マキペディア(発行人・牧野紀之)

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秋田県(01、実力)

2008年07月23日 | ア行
 秋田県の人口減少率は都道府県ワースト1位(2000~2005年、国勢調査)。だがこの県は、そんなに住みにくい地域なのだろうか。

 わが国の食料自給率(カロリーベース)は40%を切った。東京や大阪だけ見れば1~2%で、かなりひどい。ところが秋田の食料自給率は174%と、北海道
の195%に次いで全国2位(2006年度、農林水産省資料)。「あきたこまち」に代表される米はもちろんだが、山菜や畜産物、日本海の海の幸も、豊富の一語に尽きる。

 北海道に比べれば気候は暖かいし、比内地鶏、しよっつる、いぶりがっこに稲庭うどんなど、北前船経由で浸透した関西の味文化の影響を感じさせる伝統食材も魅力だ。

 実りの秋の一日。見渡す限り美田の広がる大潟村で、地元の方々ときりたんば鍋を囲み、「本当にいい米からはまろやかなダシが出る」ことを知った。広大な八郎潟干拓地に暮らす村民は3300人余りに過ぎないが、農家の多くは法人化され、周辺市町村から多くの農業労働者が通勤してくるため、昼間人口は夜間の120%を超える。

 野菜栽培や畜産も盛んで、村営温泉ホテルのレストランでは、ほぼすべて村内産食材のディナーコースが振る舞われる。近年の米価の低迷は打撃だが、全国への産品直販努力の結果、人口あたりの小売り販売額は全国の市町村の中で堂々の2位(大型店のない市町村では1位)だ。

 残念なことに、大潟村が最近分譲した50区画余りの住宅地は、Uターン者や移住者に人気で、早々に完売状態だ。乗り遅れたあなたも、秋田の他の市町村に第二の故郷を探してはいかがだろう。

(地域経済アナリスト藻谷浩介、協力・日本政策投資銀行地域振興部)
  (朝日、2008年05月10日)
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