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富山市(01、LRT、富山ライトレール)

2009年08月03日 | タ行
 JR富山駅の北側に広がる富山市の中心街を路面電車「富山ライトレール(LRT)」が快走している。

 平日の朝は通勤や通学の利用者でにぎわい、昼間は買い物や通院に使うお年寄りの足になっている。「排ガスも騒音もなくて快適」と利用者の評判は上々だ。

 富山駅から岩瀬浜駅までを結ぶ全長8㌔のJR西日本富山港線が20060年2月末で廃線となり、同年04月に路面電車となってスタートした。10~15分間隔の運転で運行本数が一挙に3倍以上になり、利便性が高まった。料金は大人200円だが、ICカード利用などの割引もある。

 「環境モデル都市」構想が出たのは、開業の後。富山市環境政策課は、LRTを「街づくり構想の中核になる」と位置づけた。

 マイカーを外出時に使う市民は7割にのばる。LRTに換えてもらえれば、二酸化炭素排出の削減につながるはずだ。沿線だけではなく、広い地域の人々も巻き込む工夫がいる。多くの駅から東西にバス路線をのばした。LRT利用者が無料で使える駐車場や自転車置き場を新しくつくった駅もある。

 開業から半年の2006年10月、LRT利用者にアンケートした。「1年前にはマイカーを使っていた」という人が1割以上いた。500人以上が乗り換えた計算になる。一方で、市役所に勤務する豊岡秀樹さん(37)は一度は車通勤からLRTにしたものの「帰りが遅くなると、終電に乗れない」と、最近マイカーに逆戻りしてしまった。市役所は駅の南側にあり、「LRTが直結していないので不便」という人もいる。このため、将来は駅南側を走る富山地方鉄道とつなげる計画も進む。

 富山市が「環境モデル都市」計画で掲げた二酸化炭素削減目標は2005年排出量(422万5000トン)比で、2030年は30%滅、2050年で50%減だ。「交通の切り替えだけでは間に合わない」と市環境政策課の大沢一貴・地球温暖化対策係長はいう。公共交通対策による削減では2030年目標値は19万5000トンに過ぎず、削減目標全体の15%にしかならない。

 目指すのは「コンパクトな町づくり」。沿線に住宅や商業地を集めて人の移動を小規模に抑える、省エネを駆使したエコ住宅を建設し、太陽光など新エネルギーの利用促進するなどの項目が並ぶ。大沢係長は「50%削減なんてえらい数字だったと後で気づきましたが、高過ぎるからこそ狙う意味があります」と話す。

   (朝日、2009年07月23日。中山由美)