今朝の長崎新聞の一面トップ記事は「石木ダム事業認定」でした。
一面だけでなく社会面にも大きく取り上げられていました。
4年近く前に長崎県と佐世保市が申請したことに、国がやっと答えを出したのですが、
それは、ダムに反対する地権者にとっては、
大切なふるさとが奪われる手続きの扉が開かれたことを意味します。
大きな大きな節目でした。
この判断に対して言いたいことは山のようにあります。
ずっと石木ダム問題にかかわってきた者として、怒り、悔しさ、情けなさ…。
でも、何よりも感じたことは驚きでした。
この国のシステムは形だけで、中身が何もない。
政治制度は民主的に見えるけど、少しも国民が主人公ではない。
そのことを思い知り、驚きました。
石木ダム事業の再検証の時も、再評価の時も、形だけ。
その資料を作ったのは県や市の行政機関で、つまり事業者本人。
「ダムは必要」との結果が出るような資料しか作りません。
その資料を見て審議する第三者委員会も、ほとんどが御用学者や推進派。
まともな審議は為されず、すべて県や市の主張を追認。
公聴会では、賛成反対双方が時間も人数も平等に与えられましたが、
認定庁はそれをただ聴いただけ。結果には何も反映させず・・・
そして、昨日、ついに事業認定の告示が出されたのですが、
その最終判断を決めるための委員会、社会資本整備審議会の議事要旨を見て、
唖然としました。
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-shiryo/tochi/130906syakaisihonseibisinngikaigijirokuyousi.pdf
ここにまとめられた意見はどれも、石木ダム建設に懐疑的です。
異論を呈しています。
それなのに、同委員会の結論は、事業認定を認めるものになったのです。
なぜ???
審議の中身と結果が結びつきません。
それはやはり、はじめから答えが用意してあったからか…。
何のために審議会があるのだろう。
何のために委員たちは議論したのだろう。
ただ、形を整えるためだけとしか思えない。
第三者の意見も聞いて民主的にやってますよ、と見せかけるためだけに。
そんなことを考えていたら、ある資料が友人から転送されてきました。
原発ゼロのデンマークを視察された大野ひろみさんという方の報告でした。
デンマークは、1973年オイルショック時、ロラン島に原子力発電所建設計画浮上。
住民は「3年間の留保」を政府に要求。
以後、政府も原子力委員会も、賛成派反対派の意見を公開併記し、住民に配布。
島民の結論は「原発は要らない」→1985年政府が原発計画放棄。
すごい!
国も専門機関も、きちんと住民の声に耳を傾けている。
そして、それらの意見を公開し、住民自身にしっかり考える時間を与え、
住民の結論を尊重し、その結果を国政に反映させている。
これが、ほんとの民主主義。
日本とはなんという違いだろう。。。