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或るホームレス歌人を探る~その十六

2012-12-20 20:34:56 | 歌う

    「或るホームレス歌人を探る~その十六」  松井多絵子

2009年9月7日 永田選

 ● 瓢箪の鉢植ゑを売る店先に軽風立てば瓢箪揺れる  公田耕一

 永田は評に「瓢箪のリフレインがいかにも飄々とした趣。意味に縛られない作法がいい」と書いている。この一首以後、公田の作品は朝日歌壇に掲載されることなく九か月が過ぎている。

▲ なぜ、投稿しなくなったのか ※次回に詳しく書きます。

2010年6月現在、朝日歌壇に公田耕一は不在である。その理由を探る前に、彼の入選歌を集計してみよう。2008年12月から2009年9月まで。

   佐佐木幸綱選      九首

   高野公彦選      十七首

   永田和宏選      十一首

   馬場あき子選      三首

 合計四十首である。前年もっとも多く入選した美原凍子の三十首、郷隼人の二十八首よりはるかに多い。公田の場合は九か月である。さらに公田への応援歌はすでに十首も掲載され、朝日歌壇で最も注目されている時に、なぜ投稿を中止したのか、考えてみたい。

※この辺りを書いていたのは二年前の六月のはじめ。連休が終わり夏休み前の、旅行代金のもっとも安い時期。でも評論文の締め切りまであと三週間だ。私はイライラしていた。

 ❤ 友はみな旅をしている連休に夕餉のための瓜を乱切り

 ❤ ふきげんな我に焼かれて塩鮭のばら色の肌は土色となる

 ❤ アフリカの旅より帰りてきし友はわれより偉くゆたかに見える

        (歌集『厚着の王さま』より三首)   ~次は忍耐力テスト十七です~   


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