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小品発表会

2018-12-16 21:26:43 | お芝居演劇
 阪神大会が終わってはや一ヶ月。春季、アイフェスの台本作りも始めなきゃ間に合わねえぞって県高演劇部。理由は?いつも作品作りに時間がかかるから。遊んでるわけじゃないっす。むしろもっと遊べよ若人ってぐらい真面目。おんなじダメを行ったり来たり。ダメもらっても全然吹っ切れない。おんなじダメを何度も食らう。要するに滅びるパターン。これじゃラチがあかないわけで。そんなヤツらが役者として成長する最大の作戦は?と聞かれると答えはただ一つ。「公演を数多く経験する」です。

 そこで企画提案してみました。「短くてもいいので校内で小品発表会をやってみない?」

 反応は悪くない。やってみたいって。イイでしょう。上出来です。作戦は7人居る部員からプロデューサーを3人募集。それぞれが自分のやりたい15分程度の小品を企画、台本作成、稽古から上演まで、メンバー全員を使って作成するルール。人気のある役者さんは同時に3本の作品に出演する可能性もあるわけで。
 期末考査前に約一週間。彼女たちの苦悩は始まった。これが遅々として進まねえ。予測はついてたんだけど、オリジナル台本をかれこれ1年間作れていないわけで、思いつかぬ事山のごとし。ぷうかの「野菜の話」、ろっぷの「自然な日常会話で出来上がってる劇」、鶴に至っては…。あっという間に試験期間に突入。この段階で目処は一切たってなかった。

 試験開け、再集合したメンバーの目には困惑が透けて見える。ホントにやるの? びびってるもんだから先輩に「こんなんするから来てください」の声もかけられない。できるならこの企画、無かったことにした方がいいかもって気配すら感じた。どっこいあきません。担いだ神輿は降ろせまへんって教えてなかったっけ。「やるで。」の一言。
 残された時間はホントに1週間。いくつかアイディアを出してみる。テコ作、春季アイフェス台本の卵になりそうなまさに「小品」には、教室で持ち主の居ない空っぽの机を前に話す二人の物語。1年テコが台本を書き始めた。即興を苦手とするメンバーに、短時間で作品を仕上げるには即興要素を出しやすくするための「うんうんエチュード」の提案。話し手は「演劇する人としての私」というテーマで3分間自分を語る。大切なのは自分の選んだ相手役に、セリフで書くと「うん」というセリフのみで聞いてもらうという仕掛け。観客や空間に向かって一人台詞を語るのではなく、目の前の相棒に聞いてもらうことで出てくるリアルを形にする。だから「うんうんエチュード」。最後は台本覚える時間も無いもんだから、リーディングなんだけど、別な役者がセリフ無し、動きのみのマリオネットを務める二人一組一役担当の「マリオネットリーディング」以上この3部作を上演することに決定した。

 そこからは四の五の言わない稽古の連続。「公演明日やねんで、そろそろ自分の都合で止めんと無理矢理でも続けようや!」なんて熱いセリフも漏れ聞こえる。横目で見ながらよしよしと思いつつもドキドキする。ハートが弱いとか、不器用とか、思いつかないとか、ひらめかないとか、宇宙人的とか、来てくださるお客さんには関係ないわけで。演じる自分たちの都合なんて、全然関係ないわけで。

 当日、来てくださったお客さんはたった5人。出演者は7人。声かけられなかったのは自分たちに自信が足りなかったから。それでもとても暖かく観て頂き、やってる側も本気で楽しかったみたい。ごのいも初挑戦した「うんうんエチュード」の面白さには驚かされた。舞台に立つこと自体苦手で照明に回っているテンの即興は、言葉にならない分体全体から思いが噴出してくるようで涙が出そうになった。いつもはセリフに振り回され、ダメに追い回され、普通しか演じられないびみょ~なヤツらの奥底に、あんなにリアルでピュアな魅力が隠れてるんだと再発見。作品作りに革命が起きる日も近いのでは?って気になった素敵な1日でした。きっとまた、すぐに煮詰まると思うんだけど、困ったらちゃんと身を削ってみようよ。何か出てくるはずだからさ。

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