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ウェス・アンダーソン監督『ファンタスティック Mr.Fox』その1

2013-02-23 08:55:00 | ノンジャンル
 ウェス・アンダーソン監督・共同脚本・共同製作の'09年作品『ファンタスティック Mr.Fox』をWOWOWシネマで見ました。
 「ボギス バンス ビーンはデブ チビ ヤセ。見かけはまるで違うけど、腹の黒さは皆同じ」の字幕。丘の上の1本の木に寄りかかっていたキツネのMR.フォックス(声;ジョージ・クルーニー)は医者から戻ってきたMrs.フォックス(〃メリル・ストリープ)と一緒に家へ向かいます。途中、トリ泥棒のプロであるMr.フォックスは“バークのヒナバト農場”を横切り、ヒナバトを持って帰ろうとしますが、キツネの罠に自らはまります。そこで妊娠を告げられるMr.フォックスは、明日の命があるならば仕事を変えることを誓います。
 “2年後(キツネ年の12年後)”の字幕。自宅に配達された新聞で、自らが書いているコラム“Mr.フォックスの穴場ガイド”を読むMr.フォックスは妻と穴暮らしから抜け出さないとと話します。反抗期の息子のアッシュ。新しい家としてブナの木を見たMr.フォックスは、間抜けな管理人のカイリと出会い、その家から3つの農場を眺めます。“アナグマ&ビーバー法律事務所”の字幕。アナグマは農場の持ち主が3悪人と呼ばれ、ボギスは養鶏場を経営する大男で、バンスはガチョウを飼育する太鼓腹のチビで、ビーンは七面鳥とリンゴ酒で儲けるヤセで冷酷な男であり、冒頭の歌詞の童歌をテープでMr.フォックスに聞かせ、ブナの木を借りることを止めさせようとしますが、Mr.フォックスは言うことを聞きません。Mr.フォックスが家に帰ると、アッシュのいとこのクリストファスンがやって来ます。見事な飛び込みをし、アッシュに妬まれるクリストファスン。
 “Mr.フォックスの計画”の字幕。彼はまずボギスの農場を襲うことにし、番犬には睡眠薬入りのブルーベリーを食べさせることにします。“化学室”ではクリストファスンとアグネスが親しくなります。“基本計画その1(ボギスのトリ小屋1号)”の字幕。電気が流れるフェンスを木の枝を伝って越え、犬たちをブルーベリーで眠らせ、カイリと強盗帽を被って農場に侵入し、ニワトリを口にくわえ、感電しながらフェンスを越えて逃亡するMr.フォックス。Mrs.フォックスは調理しようとしたニワトリにボギスの農場のタグが付いているのに気づきます。次の夜、“バンスの薫製肉の冷蔵庫(基本計画2)”の字幕。監視カメラを眺めるバンスをよそに、大量に薫製肉を盗むMr.フォックスとカイリ。翌日、家の冷蔵庫は薫製肉で一杯となります。アッシュは“バシッド・バット”のコーチに自分も父と同じくらいいい選手になれるか聞きますが、お前の父は史上最高の選手だったと言われます。その目の前で、初めてやるにもかかわらず見事なプレイをするクリストファスン。その夜、“ビーンのリンゴ酒地下貯蔵庫(基本計画3)”の字幕。アッシュが付いてきますが、追い返され、クリストファスンは同行を許されます。貯蔵庫にはネズミが監視員として雇われていましたが、Mr.フォックスらはリンゴ酒を盗むのに成功します。“緊急集会”の字幕。ビーンらは明晩待ち伏せてキツネが巣穴から出てきたところを狙おうと話し合います。穴を狙う“銃撃”は、しかしMr.フォックスの尾を落とすことしかできませんでした。3人が上から穴を掘ってきているのに気づいたMr.フォックスは、自分たちも穴を掘って逃げ出します。
 “キツネ時間で1時間後”の字幕。鉱床で12年前の誓いをMr.フォックスに思い出させるMrs.フォックス。Mr.フォックスは野生のためだと言い訳します。重機に乗って現れる3人。“恐怖のトラクター”の字幕。みるみる丘が掘り壊され、Mr.フォックスらはまた穴を掘って逃れます。最後に丘は爆破され、それによってできた穴の底には小さな穴が1つ残ります。“包囲網しかれる”の字幕。穴を108人の狙撃手に狙わせ、兵糧攻めにする3人。“3日後(キツネ時間の2.5週後)”の字幕。飢えが限界になっていたMr.フォックスらの前に、アナグマらが穴を掘って現れ、Mr.フォックスらのおかげで森の半分が破壊されたと苦情を言います。名案が浮かんだと言うMr.フォックス。彼は妻に、アナグマの奥さんを助けに行くと伝えてくれと言います。(明日へ続きます‥‥)

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川上未映子『魔法飛行』

2013-02-22 07:10:00 | ノンジャンル
 ジーン・ケリー&スタンリー・ドーネン監督の'49年作品『踊る大紐育』をWOWOWシネマで見ました。短縮版の吹き替え版は今まで何度も見てきましたが、オリジナル版を見るのは今回が初めてでした。ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ベティ・ギャレット、アン・ミラー、ヴェラ=エレン出演、レナード・バーンスタイン音楽のこの上なく楽しくハッピーなミュージカルで、初公開当時はミュージカルでは初めてロケ撮影がなされた映画として喧伝されていたようですが、今見れば主だったシーンは全てスタジオで撮影がなされていました。そてにしても、ロッセンが『オール・ザ・キングス・メン』を撮った年に、この映画をジーン・ケリーが撮っていたというのも驚きです。映画の雰囲気としては30年代の明るさが横溢していたように思えるのですが、反時代的な映画だったのかどうか、疑問に思うところです。

 さて、川上未映子さんの'12年作品『魔法飛行』を再読しました。読売新聞ウェブサイト「ヨリモ」に連載された「発光地帯」('10年2月22日~'11年7月4日)に書き下ろしを含む加筆修正を施して作られたエッセイ集です。
 ここでも川上さん独特の文体は健在で、例えば「朝目が覚めてみると(朝じゃなくても)世界は真っ白でぴっかりだ。何かを試してみるみたいないっさいの影のなさの中に男女数人がテニスなどして動いているのを見る、額も手の甲もすべてまんべんなく暑いだろうねと声をかけようにも数百メートルも向こうだからわたしは思うに留めておくよ、右手はスノードームをひっくり返してハロー世界は吹雪の最中、こちらはとても吹雪きの最中。」といった感じです。
 あるいは「(前略)子どもの体はなにしろ小さく、言葉はまだその冒頭が植わったばかりの最初期の最中、世界は整理されることからあまりにも遠く、高速度で発見されている最中で、広がりつづけるあたらしい彼らの胸のうちを思えば、ああまたなつかしい銀河がみえる。いつか走っているときにさけた胸からどこまでも流れでていたあの銀河、けれどももう、これは苦しい銀河ではない、悲しいだけの銀河ではない、銀河はもはや、わたしだけのものではない、銀河はきらめき、ただ無言にきらめいて、きらめいていることにひとつの理由もありはしない。まだ小さな手をとって歩きながら、彼らが悲しいことやこわいや不思議を述べれば、彼らが生まれてきたことを申し訳なく思えば、無責任にそれらを鮮やかにうっちゃって笑ってやれるだけの鈍さとあきらめがほんのりこちらに色づいているのがみえる。(後略)」といった、心暖まる文章もあります。
 東京に来たいという甥っこたちに安請け合いし、締切りに追われて、そんなことが無理な話であることが判明し、「ミエコは仕事の人に山へ連れていかれてしまうので、東京にいません。だから、東京に来ても、ミエコはいませんので、すみません」と甥っこたちに言い訳をするところなど、つい笑ってしまいますし、またドイツ語には「なつかしい」という言葉がない、ってこともこの本で初めて知りました。
 また、カルボナーラの簡単な調理法として、ひとりぶんだと卵は1個。それを泡立ててパルメザンチーズを強気に投入し、かきまぜ、そこで麺を茹ではじめ、ベーコンを油をしかずカリカリに焼き、それに茹で汁をお玉に半分くらい入れて、そこにいい感じに茹であがった麺を入れて、卵&チーズを入れてあわせる。卵のかたさはお好みで、火にかけすぎるとダマになってしまうので、さっとからめるくらい、というのも、この本で教えてもらいました。ミートソースと違い、カルボナーラは即席のものだと高価なので、今度この方法でチャレンジしてみたいと思います。
 ということで、いつものことながら、あっという間に読めてしまう、楽しいエッセイ集(若干、詩も含んでいます)でした。

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ジョエル&イーサン・コーエン監督『レディ・キラーズ』

2013-02-21 09:03:00 | ノンジャンル
 ジョエル&イーサン・コーエン監督・脚本・共同製作の'04年作品『レディ・キラーズ』をWOWOWシネマで見ました。
 “ミシシッピ州ソーシエ 保安官事務所”の字幕。画面の真ん中に一軒家の事務所。“ワイナー保安官の再選を”のポスター。居眠りしていた保安官は、騒音被害を訴えるマンソン夫人に起こされます。夫人が帰宅し、死んだ夫・オーサーの肖像画に語りかけていると、ドア教授(トム・ハンクス)が訪ねてきて、部屋を貸してもらいたいと言い、自分が指揮者の五重奏の練習のために地下室も使わせてもらいたいと言います。CM撮影で下働きをするバンケイク。アメフトの試合でドジりコーチから怒鳴られるランプ。ドーナツ屋に強盗に入り、店主らに撃退されるガウェイン。教会でゴスペルを聞くマンソン夫人は、教授に自分がボブ・ジョーンズ大学に毎月5ドルの寄付をしていることを語ります。初練習と称して地下室に集まる5人。ドアはカジノ船で清掃員として働くガウェインから現金が地下の会計室に集まることを聞き、掘削屋の“将軍”にトンネル作戦の指導を、何でも屋のバンケイクに爆破作業担当を、ガウェインにはスパイを、ランプには警備役をふり、自分の新聞広告で集まった彼らがこれから大富豪になることを宣言します。彼らの行動を終始見ている夫人の飼い猫。
 女性客に手出ししてガウェインはカジノをクビになり、地下室から掘る穴も大きな岩に当たります。バンケイクは妻のマウンテンに爆薬を手配させ、ランプの提案でカジノの社長を買収することにします。掘った土を橋の上からゴミ運搬船に落とすドアら。保安官が訪ねてきて、とっさにベッドの下に隠れるドア。社長は無事買収でき、ガウェインは職場に復帰しますが、バンケイクとの諍いが絶えません。バンケイクは爆薬の説明をしていて間違えて爆薬を爆発させ、岩とともに自分の右手の人差し指をふっ飛ばします。
 夫人が教会にいるうちに、会計室に侵入し、大金をせしめ、ガウェインは壁をふさぎ、バンケイクはトンネルを塞ぐために爆薬をセットしますが、いつまでたっても爆発しません。起爆装置を点検に行ったバンケイクは残り15秒で起爆装置を動かしてしまい、爆発前に何とかトンネルから脱出しますが、早めに帰宅していた夫人にお札が乱舞する地下室を見られてしまいます。夫人の友人が大勢来て、その前で詩の朗読をさせられるドア。友人たちが帰り、ドアは嘘をつきますが、不審に思う夫人が保安官に通報しようとするので、真実を語り、盗んだ金の半分はボブ・ジョーンズ大学に寄付すると言い、カジノの損は保険会社が償い、保険会社の損も保険の契約者が1セント損をするだけで済むと言うと、一旦は夫人はその話に乗ろうとしますが、オーサーの肖像画を見て思い直し、ドアに金を返すように言います。
 ドアらは夫人をガウェインの拳銃で殺すことに決め、クジに当たったガウェインが殺しに行きますが、母を思い出し、夫人に逆襲されて退散してきます。臆病を責めるバンケイクと揉み合いになり、射殺されてしまうガウェイン。ドアらは死体を橋からゴミ運搬船に落とします。バンケイクは妻とともに金を持ち出そうとし、“将軍”に絞殺されます。また運搬船に落とされる死体。次にクジに当たった“将軍”は眠っている夫人を絞殺しようとしますが、鳩時計に驚いてパニクり、階段から転落死します。また運搬船に落とされる死体。いよいよランプとドアが残されますが、夫人を殺すのに反対するランプはドアに向けて拳銃を発射しますが空砲で、銃口を覗いて引き金を引くと、自分の顔を撃ち、運搬船に落ちていきます。橋の欄干に大ガラスが留まるのを見たドアは感動してE・A・ポーの詩を朗読しますが、カラスが飛び立つと欄干が崩れ、ドアの頭に当たり、ドアは気を失って橋に宙づりとなり、やがて運搬船に落ちていきます。地下室に大金が残されているのを発見する夫人。
 翌朝、夫人はカジノで盗まれた160万ドルが自宅の地下室にあることを保安官に告げに行きますが、本気にしない保安官は夫人にあげると言い、夫人は全額大学に寄付することに決めるのでした。

 コーエン兄弟ならではのブラックジョークにあふれ、楽しめる一編でした。

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宮崎誉子(たかこ)『女子虫』

2013-02-20 08:47:00 | ノンジャンル
 体調を崩し、しばらくこちらの更新を行っていませんでしたが、今日からまた再開したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、宮崎誉子さんの'12年作品『女子虫』を読みました。4つの短編からなる本です。
第1話『自慢の娘』では、小学校教師である俺は、小学校4年生とは思えない大人びた眼差しで、この学校で一番美しい少女、桜木アヤメが俺を見るのでゾクゾクします。
 昼休みに誰もいない体育館でボスこと青木マサキの相手をしていていた俺。「先生、山本先生ってなんで突然に田舎に帰っちゃったの? もしかして辞めたんじゃなくて辞めさせられたんじゃないの? あいつ使えないってウワサだったもん。大人って隠すの好き?」正直すぎる子供は残酷で憎めません。
 俺は生徒の太田を図工準備室に呼び出しました。「‥‥アズマン、俺まっまさか青木が不登校になるなんておっ思わなかったんだ」太田の声と膝は震えています。「先生の予想だと、山崎がみんなでやろーぜってけしかけて、田中もおもしれーってノリノリになっちゃって、太田と伊藤はその場のノリで流されたんだろ? 元担任にはわかるよ。ベタだけど、青木に手紙書けば? 太田と田中に誘われて断るわけねーよ」太田は目に涙をため深く頷き半笑いです。
 昼休みに誰もいない体育館でボスと喋る俺。「先生、ありがとう。兄貴まだ学校に来てないけど、今日ランドセルに教科書入れようとしてたんだ」「先生は何もしてないよ」「太田の馬鹿が手紙書くなんて、先生がなんかしてくれたに決まってるじゃん! !  それから先生、桜木アヤメには用心しろよな」
 「今まで誰にも言えなかったけど、私の靴箱にこんなものが入っていました」姫川マリエは手のモデルになれそうな美しい指をしています。クシャクシャに丸められたノートの切れはしには、死ね死ねとぎっしり書かれています。「もしかして姫川は桜木を犯人だとでも思っているのか」「‥‥そんなこと」「そんなことありますなんだろ?」「先生はアヤメちゃんをひいきしてるって、みんな言ってますよ! ! 」「みんなに言いふらしてるの姫川らしいな?」姫川マリエに意地悪しても退屈なだけです。「ちっ違います! ! わっ私じゃありません! ! 」母親がフランス人のハーフの女の子姫川マリエは、桜木アヤメと犬猿の仲です。
 その翌日の昼休みに、桜木アヤメがやってきて言いました。「先生、女子トイレに卑劣な置き手紙があったので持ってきました」クシャクシャに丸められた給食の献立表の裏には、わざとヘタに書いてあるとしか思えない字で、桜木アヤメ死ね! ! 桜木アヤメと仲良くしている浜中エリカ貴山キリコも死ね! ! 死なないと絶交だ! ! と書いてありました。「悪いけど、先生は犯人を探すの優しくないと思うよ。桜木は自分に自信ありすぎるよ」一瞬怯えた表情を俺は見逃してやろう。
 夜中に電話が鳴ると嫌な予感に包まれます。「桜木アヤメの母ですが、娘のランドセルに太い油性のマジックで、死ね、殺すって書いてあるんですけど、東先生は担任としてどうなさるおつもりなんですか?」俺は一方的に母親に責められる桜木アヤメも気の毒だなと無表情になります‥‥。

 本文のところどころを抜粋しているだけなので、文章がブツンブツンと切れている印象を持たれると思いますが、そうした事情をお察しください。それぞれの短編の終わり方が「!」となっている印象があり、「聖=死」VS「俗=生」という対立軸で考えると、宮崎さんの小説は徹底的に「俗=生」で通そうという固い意思が見え、そこが感動的でした。はぎれのいい会話文も魅力的で、是非実際に本を手にして読んでいただきたいと思います。今回もあっと言う間に読んでしまい、至福の時を味わわせていただいた本でした。なお、本全体の詳細に関しましては、私のサイト(Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto))の「Favorite Novels」の「宮崎誉子」の場所にアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto