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在日ロシア人ユーチューバーとウクライナ侵略

2022-03-04 08:20:50 | その他
 この度のロシアのウクライナ侵略において、在日ロシア人はどの様に感じているのかを知りたくて、ロシア人のユーチューブを検索してみました。結論から言えば、はなはだがっかりしました。一様に深刻な表情で、「戦争反対」と話しています。しかしその程度なら、小学生でもできることです。「戦争賛成」などと公言できる人は、日本にはいませんから。日本人のコメント欄には、「あなたの責任ではない」と、慰めの言葉が溢れていて、ユーチューバー自身も素直にそれに感謝しています。しかしそれは普段からそのロシア人ユーチューバーの言動を見ていて、その日本に対する愛情の発露を見て関心をもっていたからなのであって、99%の他の日本人にとっては、ただの在日ロシア人に過ぎません。

 ロシア人ユーチューバーの動画の多くは、それなりに道義的責任を感じていることが伝わってくるものが多く、苦しい胸の内がよくわかります。ロシアにいる親に実情を訴えても、「あなたは偽情報にだまされているだけ」と冷たくあしらわれ、親子関係がぎくしゃくしていることを絶望的に悲しんでいる人がいます。なんとかしてロシアにいる友人に伝えようと苦労している人もいます。ユーチューブでえられる収入を積極的に寄付しようとしている人もいます。ロシア人であることが堪えられず、日本国籍を取得しようとしている人もいます。そのような在日ロシア人には素直に共感し、苦衷を察して応援します。

 しかし、中にはとんでもなく非人間的な女性ロシア人ユーチューバーがいるのには驚きました。ウクライナでロシアが市民を無差別に大量虐殺しているにもかかわらず、連日のように食レポと同様の動画をアップするだけでなく、戦争反対を主張する仲間のユーチュヘーバーを「偽善者」と呼び、ウクライナを憂える動画をアップする同胞に対して、登録者数を増やして、利益を得ようとしているとまで言うのです。いくら何でも今暫くは自粛したらどうかという日本人視聴者のコメントは速攻に削除するので、コメント欄には日本人の応援メッセージで溢れています。そしてテレビに出演し、ヘイトの書き込みが多いとこぼしていましたが、ヘイトではありません。今暫くは、祖国を守るために、幼い子供達を守るために、命を掛けている人達の心の痛みをわかってあげてほしいというだけです。日本人は弱いものが圧倒的な力で押しつぶされそうになった時、百歩譲って弱い方に正義がなかったとしても、弱いものが抹殺されることには、限り無い同情を寄せるものです。また日本人の特性なのでしょうが、日本人は空気を読み、今何をしてよいか、あるいはしてはいけないかを、本能的に判断するのです。そのユーチューバーは日本人以上に日本の歴史に詳しく、城跡などを観光する動画をたくさん公開しているのですが、日本語や日本の文化を理解していても、結局のところ日本人の心は理解していなかったとしか思えません。

 ロシアは14年前の北京オリンピックの時もグルジア(現在はジョージア)に侵攻し、その領土の一部を奪い取ったのです。そして2014年にはウクライナのクリミア半島に侵攻し、これも奪い取ったのですよ。そしてこの度のウクライナ侵略です。まさかそのことを知らないはずはないでしょう。ロシアがその様な国であることを自覚していますか。プーチンを支持して選挙で選んだのは、あなた達ではありませんか。プーチンへの支持率は、グルジア(ジョージア)侵攻・クリミア侵攻のさいに80%を越えています。そして現在も又プーチンは圧倒的に支持されているではありませんか。他国を侵略するたびに支持していたのは、ロシア国民なのです。国民の支持があったからこそ、プーチンを付け上がらせたのではありませんか。

 確かに在日ロシア人ユーチューバーの責任ではないことは、誰もがわかっていますから、この度の戦争の責任を問うことなど、絶対にありません。しかしそれで免責になるかといえば、決してそういうものではないでしょう。その証拠に、個人的には何の責任もないロシア人アスリートは、パラリンピックを始めとして、国際大会から次々に参加を拒否されているではありませんか。国家的な規模でドーピングをしていたのは、ロシア国家とロシア人アスリートではありませんか。「私は戦争反対。プーチンを支持していない」と叫んでも、それで免責になるわけではないのです。ロシア人ユーチューバー個人としては責任を負う必要はありませんが、ロシア人としての道義的責任からは逃れられないのです。

 それならばどの様にしてその責任を負えばよいのでしょうか。まずは最低限として、戦争反対、プーチン不支持を声を大きくして表明し続けることです。そんなことをしたら将来帰国した時に、身に危険が及ぶ可能性があるというかもしれません。しかしロシア本国では、数十万人の一般市民が、連日のようにデモをして意思表示をしているではありませんか。逮捕者もいますが、それにひるむことなく、戦っているではありませんか。命を掛けているウクライナ人の戦いに比べれば、どれ程のことがありましょう。次には日本にいて客観的な情報を得られる立場を活かして、ロシアにいる家族や友人に、実際の様子を映像と共に伝えることです。情報統制は今に限らず専制国家のお家芸です。それはソ連の共産主義国の時と何も変わっていません。ですからロシア本土の国民は、実際を知らないのです。在日ロシア人ユーチューバーなら、それが可能ではありませんか。

 第三としては、今は公開するユーチューブの内容を、よく吟味することです。一般的に在日外国人のユーチューブの内容は、来日理由・カルチャーショック・日本の名所巡り・日本食などの楽しい内容が多いものです。それは見ていてもこちらも楽しく、社会勉強になり、日本を愛してくれることに心から感謝できる内容です。しかし今は、あなたとコラボして共に語ってくれたウクライナ人の友人が、故国にいる家族・友人が無事でいてくれるのかに、狂いたくなるほど心を痛めているのです。祖国が消滅するのではないか思いながら、離れている故に何もできずに悶え苦しんでいるのです。そのような状況下で、のんびり日本の旅や日本食をエンジョイするような内容を公開して、ウクライナ人の友達に対して、心が痛まないのですか。ウクライナ人の友人の心を、察してあげることはできないのですか。せめてユーチューブで得られたなにがしかの利益は、ウクライナ大使館に寄付することぐらいはできませんか。いずれ戦禍も収束する日が来るでしょう。楽しいユーチューブはそれ以後でよいではありませんか。もっともその時には、ウクライナは終戦直後の日本のようであり、ロシアは経済的に大打撃を受けていることでしょう。どちらにしても戦禍から立ち直るには、10年の倍数の時間が掛かるはずですが。
 もちろん私もこれから長期的に、ことあるごとにウクライナに対する援助金に応ずるつもりです。人に要求する以上は、率先してやるつもりです。否、もう始めています。
  
追記
その後、ロシア政府にとって虚偽の情報を流した者には、15年の禁固刑が科せられるという法律が施行されました。これでは在日ロシア人でも、うっかり情報発信ができません。二度とロシアに帰国しないということでなければ、勇気ある行動ができません。ですから情報発信ができなくなってしまうのは、やむを得ないことだと思います。しかししかるべき機関に○○することくらいはできると思います。これは強制されるものではありませんから、私が言うのはおかしいという反論もあるでしょうが、情報発信ができないとなれば、それくらいしかできません。事実そのようにしているユーチューバーが動画にアップしているようです。