マキペディア(発行人・牧野紀之)

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文化・芸術の力で町起こし

2016年09月23日 | マ行


              北海道文化財団理事長・磯田 憲一

 2040年までに国全体で2千万人の減少が予測される人口減社会。「消滅可能性都市」という言葉まで登場し、自治体経営には濃霧が立ちこめる。しかし、だからこそ、時代と向き合う自治体の姿勢が地域の将来を左右する。「住んでよし、訪れてよし」の魅力ある自治体の共通項は、人口の多寡ではなく、地域資源を生かす知恵に満ち、個性を明瞭に発信している地域だ。地域の歴史や風土、固有の文化的資源に裏打ちされたソフトパワーは人の心を捉える。それが呼び覚ます共感や感動が人やもの、経済をも動かしていることは、人口減時代でも「にぎわい」や「交流」を創出している自治体があることを想起すれば得心がいく。

 そのソフトパワーに着目して、文化庁は2007年度から、文化芸術分野で成果をあげた自治体を「文化芸術創造都市」として表彰している。9回目の今年、これまでで最も人口の少ない北海道剣淵町(3280人)が、並みいる他都市を抑えて受賞した。旭川から北へ50㌔の純農村地帯だが、28年前、隣町に住む絵本作家の呼びかけに心を響かせ、子どもの心と生命を育む「絵本の里」づくりをスタートさせた。1991年創設の「けんぶち絵本の里大賞」は、今や新人作家の登竜門と言われる。特筆すべきは、基幹産業を担う農業者が「絵本」に「農業」と通底する力を見いだし、中心的役割を果たしてきたことだ。結果として「絵本の里」の農産物のブランドカを、さらには「文化芸術」の薫りを持つ町としての知名度を高めている。

 同時受賞の富良野市はドラマ「北の国から」で知られるが、こちらも農業主体の小規模自治体だ。「富良野演劇工場」が2000年にオープンし、NPOが中心になって、学校や企業、地域で、演劇によるコミュニケーション教育を多彩に展開。演劇と人づくりを融合させ、交流人口の拡大を図っている。

 いずれも、文化芸術を核にした戦略が活力を生みだしている好例だ。ハコモノなど形の見える成果を求めるあまり、文化予算がやせ細る自治体は多い。文化は権威に依拠するものではないとしても、文化のパワーを信じて挑戦する自治体にとって、文化芸術創造都市の表彰は大きな励みになる。創造都市の交流が進み、文化の持つ創造力が地域の活力を生むパワーであることへの理解が進めばと願っている。目先に惑うことなく、「時間」が熟成する価値に着目し、文化戦略を地域発展の基軸の一つに据える勇気を持つ自治体にこそ未来は微笑(ほほえ)むに違いない。人々は確かなアイデンティティーを求めて、文化の力を備えた心和む地域や故郷に回帰していくはずなのだから。

(2016年09月14日。朝日、私の視点欄)

 感想

 私も本当にそう思います。我が浜松市を考えると、いつでも、「根本的に文化力がない」と感じます。「ない」で悪ければ「低すぎる」と感じます。「隣の芝生は青く見える」のかもしれませんが、隣の磐田市と比べても、掛川市と比べても、浜松市の方が「文化的に低い」と感じます。

 かつて長野県の松本市で生活したことのある人と話したことがありますが、彼も実感としてそう思うと、私の考えに賛成してくれました。

 音楽都市を掲げ、国際ピアノコンクールを開催していますが、それに費やしている費用及びエネルギーに比して十分な効果が上がっているとも思えません。
費用の正確な数字は公表もされていません。

 根本的に教育に問題があるのだと推定しています。教師のレベルが低すぎると感じます。特に校長にお粗末な人が多いようです。

 今年の4月からの朝ドラ「とと姉ちゃん」では、初めのころ、浜松が舞台でした。来年の大河ドラマは井伊直虎だそうで、これは北遠が舞台なので、今、市を挙げて「このチャンスを生かそう」と頑張っているようです。

 しかし、外からの好機をどれだけ生かすかは結局は日ごろの自分たちの努力だと思います。これが根本的に変わらなければブームも一過性のものに終わるでしょう。
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