『二重生活』『パリ、ただよう花』『天安門、恋人たち』『パープル・バタフライ』などを手掛けた中国第6世代、婁燁ロウ・イエ監督の作品。盲人マッサージ店で起こる人間模様を描く。
繁盛している盲人マッサージ店で働くことになったシャオマー。お客さんから美人と評判のホンや経営を担当する院長のシャーを頼ってきたワンとコンの駆け落ちカップルなど、大勢の盲人、そして病気などで失明を待つだけの人などが働いている。マッサージ師たちはお店の寮みたいなところで団体生活を営んでいて、若いシャオマーは性欲を抑えられない。このままでは同僚に迷惑がかかると、先輩がちょんの間みたいな盲人も相手をしてくれる風俗店を紹介すると、シャオマーは通い詰める。
マッサージ店の調理師のおばさんがおかずの肉の数でえこひいきしたり、弟の借金の取り立てで実家にまで来たヤクザを前に腹を切ったり、マッサージの腕が確かで心も純粋な同僚と結婚したいと考える女性がいたり。ワンとコンのカップルも、盲人同士の結婚はよくないと家族に反対されての駆け落ちだった。
何やかんやありながらも賑やかで仲良くやっていたマッサージ店だったが、ホンが指を挟む大事故があり、店は閉店して皆それぞれの道を歩みだす。。。
シャーではないもう一人の院長が「健常者は神のようなものだ」と言っていたのが印象に残りました。目の見えない人が目の見える人に抱いている思いとは、まさにそういうことなんだとはっとさせられたようです。自分にはない感覚を自由に駆使できる、例えるなら自分にとって未来がはっきり見える預言者みたいなものなのかもしれません。
婁燁監督が描く盲人たちは、聖人でもか弱き者でもなく、誇りも性欲もある普通の人たちで、視覚という非常に大きな違いはあるけれど、彼らの生活も我々とそんなに変わらずいろんなドラマがあるんだなあ、と思いました。
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