えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

「白」という漢字が怖い

2017-02-20 09:38:20 | 歌う
        「白」という漢字が怖い
 
 朝刊の「怖い漢字の本」の広告を見ただけで寒くなる。夏に発売すればいいのに と思いながらも私の目はこの広告から離れない。「幸」罪人の手足にはめられた手枷「了」は両腕を失くした子供の姿「白」は崇拝された権力者のドクロ、、

 「広辞林」には「白」はすべての色の光線をことごとく反射することによって見える色。と書かれている。私の短歌には「白」が多い。無意識に詠んでいるが、負のイメージの歌が多いような気がする。こんな怖い歌がある。

 ▲ この秋の旅行の予定の記されぬ手帳の空白、白がふるえる

 8年も前、癌で闘病中の妹の最後が秋だと医師から宣告され、私はその春から旅行を控えた。大好きな紅葉の秋、毎年この時期は旅の予定がびっしり書かれるメモは空白。そのメモの頁の白が怖かった、あの夏。
 
     ▲ 白靴がわれに逆らい右でなく左の角を曲がってしまう

     ▲ 話しても返事をしない四百の真っ白い口、原稿用紙の

     ▲ まっすぐな道こそ迷路、まっ白な服こそすぐに汚れてしまう
     
     ▲ 白い壁、白いテーブルその上のメモには何も書かれていない

 これらの白は私にイヤガラセをしている。私を不快に不安にさせる。岩波短歌辞典
に「白は神聖、神秘、無垢、清純、清潔などのよきものを暗示する。マイナスイメージでは、空白・虚無がある。短歌では後者のほうがシンボルカラーとして使われていることが多い」  

 今月号「未来」に出詠したこの歌は若い女への嫉妬かもしれませんね。!(^^)!

   ▲ 白無垢の花嫁あなたはいつまでも白い女でいられるかしら
  
           2月20日  松井多絵子    

コメントを投稿