佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

北陸の旅~削られた大地~

2009-08-18 | 
3日目。
宿を出て1時間足らずで最初の目的地「東尋坊」に着きました。




ここは福井県坂井市三国町。越前加賀海岸国定公園に属しています。
輝石安山岩でできた岩肌が海食によって削られ、柱状節理の岩壁が続きます。
その規模は世界的にも珍しく、国の天然記念物の指定を受けているそうです。



昔、勝山市平泉寺に住んでいた東尋坊というお坊さんは乱暴者で仲間の僧達から恨まれていて、
ある日この断崖から投げ込まれ、殺されてしまいました。
その直後から雷や暴風雨が49日も続き、みんなはその霊を慰めるため祈りました。
それから人々はこの崖を「東尋坊」と呼ぶようになったそうです。



遊覧船に乗って海から見上げるとこんな感じです。
今日も太陽の日差しは強烈ですが、船の中、窓を開けると潮風がとても心地よく吹き渡ります。


東尋坊を出て金津から北陸自動車道を北上。金沢西で降りました。
行先は、金沢城でも兼六園でもありません。
香林坊でもありません。

街中を抜け、犀川に沿って上流に向かいます。
住宅地を過ぎてしばらく行くと、見えてきました。
辰巳ダムです。 建設中です。


このダムは全国的にも珍しい洪水調節(流水型)ダムです。
「通常は水を貯めないので単なる河川の一部のようなもので、魚介類の遡上も可能。
大雨で洪水が起きそうな時にその機能を最大限発揮する」と説明されています。
はたして本当にそうでしょうか…。

県は2007年1月、北陸地方整備局に「ダム建設の事業認定」を申請、
同年11月に認定されました。
そして、土地収用法に基づき建設予定地の反対派住民の土地を強制収用する方針を表明。
それを受けて反対派は、事業認定の取り消しを求め、現在訴訟中です。

私たちが関わっている石木ダムの一歩前を行く事例のようで、関心を持っていました。
この裁判の結末はどうなるのか?
はたして本当に土地の強制収用は行われるのか?
そういった関心が、私の足を向かわせました。

工事現場に近づくことはできなくて、遠くから見るだけでしたが、
そこで感じたのは、
やっぱりダムはまぎれもなく自然破壊をしているってこと。

四方すべて緑の山に囲まれた谷あいに薄茶色の台地が目に飛び込んできました。
まっ平らに削られて、その上をクレーン車やブルドーザーや人々が蠢いています。
みんなとても小さくて蟻んこのようです。



東尋坊の荒波は堅い岩肌を削って芸術的な海岸線を創ったけれど、
人間は柔らかな台地を削ってチャチな玩具しか作れない。
それも自然を傷めつける玩具。。

あの緑の山肌が誰かの手のように見えてきた。
そして、その手が、ある日ある時いきなりギュッと握りしめたら…
人も車も機械もみんな握りつぶされてしまう。
それが自然の仕返し。
あまりにも傲慢な人間の仕業に我慢できなくなった時、自然はきっと怒りを爆発させるだろう。


とりとめもない妄想を巡らしているうちに車は再び高速道路へ。
が、車線を間違え、北陸自動車道に入ってしまった。
ダメダメ、そっちに行ったら富山方面。
今夜は輪島だから北へ向かわなくっちゃ。

ということで次のインターで降りて後戻り、能登有料道路に入り北へ北へ。

能登金剛に着きました。
能登金剛とは、能登半島の東側30kmほどの海岸線で、日本海の荒波によって浸食されたもの。
その名は、朝鮮半島の景勝地、金剛山に因み、それに匹敵する景観という意味らしい。
「義経の船隠し」や「ヤセの断崖」などいくつかの見所があって全部は回りきれません。
鷹巣と巌門の2か所に絞りました。

こちらが、その巌門です。浸食されてすっかり穴があいています。


穴の下の水はこんなにきれいです!


この岩には人間が削って造った穴もあり、その階段を上っていくと…


幸せの「がんもん橋」のでました。

どうして幸せなんだろう?

この景色を見ることができるからでしょうか?



この巌門に降りていくところにはレストハウスやお土産屋さんがあって、
観光バスも止まっていましたが、
巌門の前に立ち寄った「鷹ノ巣」では、見物客の姿もなく、土産物店もひっそりしてました。

その理由がこれでした。


2007年の北陸地震。
その時は店内の商品もほとんど壊れ、地面には大きな亀裂が入り、本当に怖かった
と、お店の人が語ってくれました。
以来客足は遠のき、その上昨年の大不況で…と、肩を落としておられました。

自然の猛威の前では、人間の力など微々たるもの。
どうにもできませんね。

これ以上自然を破壊することはやめて、自然との共生を真剣に考えなければ…
そんなことを実感させられた一日でした。

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