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新党日本(03、日本「改国」宣言)

2009年08月22日 | サ行
 満を持して「日本『改国』宣言」を発表しました。「発想を変え、仕組みを変えよう。」と副題を冠した「新党日本マニフェスト2009」。

 重点施策の1番目には「既得権益に群がる政治家・官僚・業界・団体(政官業団)の『前例踏襲主義』を溶かし、『しがらみの大掃除』を断行します」と明記しています。

 複数の報道機関が報じる直近の世論調査では、3割を超える有権者が「特定の支持政党なし」と回答。信じられない日本の政治に愛想を尽かし、政権交代に期待する一方で、再構築すべき社会のありさまに強い関心を抱けばこそ、多くの人々は既存政党に飽き足らないのです。

 大層な総論を掲げながらも具体的な各論に至ると、なし崩し的に既成事実を追認してしまう「しがらみ・なれあい」の旧来型政治にへきえきし、的確な認識・迅速な決断と行動・明確な責任を期待し得る政治の指導者は一体日本のいずこにいるのだ、と慨嘆しているのです。

 2007年の参院選における比例代表で、国民新党より全国で50万票余りも多く、また東京都のみならず、名古屋、大阪、神戸、京都をはじめとする複数の政令指定都市で、社会民主党よりも多くの得票を、新党日本はちょうだいしました。

 「ウルトラ無党派」と私(田中康夫)が規定する方々は、城山三郎さんが晩年に好んで用いられた「無所属の時間」、すなわち、帰属している職場における肩書や評価を超えて、一人の人間として家族や地域を愛して過ごす自分を大切にしている方々なのです。

 背後に控える大組織の都合で動く政治から、小さくとも確かな個人や地域の願いを実現する政治へと転換する。「社会的公正」と「経済的自由」を同時に達成し、混迷する日本にダイナミズム(躍動感)を取り戻すためにも、既得権益でがんじがらめになった日本の大掃除を敢行し「フェア・オープン・シンプル(公正・透明・簡素)」な仕組みを再構築する「改国」を。

 その実現に向け、官僚任せだった予算の積み上げ書をゼロベースで精査し、前例踏襲的な事業を徹底排除します。それは6年間の長野県知事在任中に全国で唯一、連続で借金を減少させ、基礎的財政収支を7年度連続で黒字化すると同時に、小学校30人学級を全国最初に全学年で導入する「財源」を生み出した、政治と行政に王道なしの「まっとうな手法」です。

 さらに会計検査院の上部組織として、国民から選ばれた検察審査会的な委員会を各分野に設置。中央VS地方の二項対立を解消すべく、参院の構成を全国比例区選出議員と447都道府県知事に変更します。

 公正の観点から、消費税にインボイス方式を導入し、社会保障分野を再構築すべく、乳幼児から高齢者に至るすべての国民に無条件で毎月一定額を一律に保証する「最低生活保障=ベーシック・インカム」を導入します。デンマークなどの北欧諸国が取り組むこの制度こそは、議員の口利きに象徴される裁量行政が幅を利かす社会保険庁や自治体の福祉事務所の役割を終焉させ、効率的な福祉国家を実現させる触媒機能なのです。

 坂本竜馬もチエ・ゲバラも、か弱き人、愛する人のために守旧派抵抗勢力と闘い続けました。「平成の改国」を断行すべく、脱しがらみ・脱なれあいの新党日本は踏ん張ります。
   (週刊weekly、2009年08月10日)

     参考

 2009年08月21日付け朝日新聞は、各政党について前回(2005年)の総選挙の時のマニフェストと今回のそれとを比較しています。新党日本については、前回がないので、2007年の参院選の時のそれと今回を比較しています。それを引用します。

 題・新しい日本宣言⇒日本「改国」宣言

 経済・財政、公共事業に莫大な予算を垂れ流す選択を改める。⇒すべての事業をゼロベースで見直し、癒着を根絶。

 治安・地震、津波、内戦、飢餓に直面する地域での救助活動や医療支援に駆けつける「国際救援隊」創設。⇒自衛隊を改組し、国際救援隊「サンダーバード隊」(仮称)創設の具体的検討を開始。

 教育・教員採用試験の受験年齢制限を全廃。⇒高校までの少人数学級と無償化を推し進める。

     感想

 新党日本の立場は、事実上も、模範に引いている例からも、「北欧の社会民主主義」だと思います。では、社民党がすでにあるのに、なぜそれと一緒にやらないか、または内部から改革しようとしないか。

 多分、それは難しいから、あるいは時間がかかりすぎるから、だと思います。

 思うに、日本の社会民主主義は共産主義(マルクス主義)に対するコンプレックスから出発し、それから脱却しえていないと思います。つまり、「マルクス主義(ないし共産党)は理論的に正しいがそれには付いて行けない」という人々が始めた運動だと思います。

 それに対して、北欧のそれは、ソ連や東欧の共産主義の間違いを見て、また自由主義的資本主義の弊害も経験して、第3の道を探った結果だと思います。理論的にマルクス主義を批判してはいませんが、その現実を見て、頭からマルクス主義を問題にしておらず、それに対するコンプレックスもないのだと思います。

 新党日本もそうだと思います。今はこの党はまだ田中康夫さんの私党のような印象を与えていますが、そしてそれは現段階では仕方ないと思いますが、それをどういう風に公党にして行くか、それが課題だと思います。この点でも北欧の社会民主主義政党やドイツの緑の党などの組織論を学んで前進してほしいと思います。