佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

小出裕章氏、原子力行政を斬る!

2011-05-24 | さよなら原発

参議院の行政監視委員会「原発事故と行政監視の在り方」

 

昨日の午後1時を待ちかねてパソコンを開いた人も多かったのではないでしょうか?

私もその一人。

でも、参議院のインターネット中継、始まりませんでしたね。

アクセスが集中して繋がらなかったようです。

途中から見た方、諦めて見なかった方、後で録画を見た方、いろいろかな?

 

まだ、全然見てない方、参議院の以下のページから見れますよ。

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

 

それにしても、これだけ国民の関心を集めた委員会審議について、

新聞がほとんど報じてないのはなぜでしょう?

ネットで探しても、まともな記事は共同通信くらい。

 

原発推進政策に批判相次ぐ 参院委で小出京大助教ら

 東京電力福島第1原発事故を受け、参院行政監視委員会は23日、小出裕章・京都大原子炉実験所助教や、石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)ら4人を参考人として招き、原子力行政について討議した。参考人からは「破局的事故の可能性を無視してきた」(小出氏)など、これまでの原発推進政策を批判する意見が相次いだ。

 小出氏は、今回の事故対応で「政府は一貫して事故を過小評価し、楽観的な見通しで行動した」とし、放射性物質の拡散予測など情報公開の遅れも批判。また、国が「核燃料サイクル」の柱と位置付けてきた高速増殖炉の例を挙げ、当初1980年代とされた実用化のめどが立たないのに、関係機関の間で責任の所在が明確でないとした。

 石橋氏は、地球の全地震の約10%が日本に集中しており、「原発建設に適さない場所である」と強調。原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院が「原発擁護機関になっている」とし、安全性の審査が骨抜きになっていると指摘した。

 ソフトバンクの孫正義社長は、太陽光など再生可能エネルギーの活用を提言。元原子力プラント設計技術者の後藤政志・芝浦工大非常勤講師も「完璧な事故対策の模索より、新たな分野へのエネルギーシフトの方が容易」と、脱原発を訴えた。

 

朝日新聞も書いてはいるけれど、

太陽光発電など自然エネルギーへのシフトを訴える孫正義ソフトバンク社長の発言に注目し、

大事な話が抜けています。

 多くの人々が感動すら覚えた、歴史的な参考人質疑の真髄は、

これまでの政府の原子力政策をきっぱりと斬ってみせた小出裕章氏の渾身の訴えだったのに。

 

でも、大丈夫。

小出氏の発言については、次のサイトでその内容の要点がしっかりまとめられています。

http://hiroakikoide.wordpress.com/

以下、転載させて頂きます。

 

・原子力を進めてきた行政に対して一言申すために来た。

・私はもともと原子力こそ未来のエネルギー源だと考え、夢を抱いて、原子力工学科に入った。

ただ、入ってから調べてみて、原子力が貧弱な資源だということに気づいた。


・エネルギー資源の量だが、確認埋蔵量が最も多いのは石炭。

世界が使っているエネルギーを60〜70年まかなえる。

究極埋蔵量の石炭がすべて使えるとしたら、800年近く分ある。

天然ガスも石油もオイルシェール、タールサンドもある。

これに対し、原子力の資源であるウランの量は、石油の数分の1、石炭の数十分の1に過ぎない。

 

・こう言うと、推進派は、それは核分裂性のウランの量だけで、我々が使うのは非核分裂性のウランをプルトニウムに変換したものだから問題ないと反論する。

そして、高速増殖炉という特殊な原子炉でプルトニウムを増殖させて再処理をしつつ核燃料サイクルで回しながらエネルギー源にするとしてきた。


・この構想の中心にある日本の高速増殖炉は破綻している。

政府の原子力開発利用長期計画を見ると、最初は1968年の計画で高速増殖炉は1980年代前半に実用化としていた。

次の計画では1990年前後、その5年後の計画では2000年前後、その次は2010年になった。

その後は、実用化ではなく2020年代に技術体系を確立したいとした。

次は2030年に確立とした。

その次の2000年の改訂では年度を示すことができなかった。

次の2005年の改訂(原子力政策大綱)では、2050年に一基目の高速増殖炉を作るという計画になった。

 

・どんどん目標が逃げているのは明らか。

10年経つと目標は20年先に逃げている。永遠に辿りつけない。

ところがこれを作った原子力委員会やそれを支える行政は一切責任をとっていない。

 

・高速増殖炉の原型炉であるもんじゅだけでも1兆円以上を無駄にしてきた。

現在の裁判制度では1億円の詐欺で1年の実刑という。

1兆円だと何年の実刑になるのか?1万年だ。

行政のなかにもんじゅの責任者が仮に100人いるとしたら一人あたり100年の実刑になる。

それほどのことなのに、誰も責任をとっていない。原子力は異常な世界だと思う。


・原子力発電は膨大な放射能を取り扱う技術。

広島の原爆のウランの量は800グラム。一つの原子力発電所で1年で1トンのウランを燃やす。

それだけの核分裂生成物という放射性物質を作っているということ。

機械である原発が故障するのは当たり前。原発を動かす人間も、誤りをおかすもの。

破局的事故の可能性は常にある。

原子力推進側は、想定不適当という烙印を押してそういう可能性を無視してきた。

 

・たとえば中部電力は、原発には多くの壁があるから大丈夫だとウェブサイトで主張している。

特に第四の壁である格納容器が重要だが、これがどんな時でも放射能を閉じ込めるとしている。

原子炉立地審査指針に基づいて重大事故を想定しているとはしているが、格納容器は絶対に壊れないという前提になっており、放射能が漏れるような事故を考えるのは想定不適当だとしてきた。


・ところが実際に福島でそういう事故が起きてまだ進行中。

この事故に対する行政の対応は大変不適切だ。

防災の原則は危険を大きめに評価して予め対策をすること。

が、今回日本政府は一貫して過小評価して楽観的な見通しで行動してきた。

国際事故評価尺度も、最後の最後になるまでレベル7にしなかった。

避難区域も最初は万一を考えてということで半径3キロの住民を対象にした。

しばらくすると10キロに拡大したが、それも「万一」と言った。

その後20キロになったときも「万一のときのため」とした。

 

・私はパニックを防ぐ唯一の手段は、正確な情報を常に公開することだと考える。

残念ながら日本の行政はそうではなく、常に情報を隠し、危機的な状況ではないと言い続けてきた。

時間とお金をかけてきたSPEEDIの結果も隠して住民に知らせなかった。

 

・更に、誰の責任か明らかにしないまま、労働者や住民に犠牲を強制している。

福島の原発労働者の被曝限度量を引き上げたり、住民の避難の基準も法律の基準とは全く違うものになっている。

こんなことをしていていいのか。

 

・事故の本当の被害はどのくらいになるのだろうかと考えると途方にくれる。

現在の法律を厳密に適用すると、福島県全域の土地を放棄するほどになる。

それを避けようとすると住民の被曝限度を引き上げるしかないが、そうなると被曝が強制されることになる。

 

・一次産業はものすごい苦難に陥るだろう。住民は故郷を追われ、生活が崩壊する。

東電が賠償するといっても、何度倒産しても足りないだろう。

日本国が倒産しても贖いきれないほどの被害が出るだろう。

 

・ガンジーが七つの社会的罪ということを言い、それが墓の碑文として残っている。

理念なき政治。労働なき富。良心なき快楽。人格なき知識。

道徳なき商業。人間性なき科学。献身なき崇拝。

それぞれ噛み締めてほしいと思う。

 

コメント (4)
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