シューベルトの歌曲集「冬の旅」は日本人にとても愛好されています。中でも「菩提樹」は有名です。しかし、これの歌詞の意味については、特に、「ここに幸あり」(近藤朔風訳)の部分について、どうも誤解があるようです。
2009年08月29日午前1時台の「ラジオ深夜便」でもそう感じました。これは、宮城県の加美町で音響効果抜群の「コンツェルトハウス」を作った獣医師・遠藤真幸さんへのインタビュー番組だったのですが、そこで録音されたこの「菩提樹」を掛ける時、遠藤さんは「この木の所に来れば安らぎが得られるよ」という趣旨(正確な言葉は記録していません)の解説をしていました。
かつてNHKのラジオドイツ語講座で「歌で楽しむドイツ語」を担当した一橋大学教授の田辺茂樹さんも同様の解釈でした。
帽子が吹き飛ばされる程の寒風が吹きすさぶ真冬の真夜中、菩提樹の木の下に腰をおろしてどんな「安らぎ」があるのでしょうか。凍死するだけでしょう。
そもそもこの主人公は、夜逃げのようにしてその町を後にするのではないでしょうか。状況を考えただけでも、「木陰で安らぐ」などという解釈は不可能でしょう。
本当の意味を考えたい方は、以下の参考項目をお読みください。
参考項目
1、
田辺さんとのやり取り
2、
関口存男(つぎお)氏の説明