ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ホテル・カリフォルニア (Hotel California)

2005年11月28日 | 名盤

 
 アメリカン・ロック史上に残る永遠の名盤です。
 当時のロック好きな友達は、イーグルスのファンでなくとも、たいていこのアルバムを持っていたような気がします。
 1976年12月にリリースされたこのアルバムはすぐチャートを上昇し、ビルボードのアルバム・チャートで8週連続1位を記録しました。アルバムの売り上げは現在までに全世界で2000万枚以上を数える、まさにモンスター・アルバムです。
 タイトル・ナンバーももちろん大ヒットし、1978年度のグラミー賞最優秀レコード賞を受賞しました。
 ちなみにこの曲は、日本では1996年にTBS系テレビドラマ「その気になるまで」の主題曲に起用され、リバイバル・ヒットしました。


 イーグルスは、それまではカントリー・ミュージック系バンドというイメージが強かったのですが、ドン・フェルダーが参加したあたりから徐々にロック色が濃くなってゆきます。そしてこのアルバムからジョー・ウォルシュが参加したことによって、いっそうその傾向がが強まった感があります。
 ドン・フェルダーとのツイン・リード・ギターが新たなセールス・ポイントとしてクローズ・アップされるようになりましたが、今までの特徴のひとつであるアコースティックな響きを生かしたウエスト・コースト・サウンドは健在です。
 また4人のリード・ボーカリストを擁していることに加え、メンバー全員で取る美しいコーラスはイーグルス・サウンドに欠かすことができない強みです。


     

     


 大ヒットした『ホテル・カリフォルニア』、さわやかなウエスト・コースト・サウンドの『ニュー・キッド・イン・タウン』、ファンキーでイカした『駆け足の人生』、胸を打つバラード『時は流れて』など、名曲のオン・パレード。
 曲作りには、ドン・ヘンリーとグレン・フライというふたりの大きな柱に加え、旧友J.D.サウザーが加わっています。サウザーの参加は作曲面でのバンドの停滞を防ぎ、サウンドの活性化に繋がっているように思えますね。
 そしてウォルシュの作曲面での貢献も見逃せないと思います。
 伝統的なアメリカン・ロックの雰囲気を残しながらもロックやファンクの要素を大きく取り入れ、『駆け足の人生』『お前を夢みて』のふたつの佳曲を提供しています。
 またランディ・マイズナーの優しいバラードがこのアルバムでも健在なのは嬉しいですね。『素晴らしい愛をもう一度』では優しい歌声と古き良きアメリカを思わせるどこかセンチメンタルな雰囲気のするサウンドを聴くことができます。
 ぼくがとくに好きなのは、『時は流れて』以降の流れです。人影のない広野のはるか向こうにオレンジ色の夕陽を徐々に沈んでゆき、濃い夕闇が少しずつ迫ってくるような、そんなイメージが頭に広がるのです。


     


 聴いているうちに、昔のことをいろいろ思い出すアルバムがありますが、これなんか、ぼくにとってはそんな作品です。
 このアルバムを初めて手に取り、毎日のように聴いていた頃はどんな心境だったか、とか、どんなことを考えていたか、というようなことがはっきり思い出されるんです。いわばこの作品は、青春の悩みとともに味わった一枚である、というわけです。


     


 コーラス・ワークの素晴らしさはもちろん、おもなリード・ボーカリストであるドン・ヘンリー、グレン・フレイ、ランディ・マイズナーが、それぞれの持ち味を出しきって歌っているところも大きな魅力でしょう。とくにドン・ヘンリーの色気たっぷりの歌声は、多くの女性ファンの胸をかきむしったに違いありません。


 今日は夕方から宵にかけて、このアルバムをじっくり聴きました。やはりよい作品というものは、聴き手の気持ちを別の世界に連れて行くことのできるエネルギーに満ちているんですね。


     



ホテル・カリフォルニア/Hotel California
  
■歌・演奏
    イーグルス/Eagles
  ■リリース
    1976年12月8日
  ■プロデュース
    ビル・シムジク/Bill Szymczyk
  ■収録曲
   Side-A
    ① ホテル・カリフォルニア/Hotel California (Felder, Henley, Frey)
    ② ニュー・キッド・イン・タウン/New Kid in Town (Henley, Frey, J.D.Souther)
    ③ 駆け足の人生/Life in the Fast Lane (Henley, Frey, Walsh)
    ④ 時は流れて/Wasted Time (Henley, Frey)
   Side-B
    ⑤ 時は流れて(リプライズ)/Wasted Time(Reprise) (Henley, Frey, Jim Ed Norman)
    ⑥ 暗黙の日々/Victim of Love (Henley, Frey, Felder, J.D.Souther)
    ⑦ お前を夢みて/Pretty Maids Aii in a Row (Walsh, Joe Vitale)
    ⑧ 素晴らしい愛をもう一度/Try and Love Again (Meisner)
    ⑨ ラスト・リゾート/The Last Resort (Henley, Frey)
  ■録音メンバー
   ☆イーグルス/Eagles
    グレン・フライ/Glenn Frey (guitars, keyboards, vocals, lead-vocal②)
    ジョー・ウォルシュ/Joe Walsh (guitars, keyboards, vocals, lead-vocal⑦)
    ドン・フェルダー/Don Felder (guitars, vocals)
    ランディ・マイズナー/Randy Meisner (bass, vocals, lead-vocal⑧)
    ドン・ヘンリー/Don Henley (drums, vocalslead-vocals①③④⑥⑨)
  ■チャート最高位
    1977年週間アルバム・チャート  アメリカ(ビルボード)1位、イギリス2位、日本(オリコン)2位
    1977年年間アルバム・チャート  アメリカ(ビルボード)4位、イギリス9位、日本(オリコン洋楽アルバム)1位



     




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5 コメント

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You Can Never Leave! (bugalu)
2006-03-30 01:10:43
2005-11-28 23:59:43



ワタクシ、阿呆ですので、このアルバムは、アナログ盤LP、普通のCD、リマスターの紙ジャケCDと三種持っています。

多分、我が生涯に於いて、最も多く聴いたアルバムです。出会いは中二の時でありました。1983年の年末にNHK-FMで「ロック講談」って、ヘンでオモシロイ特番がありまして、その中でイーグルスの回があって、それ以来、音楽地獄を抜け出せません。



それから、あまり、言われないコトですが、イーグルスの歌詞は実は深い。ホテル・カリフォルニアだけじゃありませんよね。山本安見さんの訳による訳詩集もきちんと、二版とも買いました。(阿呆だから・・・)



あと、ですね。

このクラスのバンドとかアルバムになると、敢えてカッコつけて批判するというヒト達も居ますが、ワタシはそういうのは浅いと思います。奇を衒わないオーソドックスな音楽性でこれだけのモノって、凄い事ですよね。

とにかくこのアルバムは究極だと思います。



「アメリカン・ロック史上に残る永遠の名盤です。」という冒頭のコメント。

最高ですわ~。「同感!」100連発。
返信する
bugaluさん (MINAGI)
2006-03-30 01:12:10
2005-11-29 15:46:49



ほんとはね、「ポピュラー音楽史上に残る~」と書こうかな、と思ったくらいなんです。「アメリカン・ロック」という言葉がとても似合うグループだと思うので、そちらにしてしまいましたけれど。



>三種持っています

 うんうん!、気持ちわかります!



>敢えてカッコつけて批判

 一定の評価を得ているものを批判することによって、自分がそのものよりレベルが上であることを示そうとする人には困ったものです。音楽について語っているのではなくて、自分の主張を強引に通したいだけなんですから。逆に、そういうタイプの人は、いくら良い作品を聴いても、その良さがわからないんじゃないか、と思います。



 「ホテル・カリフォルニア」って、全く古びてないし、しっかり練り上げらてますよね。申し分のない、素晴らしい作品です。
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Unknown (wallflower)
2006-03-30 01:13:21
2005-11-29 16:14:59



名アルバム中の名アルバムですよね。

よく"Hotel California" ばかり取り上げられますが、他にも

"Wasted Time"

"Victim Of Love"

"Pretty Maids All In A Row"

"The Last Resort"

等など本当に大好きな曲だらけです。
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くどいようですが追加 (wallflower)
2006-03-30 01:14:19
2005-11-29 16:18:05



\"Pretty Maids All In A Row\" の曲の終盤はとっても綺麗なコーラスとともに曲が終わっていきますよね。

まさに絶品ですね。

返信する
wallflowerさん (MINAGI)
2006-03-30 01:15:13
2005-11-29 16:47:20



このアルバム、シングル・カットされた1~3曲目ばかりがクローズ・アップされることが多いんですが、実は4曲目以降の充実度がすばらしいんですよね。

どの曲も、「このアルバムに収められている必然性」があるって感じがします。



佳曲ばかりで、とっても充実したアルバムですよね。聴くほどに愛着が湧いてきます。





>綺麗なコーラス

 コーラスワークの見事なグループって数多いですけど、イーグルスのコーラスって、その中でもひときわキレイだと思うんですよ。

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