たり前だと
この映画を見るまで私は思っていた。
でもその時代からそれを心配していたなんて…



今と何ら変わらないって事じゃありません



つまりね、
誰もが″何より優先しあう家族″を理想としている。

けれど現実問題
仕事や自分の子供、パートナー、親、パートナーの親…と
どこかを優先させたら、
何かを、誰かを諦めなければいけない。
全部を1番にするなんて不可能な訳です。


だから別に″自分の生活が大事だから″とかの次元ではなく
当たり前なんだと思うのです。


何ら家族は崩壊していない。
単に昔みたいに判り易い形をしていないだけで
親や子を思う気持ちは今も昔も同じ。


ろくでもない親や子供は昔だっていたし
実際、周りでもよくそういう話を聞きますよ。
だだ現代の方が明るみに出やすいだけで。


そもそも「崩壊している」と心配する人は
だいたいその渦中にいなくて一歩引いて、
俯瞰で見ている。
だから「理想像」が全面に出て、ますます心配してしまうんじゃないかなぁ。


そう考えると、
単に寿命が延びている分、
結婚や子育てが少しくらい遅くなったって
大して問題じゃない


現に私の周りの家族は、
文句ばっかり言ってるけど
客観的に見て、愛に溢れていると思いますよ。

一緒に居られれば十分で、
それ以上は求め過ぎなんじゃない?
そもそも家族に「あるべき」形なんてないんじゃないかなぁ






なるほどな~
その時々の″問題点″をしっかり描いている作品を見ると
今の問題点が浮き彫りになったり
逆によい部分に気づかされたりと
考える材料にもなるんですね~~


非常に興味深く拝見しました




とまあたぶんこの日本を代表する作品に
こんな変な感想を書く人はいないでしょうが
年を重ねて
それこそ私に子供ができたら、また見たいなぁと思います



そうそう、12月には山田監督
この作品をリメイクした″東京家族″が公開されます
う~ん、今から楽しみ

″正義″という仮面を被った自己中

2011-04-03 15:00:32 | 邦画ヒューマン
上映時間は10分間の休憩をはさんで3時間22分。

こ~んなに長い映画が
日本アカデミー賞作品賞を受賞したのは
初めてなんですって

結構前にWOWOWでやっていたのですが
お家でもこれだけ長い時間を捻出するのは大変


ピザを注文して、完全なる鑑賞モード



沈まぬ太陽 



日航機墜落事故をもとにした
山崎 豊子さんの小説が原作。

物語は大きく2つに分かれています。




国民航空に勤める恩地 元(渡辺 謙)は
社員の待遇を改善するため
労働組合委員長として全力を尽くしています。


けれど雇う側からすればやっかいな存在…



結果として懲罰的ともいえる海外勤務。
通常なら1度外国で働けば
元に戻れるのですが、彼はナイロビ、カラチ、テヘラン…
そして再びナイロビと次々に別の場所に。



最初は妻であるりつ子(鈴木 京香)も
2人の子供と一緒に付いてきたのですが
年老いた母をいつまでも1人にする事もできず
結局日本に残ります。





一方、恩地が委員長だった時の
副委員長行天 四朗(三浦 友和)は
すぐに鞍替えし、出世街道に。





そして1985年8月12日。
国民航空123便は群馬県に墜落します。
死者520名、生存者4名…



遺族への対応も不誠実で
自分達の利益ばかりを考える会社に
憤りを感じならがらも、
働き続ける事を選んだ1人の男の物語です











最初に″物語は大きく2つに分かれる″と書きましたが
1つは墜落事故のお話。


3時間強という長さを削るなら
こっちだよなぁ…



あ、勝手に削ろうとしているけど
映画好きの私でもやっぱり長い



この″突然大切な人を失う痛み″というのは
皆が知っている。
どうしても今起きている東日本大震災と重ねてしまうのですが
多くの悲惨な映像が流れる中、
涙なくして見られないのは
ある人物にスポットを当てた時。

その人を見たら、すべてが判ってしまうのです…






きっと日航機墜落事故でも
同じ様な人が大勢いたはず…




だから1人に絞ってよかったんじゃないかな
この場合、存在感を見せつけた
木村 多江さんかな、やっぱり




と好きに書いているけど
これで3時間切りました~~



もう1人役者としては香川 照之さん

恩地を慕っていながらも
行天の犬となり
最後は自殺した彼。

行天の悪行をすべて記し、
告発するために投函した時のあの顔



あの悪るそ~な顔は
酸いも甘いも知っていないとできません
恐れ入りました




そしてもう1つは不器用な男のお話。

昔はすごく解った気がするけど
今は…


何だろうね。
確かに理不尽を受け入れるのは大変。
自分の事ばかり考えている会社や人にもうんざり。
でもちょっと待って。


自分のポリシーを貫くだけのために
家族の事を考えずに、甘えているのは
自分の事ばかり考えている人ではないの
自分が嫌悪している人達と何が違うの




いや、むしろ
″正義″という言葉を借りて正当化している分
もっとやっかいなんじゃないだろうか…



そういう意味でこの手の話には最近手厳しい私


ま、でも一緒に見た相方は5つと言っていたので
男性は好きなストーリーかもしれませんね

たいした事ないけどすごいぞ、かあさん

2011-03-10 16:32:41 | 邦画ヒューマン
″元夫婦が夫婦役をやる″と話題になり
確かにそれに食指が動かされたのもある。


けれどそれ以上に女優・小泉 今日子が見たかったし、
マンガも好き


期待通りの秀逸な作品に仕上がっていました



毎日かあさん


久しぶりにはしごしました~


監督は小林 聖太郎さん、
お父さんは上岡 龍太郎さんですよ。



それにしても″ブンジ″は
マンガのまんまだなぁ。ぷぷぷ





サイバラ エリコ(小泉 今日子)は
お母さんに手伝ってもらいながら
2人の子供ブンジ(矢部 光祐)とフミ(小西 舞優)を
育てている。

職業は漫画家。

カモシダ ユタカ(永瀬 正敏)は
元戦場カメラマンでアルコール依存症


何度も″もう酒はやめた″と宣言しては、
破り、
血を吐いている。

今度吐いたら死ぬと医者に言われているのに…




このままじゃ私達まで駄目になる
だから離婚…




そんな中、カモシダが癌で
余命わずかだと判り…





現在テレビで放送中の″毎日かあさん″の作者
西原 理恵子さんの実話をもとに
世の中の母へエールを送る物語です










見終えたら、心がほくほくした

そうそう、きっとそう。

子育てってたいした事じゃないけど、すごい事なんだよ。



1人1人細かく見たら
そりゃ大変なことは山ほどあるだろうけど
それ以上に喜びも一杯あるだろうし、
何と言っても、映画の中の言葉を借りるなら

″世界中の女がやっている″



だからとりたてて、褒められる事ではないけど
身内にはその大変さを理解して
支えて欲しいよね。


それを解っているからこそ
カモシダについても
壮絶な体験というより、皆に起こり得る
″家族の1つの困難″と受け止められる。




″働く意味″についてもだよね。

やっぱり仕事は″食っていく″手段。
その上で、やりがいは見つけていくもの。
はき違えちゃいけないよね。




いいな~。
こういう″当たり前″を″当たり前″に
押しつけがましくなく描いている感じ


太陽や月の様な個性は無いけれど
無いと困る空気の様な映画。
私は好きです




そして今回1番びっくりしたのは永瀬さんの写真。
エンドロールで映し出された瞬間、
「あ、カモシダが残りの人生を刻み付ける為に
 撮っていた写真だ」と判ったけど
まさか本当に
永瀬さんが撮っているとは思いませんでした


写真から醸し出される思いは
まさに父親のもの。
ここまでできるなんて、
永瀬さんは本当に素晴らしい役者さんなんですね

小泉さんが離婚しても
褒めていたのも納得です


世界中のお母さんお疲れ様です