えくぼ

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地球そぞろ歩き ⑨

2015-06-07 09:54:26 | 歌う

              ・・・ 地球そぞろ歩き ⑨ ・・・

          古代奈良の都をそぞろ歩きする6月上旬の週末

      山の辺の道を流れているような東へゆくのか西へゆくのか

      広すぎる野をあてもなくただ歩く広すぎる空の雲は動かぬ

      いくたびも風の曲線くぐりぬけ古代に来ておりジーンズのまま

      うなだれる亀石の首を小突けども叩けどもふかく眠りていたり

      われを見るわれのこころを見るような一人の青年、埴輪の武人

                ※    ※    ※

      このような風もなくよく晴れた日は笑ってごらん耳成山よ

      おいしいというよりやさしい味がする斑鳩の里の古代米弁当

      三輪山のふもとのあたりを歩くとき「ごーん、ごーん」と背なを打つ鐘

      ほんわかと雲のひろがる三輪山の彼方にたぶん私の倖

      飛鳥寺千三百歳の大仏に見下ろされいてしばし黙祷

      復元の南大門のすぐ前を近鉄奈良線車両が走る

                 ※    ※    ※

      薬師寺の塔の上なる雲脚が歩きだしそう、西日の方へ

      たそがれが濃くなる前の新緑の坂のぼりつめ甘樫の丘

      雲の手がここへ来いよと招けども甘樫の丘はわれを放さぬ

      香具山は明日ゆけばよし、しろたえのTシャツを着てジーンズ穿いて

      あおによし奈良の都を見ておりぬ夜灯を消して目瞑りながら

                                    6月7日  松井多絵子


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