佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

横浜にて~パタゴニアと石木ダム

2015-01-25 | 

何年ぶりでしょう?ヨコハマは。

住んでいたのは40年近くも前のこと。

その後、川崎、埼玉と移り住み、最後に遊びに来たのは佐世保に移住するずっと以前…

22日の朝、ホテルの部屋のカーテンを引くと、どんよりとした曇り空。

窓から見えるのも灰色のビル群。

あ、右端のユニークな形の建物は覚えている!

何とかってホテルで、左端が、ランドマークタワー。

で、真ん中はコスモワールドの観覧車!

あれー、あんなところに時計が!便利だな、遠くからでもよく見える。

7時26分か・・そうそう、あまりのんびりしてはいられません。

観光に来たわけではないのだから。

 

実は、アウトドアショップ『パタゴニア』の今年の秋冬コレクションの展示会にやってきたのです。

ファッションにもアウトドアにも縁のない私が何故、そんな展示会に行くのかって?

そのワケは…話せば長くなるので、興味のある方はこちらを見てくださいね~
http://blog.goo.ne.jp/hotaru392011/d/20150121

 

さて、朝食のためにレストランへ行くと、前方のテーブルに可愛いお客様がいて、

食事の間中、なぜか二人でイナイイナイバーの交換をする羽目に…

 

食事を終えて部屋へ戻る途中で、私の部屋とは反対側の窓の景色に釘付け!

あれー、目の前にあるのは赤レンガ倉庫!

大好きな吉永小百合の写真展を見るために、私は埼玉から、高校時代の友人は静岡から出かけ、

ここでン十年ぶりに落ち合った思い出の赤レンガ倉庫です。

その向こうに今回の会場の大桟橋、そしてそのまた向こうにベイブリッジがうっすらと見えました。

 

雨だったので、仲間のほーちゃんと二人でタクシーで大桟橋ターミナルへ。

ひろーい!!!

ここをずーっと抜けて、

目的地の大桟橋ホールまでは、まだまだ歩きます。

こんなところも通って・・・

さあ、着きました!

かっこいいウエアやグッズがいっぱい・・

かっこいい女性たちが・・商談しています。

ステージでは、パタゴニア日本支社長によるプレゼンテーションが始まっていました。

前日もそうでしたが、支社長さんは商品の話はせずに、ほとんどダムの話で終始。

この日も映画『ダムネーション』の話から始まって、

現在撤去中の荒瀬ダムの話(まだまだ撤去工事は途中なのに、どんなに球磨川の水が澄んできたか、

どんなに魚介類が増え、ノリが育っているかなど嬉しい報告)、そして、

長崎県で計画中の石木ダムの話へと移っていきました。

 

石木ダムの何が問題なのか?

・ダムの必要性が科学的に実証されていないこと

・そこで暮らしている住民の人権が侵されようとしていること

を指摘されました。

それは、いつも私たちが県や市に訴えていることですが、

何故それをパタゴニアというアウトドア用品の企業が、その商品を見に来たお客さんに訴えるのか、

私はそれが理解できなかったし、お客さんも同じではないかと、その時まで思っていました。

 

もちろん、アウトドアグッズが売れるためには、

アウトドアスポーツができるような自然環境を大切にしたいと思うでしょう。

美しい川、豊かな水量、澄んだ水質を求め、その結果ダムに反対するのはわかります。

でも、石木川はラフティングができるような大きな川ではないし、

アユやサケがたくさん遡上するような川でもないし、

何よりも、首都圏の皆さんには何の関係もない九州の片隅の小さな小さな小川です。

それとパタゴニア製品をどう結びつけるのかが疑問でした。

 

支社長の辻井さんはパタゴニアの企業精神として、

出来るだけ環境負荷を小さくすることを目指していること、

また、初めての例を実証することの大切さを語りました。

そして、誰かを犠牲にして利益を求める社会をパタゴニアは望んでいないと言いました。

 

おそらくそれは、オーガニックコットンに切り替えた話を念頭においてのことでしょう。

以前なにかで読んだのですが、綿花が栽培される時には、強い農薬が散布されるそうで、

コットン農家では深刻な健康被害が起きていて、土壌汚染、水質汚染等も深刻だったそうです。

こういう状況を知ったパタゴニアは、無農薬のオーガニックコットンを原料として採用することとし、

オーガニックコットンの栽培に転向した農家のコットンは、全て買い上げると約束しました。

しかし、「原材料を100%オーガニックコットンに切り換えたい」という創業者の提案に、

当初は当然、反対の声が多かったとのこと。

オーガニックコットンを使うと製造コストは倍増するし、

また当時はオーガニックコットンの生産量が非常に少なくて、原材料の確保も難しい状態でしたから。

それでもあえて冒険に踏み切ったのは「誰もやったことのないこと」に勇気を出して挑戦しよう、

そうしなければ未来は開けない…という地球環境への強い危機感があったようです。

このパタゴニアの取り組みは一つのモデルとなり、

NIKEやリーバイスなどの世界的企業が賛同し始めます。

今では、更に多くの他の企業がオーガニックコットンの使用を増やしているとか。

 

この話を思い出し、私にも何となく見えてきました。

アメリカ本社のパタゴニア創業者のイヴォン氏がコットン農家の人々の苦境を打開することによって、

コットン農家が健全になり、それを原料として良い製品が生まれていったように、

日本のパタゴニア支社の辻井氏も、初めてのことを実現しようとしているのではないか?

アメリカではダム撤去の時代に入ったけれど、日本ではまだまだダム建設が進められていて、

それがどんなに無駄だと地域が声を上げても行政は聞く耳を持たない。

地元住民は出て行かざるをえなくなり、市民は無気力になっていく。

石木ダムを止めることによって、不要なダムは止めることができるということが実証されれば、

人々のダムへの意識にも変化が起きる。

あちこちで計画中の不要なダムが止まるかも知れない。

最上小国川ダムが止まれば、ここでアユ釣りを楽しむ人はこれからもライフジャケットを着るだろう。

八ッ場ダムが止まれば、吾妻渓谷でカヤックを楽しむ若者たちはこれからもグッズを求めるだろう。

不要なダム計画を止め、不要となったダムを撤去し、日本の川を元気にすること、

それはパタゴニアの企業精神に相応しく、アウトドアショップの未来に希望を与えることに繋がる、

そんな見えない赤い糸が石木ダムとパタゴニアには繋がっているのかもしれない。

パタゴニアのお得意さんやディーラーさんたちにもそれは通じる話だったのかもしれません。

だからこそ、その後、たくさんの方々が「石木川まもり隊」のブースにやってきて、

強制収用反対の署名をしてくださったのだろう…そう思います。

 

ところで、今回出会ったパタゴニアの皆さんを見て気づいたことは、その若さ!

支社長をはじめ、皆さん、男性も女性もめちゃくちゃ若いのです。若く見えるのです。

20代かな?と思った人は40代で、30代かな?と思った人は40代や50代で…

肌がツヤツヤで、目がキラキラ。

不思議、不思議・・

そう言うと、皆さん首をかしげて「スポーツやってるからかな~」とおっしゃってましたが、

それだけではなさそう・・

キーワードは「目指す未来」かな?

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 満開の桜、明日でお別れ | トップ | いのちの重さ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

」カテゴリの最新記事