マキペディア(発行人・牧野紀之)

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モデイ首相とマザー・テレサ

2019年06月30日 | マ行
      モディ首相とマザー・テレサ

 最近行われたインドの総選挙で、現職のモディ首相の率いる与党が圧倒的多数の議席を獲得して、自身、首相に再選されました。その原因を日経新聞は、「9割以上の家庭でトイレを作れるようにし、又電気も供給したことが、貧富の格差が広がったといった他の点でのマイナス点を上回った」と解説していました。

  かつては、「インドに旅行した人は、ほとんど疫病(赤痢?)にかかる」と言われたものです。今では、多分、そういう事は無くなっているのでしょう。中国では1990年頃にはまだ「トイレの不備」が言われていたと思います。インドは20年余り遅れたとはいえ、ともかく急速に発展しているようです。

 インドにおける困窮者救済と言うと、マザー・テレサが思い出されます。彼女が死んでから大分経ちますが、あまりそちらのニュースは聞かなくなりました。もちろん仕事自身は優秀な後継者のもとで着実に前進しているのでしょうが、やはりスーパースターがいなくなったので、マスコミに出なくなったのでしょう。マスコミなどというものはこんなものです。しかし、ウイキペディアを見ただけでも、その運動は世界的に広がっている事が分かります。

 さて、今回考えてみたいのは、世の中をよくし、国民の生活を改善する道として、モディ首相の道とマザー・テレサの道との比較です。換言するならば、世の中をよくするに当たっての政治の重要性ないし政治の力の評価です。

 マザー・テレサの道は、我々凡人にはなかなか「やる気」になれませんが、原理的には、やる気になれば誰でもすぐに出来る事です。いや、例えば子供食堂など、現在の日本でもドンドン広がっています。しかし、そういう運動はやはり大きな変革にはつながりません。

 それに対して、政治がそういう意思をもって、格差を是正し、「誰でもが健康で文化的な生活を送れるようにしよう」と意思するならば、北欧諸国のように、かなりの程度までそれは実現できます。中国やインドでも、衛生的な生活がかなり進んだのです。しかし、そのためには政治がそういう意思を持たなければなりません。

 我が日本国では、かつては優秀な官僚の力で、成熟社会に成ってからは優秀な民間人の努力で、かなり好い生活が可能になっていますが、国全体としては社会保障制度の貧弱さは大問題です。貧富の格差は縮まるどころか、拡大しています。多くの人が、「老後が不安」だと言っています。教育にも問題が多ありです。

 その原因はどこにあるのでしょうか。一に、政治家のレベルの低さにある、と私は思います。上に確認しましたように、政治の影響力は巨大なのに、日本ではその政治家に優秀な人が出ないからだと思います。政治家以外なら国際的な人が沢山いるのに、政治家には優秀な人があまり出ないからだと思います。

 では日本ではなぜ優秀な人が政治家になろうとしないのでしょうか。「優秀な政治家を養成するシステム」が出来ていないからだと思います。かつて松下政経塾というのが出来た時は大騒ぎでした。しかし、民主党が政権を握ってお粗末さを暴露して以来、松下政経塾はほとんど注目されなく成りました。そして、それに代わる塾みたいなものが生まれていないのです。

 松下政経塾はなぜ失敗したのでしょうか。思うに、創設者の松下氏には民間の会社経営と役所の運営との根本的な違いが分かっていなかったからだと、思います。我が浜松市でも立派な業績を挙げた経営者を中心にして行財政改革審議会(行革審)が設置され、市民の大きな期待が持たれました。しかし、それも失敗したと、私は思っています。最近は七つの行政区を三つにするなどという「合区」で大騒ぎをしていますが、市民の反応は鈍いです。合併で浜松市に組み込まれた人々は、「政令指定都市に成るのに協力してやったのに、見返りがない」と思っているようです。

 国政に話を戻しますと、安倍内閣は度重なる失態にもかかわらず、支持率は余り落ちません。自民党の支持率も大きな変化はありません。代わる内閣がなく、代わる政党がないからだと思います。

 どうしたら良いでしょうか。私は即効薬はないと思います。本当の政治家を生み出すシンクタンクを作ることしか道はないと、思います。私は、その「本当の政治家」としては世田谷区長の保坂展人を考えています。どこが模範的かと言いますと、地を這うような住民運動の中から住民に押されて首長になり、住民の意見をよく聞き、公正な福祉社会を目指しているからです。マザー・テレサ型からはじまり、モディ型の首長になったのです。

 田中康夫元長野県知事も立派でしたが、冷静さに欠けたと思います。保坂区長の唯一の欠点は、後継者ないし同志の育成を系統的にしていると思えない点です。彼が辞めたら又元に戻りそうです。

 そこで、そういう政治家を系統的に生み出すシンクタンクが必要になります。

 その名は、「福祉社会研究所」とする。
 以下の条件で生活を一生保障した上で、研究員を募集する。

 研究員は、男女の比が4対6より偏らないようにする。
 研究員は、自分の選挙区で何らかの住民運動を起こすか、既にある運動に参加する。
 研究員は、自分の全公生活をブログで報告する。
 研究員は、自分の選挙区の全ての行政を調査・研究して、それをホームページに分かりやすく発表する。
 研究員は、自分の選挙区の全ての行政の長の活動を監視し(ブログでの報告を要求し)、サボリ校長などを許さないようにする。そもそも教員出身者で教育長と校長が占められているのが間違いの元。
 選挙は議員から初めて、なるべく早く首長を目指す。
 前提は、供託金の廃止、または「現在の十分の一」への改正を要求する事です。

 まあ、概ねこういった事を考えています。
 資金の問題とかがありますが、ともかくこのようなシンクタンクを作って系統的に「まともな政治家」を生み出して行かない限り、日本の政治は二世議員に占領されたままで、よくならないでしょう。

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