★ 「現代歌人百人一首~お正月の味をうたう」 短歌研究2012年1月号より
お正月のお祝いには、みなさまはどのようなものを召し上がるのでしょうか。全国のお正月料理にはどんなものがあるのか。味付けや材料にはなにをつかわれるのか百名の歌人に詠っていただきました。守ってゆきたい伝統の味や、我が家の定番の味など、お正月ならではのご馳走の歌をお楽しみください。 ※99の名歌をさしおいて私の迷歌を取り上げる図々しさをお許し下さい。
❤ 老人の集うがに世田谷お煮しめの煮つまりてゆく年の瀬の夜 松井多絵子
材料は人参、牛蒡(ごぼう)昆布、蒟蒻(こんにゃく)。この正月料理は肌をきれいにすると言いながら「世田谷お煮しめ」と名づけたのは母。
※母の予想通り私は手抜き料理の達人になりました。あの世の母のため息が聞こえてきます。
❤ いつよりか厨のなかに見あたらぬ共に嫁ぎてきしすり鉢が
❤ 胡麻を炒りすり鉢でするそんなことしていたならば我がすり減る
❤手抜きして作る料理を食べながら母より長くこの世に居すわる
以上は松井多絵子歌集『厚着の王さま』より、
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