有名私大の大学職員が45歳で軒並み平均年収1000万円を超える高給を得ていることが、私大教職員組合の調べで分かった。関西大が1250万円、早稲田大が1100万円…。私学には国などから多額の補助金が下りているだけに、「高すぎる」との批判も出ている。
どこぞの大企業か、と見間違えるような数字が並んでいる。45歳職員で、平均年収が上から、
関西大1250万円、明治・中央大1158万円、立教大1129万円、早稲田大1100万円…。
これは、日本私大教連の各地区労組がまとめた有名10大学職員の年収一覧だ。配偶者と子ども2人がいる職員を対象に、本俸やボーナス、各種手当を含んだ2008年度の年収を調査した結果になっている。この年収一覧は、私大教連機関誌の2009年05月28日付大阪・京都滋賀版に、「2009春闘に役立つ資料」として載せられている。
45歳では、実に7大学が年収1000万円以上だ。35歳でも、明治大956万円をトップにすべて年収700万円以上になっている。55歳を見ると、慶応大の963万円を除きすべて1000万円以上で、トップの関西大では、なんと1343万円にも達しているのだ。
国家公務員の行政事務職で、2008年度の平均年収が41歳で644万円。この大不況で、民間に比べて「高すぎる」と指摘されている。私大には、国などからの補助金が収入の1割ほども出ているだけに、ネット上では、大学職員の高給ぶりに批判も出ている。
年収一覧について、「これでも大学職員のブログ」が05月31日付エントリーで「いろいろな方面から叩かれそう」と紹介すると、はてなブックマークが200以上もつく関心を集めた。はてブのコメントは、「これで私学助成云々はもう言えなくなるな」「学費毎年上げてるのに、公になると批判が出そうだな」「非常勤講師が檄貧生活している一方、これか」などだ。
私立大学職員の平均年収は、日本私立学校振興・共済事業団の調べでは、2005年分が、42歳で734万円。これでも国家公務員の年収より高い。
職員待遇の基準について、文科省の私学部参事官室では、「学内の給与規程を作って下さいとは言っていますが、補助金が出ているからと言って、公務員に準じたものにとは言っていません。給与などは学内での管理・運営の話ですので、適正に処理されれば何も申し上げることはありません」と話す。
日本私大教連の書記次長は、突出した職員年収のわけをこう説明する。
「確かに、ぱっと見て高いですよね。大学によっていきさつは違うと思いますが、有名私大は、学生募集も順調ですし、一定の経営基盤があるので、それだけの年収を出せるのではないでしょうか。しかし、批判の声はそれほど聞いてはいません。国立大のように補助金を6割ももらっていれば、公務員に準じるのかもしれませんが、私大はそうではありません」。
そのうえで、有名私大以外は、恵まれていないと指摘する。
「ここに載っているのは、トップ10の学校で、地方の中小規模の学校は年収が低いです。定員割れで、給与を削減していますから。補助金ぐらいではやっていけないのが実態です。ほかの大学職員から見れば、うらやましく、賃上げしてほしいと思っていますよ」。
一方、関西大や早稲田大など各大学では、職員の年収については内部的なものとして公表しておらず、教職員組合の調査についても、確認できないので回答しかねるとしている。
(2009年6月1日配信、J-CASTニュース)