??「謎の歌人・木下こう」??
木下こう様 ご歌集ありがとうございます。5月12日初版発行、生まれたばかりの卵のような『体温と雨』という白い歌集に、私は引きこまれております。歌誌「未来」に大辻隆弘選歌欄が数年前に発足し、木下こうという歌人が現れて、従来の短歌とは異なる作品を次々に発表、初心者とは思えぬ作品なので、パソコンで検索しましたがわからない、2011年度の「年間未来賞」を受賞されましたが、授賞式にはご欠席でしたね。
✿ ママ、ママとまちがへながら吾に来し子は春に降る雨の目をして、
「雨の目をして」という表現に戸惑いました、が、この結句で魅力的な歌になりましたね。あなたは小さいお子さんのママで忙しい方なのでしょうか。
✿ でたらめに砕けたものがなめらかな水に浮かんで昼がきれいだ
✿ とめどなく春であることおそろしい石垣の間にもなにかが芽吹く
✿ 雨垂れの音飲むやうにふたつぶのあちさゐ色の錠剤を飲む
このような歌に出会いますと、私の歌がいかにも平々凡々におもえてきます。あなたが師事していられる大辻隆弘氏は国語の先生、その先生の解説で
✿ 窓がみなゆふぐれである片時のアビタシオンに人のぼりゆく
「窓がみなゆふぐれである」という表現に驚いた。窓がそのまま「ゆふぐれ」だという断定はかなり強引だ。と大辻先生は書いていられます。あるいはこの強引な表現があなたの作品の魅力のようにも思えます。歌集を読みながら微睡む私が『体温と雨』は読むほどに体温が上がり深夜の私を眠らせません。私をボケさせない歌集ですね。アリガトウ。
✿ けふもまた冷たいドアを鎖すとき鉄より鉄をぬきさりし音
木下こう様 この歌はコワイです。『体温と雨』の数々の歌に圧倒されながら、、。
5月25日 松井多絵子
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