昨日の長崎新聞に、歌壇6月号に特集された「震災のうた」の一部が掲載されていました。
東日本大震災を間近に体験した歌人たちの作品だそうです。
短歌にはほとんど縁がなかった私には、その文学的価値は「猫に小判」だけれど、
歌われている一コマ一コマが映像のように見えてきて、
歌っている人の恐怖や不安がずーんと伝わってきました。
「津波くるにげて!」と打ちき ガラスまみれの渡り廊下を ひた走りつつ
(走りながら携帯で津波のことを知らせていたんですね、大切な誰かに)
ベッドの上の私が、ベッドが、病院が ゆれて明かりの すべてが消えたり
(寝ている時の揺れは普通でも大きく感じるのに、入院中の方はどれほどの恐怖だったでしょう)
三万の 死者不明者とこの夜を 共に揺らるる 弱き余震に
ペットフードの 張り紙ありて人並ぶ 共に残りたる生命のために
てのひらに 天道虫のいるように ふかしぎに見き そのひとつぶを
(初めて見るヨウ素剤。目に見えない放射能の毒をほんとに排出してくれるのかという不思議さ)
ゆるやかに針の振れしをその人は しづかに告げて われを離れぬ
(被爆検査を受けた時、検査員の様子を見て、血の気の引く思いがしたのでは?)
歌壇に「復興のうた」特集が組まれる日が、一日も早くやってきますように・・・