・・・ 地球そぞろ歩き ⑨ ・・・
古代奈良の都をそぞろ歩きする6月上旬の週末
山の辺の道を流れているような東へゆくのか西へゆくのか
広すぎる野をあてもなくただ歩く広すぎる空の雲は動かぬ
いくたびも風の曲線くぐりぬけ古代に来ておりジーンズのまま
うなだれる亀石の首を小突けども叩けどもふかく眠りていたり
われを見るわれのこころを見るような一人の青年、埴輪の武人
※ ※ ※
このような風もなくよく晴れた日は笑ってごらん耳成山よ
おいしいというよりやさしい味がする斑鳩の里の古代米弁当
三輪山のふもとのあたりを歩くとき「ごーん、ごーん」と背なを打つ鐘
ほんわかと雲のひろがる三輪山の彼方にたぶん私の倖
飛鳥寺千三百歳の大仏に見下ろされいてしばし黙祷
復元の南大門のすぐ前を近鉄奈良線車両が走る
※ ※ ※
薬師寺の塔の上なる雲脚が歩きだしそう、西日の方へ
たそがれが濃くなる前の新緑の坂のぼりつめ甘樫の丘
雲の手がここへ来いよと招けども甘樫の丘はわれを放さぬ
香具山は明日ゆけばよし、しろたえのTシャツを着てジーンズ穿いて
あおによし奈良の都を見ておりぬ夜灯を消して目瞑りながら
6月7日 松井多絵子
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます