前作『ライジング・ドラゴン』で全開アクションは引退と宣言した成龍ジャッキー・チェン、この作品は確かにアクション抑えめだけど、人質の解放を賭けて金網デスマッチをやったり相変わらずスタント無しで肉体を酷使しています。
娘のミャオ(景甜ジン・ティエン)に呼び出された刑事のジョン(成龍)、中年には場違いな騒々しいクラブでミャオと会っているときに、突然店のオーナーであるウー・ジアン(劉[火華]リウ・イエ)が客を人質にして店内に立て籠もる。ウーの要求は、刑務所に収監されている囚人を1人連れてくること。人質と囚人との交換で、ウーの意図が明らかになる。。。
街中を駆けまわることも、世界を股にかけて飛び回ることもなく、外界から隔離されたクラブの中が主な舞台というのは、ジャッキー映画にしてはかなり地味な印象を与えます。ジョンと娘ミャオの人間関係、また主犯のウーが事件を起こした動機も家族が元になっていて、人間ドラマを重視しているのかなあ。役者にもう少し若手のイケメンどころが入っていたら、華もあって後進の育成もできていいのに、と思います。
ウーの立て籠もり事件の動機もあまりに私的な事柄すぎて、あんな大事件を起こすだけの動機になるのかな、と。中国であんな大事件を起こしたらかなりの重罪になるのは間違いないだろうし。
成龍自身は派手なアクションこそないものの、地味ながら相変わらず身体を張っています。椅子に針金で括りつけられたときには、監視の隙をついて僅かずつ腕を動かして、ついには針金をほどいてしまいます。エンドロールでメイキングが出てたけど、成龍の「どうだ、できるだろう」という誇らしげな表情が地味に痛そうだけど印象的でした。
金網の檻の中で行われた対決も金網に顔を押し付けられたりして痛そうだけど、どんなふうに押しつけられたらいい画になるのかリハーサルで細かくチェックしていたりして、細かいところまでこだわりが強いなあと。
エンドロールはお馴染みのメイキング集で楽しめます。ジャッキー映画だと派手なアクションをやっぱり期待してしまうから、監督に専念して若手俳優をもっと使ったらいいのにとも思うけど、そうすると自らの血が騒ぐのか、自分の奇想天外な着想を他人にやらせるのは危険すぎるのか。
今のままだともっと迫力がほしいですね。
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6/8 TOHOシネマズ川崎
『GF*BF』
グイ・ルンメイ×ジョセフ・チャン×リディアン・ボーン! 絶賛公開中!
成龍のファンとしては、寄る年波には逆らえないと知りつつも、結局アクションを期待してしまい、でも無理はしないでねぇ~というなんとなく矛盾した気持ちを持ちつつ観る最近の作品。
ということで言えば、本作は、割とうまい具合に老いたジャッキー・チェンにシフトしたような気がしましたが。
無理しないで~という気持ちと、それでも無茶してほしい!という相反する期待を抱いてしまうところが、ジャッキーらしいというか。
観客も満足、ジャッキー本人も満足、というところを手探りで探していく感じでしょうか。
そして手探りで探しつつ、確実に自分自身も年をとっていくのだなぁ…なんて…