ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

アウトサイド・バイ・ザ・スウィング (Outside By The Swing)

2005年11月01日 | 名盤

 外見は、繊細で、清楚な色気のある山中千尋です。
 しかし彼女のピアノはどうしてどうしてそんな弱々しいものではなく、緊張感に満ちていて、時には豪快で、時にはリリカルなサウンドを奏でます。


 「アウトサイド・バイ・ザ・スウィング」は、彼女の4枚目のアルバムになります。
 タイトルには、「キーを替えて弾く」ことと「外のブランコの横で」のふたつの意味を持たせているそうです。





 収められている作品には、スリリングな展開の曲、リリカルなバラード、ラグタイム風、ゴスペル風など、さまざまなタイプの曲がひしめき合っています。
 これらの題材を料理せんとする山中千尋のピアノは、クールな中にもしなやかさがあり、コケティッシュでありながらも実に強靭です。


 彼女自身のオリジナルは4曲。自身のカラーが一番濃く出ているのは、やっぱりオリジナル曲だと思います。

 それに加えて取り上げているのは、ジャズのスタンダード・ナンバーはもちろんのこと、彼女の出身地の民謡である「八木節」や、中島みゆきの作品など、とても多彩です。
 スタンダード・ナンバーも一貫して「千尋カラー」で再構築されています。なかでも、メロディカ・ピアノ(ピアニカに似た楽器)を使って小品風に演奏している「キャンディ」には、良い意味で意表をつかれましたね。
 



    

 このアルバムで共演しているのは、百戦錬磨のロバート・ハーストとジェフ・"テイン"・ワッツです。
 臆するどころか、彼女の音楽観が色濃く出ているのは変わりません。
 変わらないどころか、さらに「千尋節」が研ぎ澄まされ、洗練されているようです。
 アルバムを通して流れてくるのは、一貫した「山中千尋の豊かな表情」のような気がしました。聴いていて楽しかったです。


 次のアルバムではどんな表情を見せてくれるのかな。今から楽しみに待っていることにします。



◆アウトサイド・バイ・ザ・スウィング/Outside By The Swing
  ■リリース
    2005年9月7日
  ■演奏
    山中千尋
  ■プロデュース
    山中千尋
  ■録音
    アヴァター・スタジオ(ニューヨーク市) 2005年5月13日~5月15日
  ■収録曲
    ① Outside By The Swing (Chihiro Yamanaka)
    ② I Will Wait (Chihiro Yamanaka)
    ③ Impulsive (E. Elias)
    ④ He's Got The Whole World In His Hands (Traditional)
    
⑤Teared Diary (Attends Ou Va-T'en) (S. Gainsbourg) 
    ⑥ Yagibushi~Revised Version (Traditional)
    ⑦ Cleopatra's Dream (B. Powell)
    ⑧ Matsuribayashi/Happy-Go-Lucky Local (M. Nakajima, D. Ellington, B. Strayhorn)
    ⑨ 2:30 Rag (Chihiro Yamanaka)
    ⑩ Living Without Friday (Chihiro Yamanaka)
    ⑪ Angel Eyes (E. Brent, M. Dennis)
    ⑫ All The Things You Are (O. HammersteimⅡ, J. Kern)
    ⑬ Candy (M. David, A. Kramer, J. Whitney)
   ※all songs arranged by Chihiro Yamanaka
  ■録音メンバー
    山中千尋/Chihiro Yamanaka (piano)
    ロバート・ハースト/Robert Hurst (bass)
    ジェフ・"テイン"・ワッツ/Jeff "Tain" Watts (drums)
  ■レーベル
    ヴァーヴ/Verve


コメント (4)
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