☀ 「服部真里子の歌がまぶしい」 ☀
「服部真里子って歌手?」「いいえ、歌人ですよ。20代の。未来賞、歌壇賞を受賞した向日葵みたいな女。未来6月号の♠今月の一人 に連作9首とミニ・エッセイ が載ってますよ」。
♠ 思い出が痩せてゆきますある春の潮干狩りだけを灯して
♠ 缶詰の桃にちいさな窪みあり人がまなざし休めるための
♠ 桜ある坂をあなたはゆっくりと歩む桜を追いつめながら
♠ たましいを誰かに売ってみたくなる四月地球のかすかな火照り
9首のなかから4首を抄出した。のこりの5首はサングラスをかけても私にはまぶしい。
20代でこんなに自在に詠めるなんて、20代だから詠めるのか。さりげない上句で読者を引き寄せ、のんびりしている読者を 「まあ」 と驚かせる下句。心得てますね、服部真里子は。彼女は男ごころをつかむのもお上手でしょう、爬虫類の画が得意な方ですし、、。
「歌の内容を掲載号に合わせるようにしてきた。読む人の体感に寄り添って、ともに季節をすごす歌を作りたかったからだ。が、最近、それに抵抗を感じるようになってきた。歌を掲載月に合わせるために、今、まさに私自身を取りまいている季節に目を閉ざすのが、もったいないように思えてきたのだ」 と服部真里子はミニ・エッセイを9首に添えている。このように、自身の思いを的確に読者に伝えられる歌人は、サングラスをかけても私にはまぶしい。
服部真里子サマ あなたの歌集?『君はイグアナ』を昨夜読みました、悪夢のなかで。
6月10日 松井多絵子
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