・・・ あるきだす俳句新人 ・・・
6年前から俳句を作り始めて新人賞を受賞した能美顕之。38歳で日本伝統俳句協会新人賞、である。昨日☀「あるきだす言葉たち」の12句を読みながらベテランの俳人の作品のように思えた。若い人も老人と同じように和食を好んで食べるような、能美顕之の俳句。
風音 より四句
♦ 秋風の膨らむ路地や鞆の浦
※ 広島県福山市は万葉の時代から潮待ち港として栄え、歴史のある処である。
吹き寄せる風は路地で膨らむ、潮の匂いが満ちているであろう。「膨らむ」が利いている。
♦ 曇天に存在感の紅葉かな
※ 晴天より曇天の方が紅葉は鮮やかかもしれない。「存在感」という散文の言葉を使い、結句は「紅葉かな」といかにも古風である。なるほど、だから。新人の伝統俳句か。
♦ 落葉踏む音に生まれるるリズムかな
※ 歩きながら落ち葉を踏むと歌っているような気分になる。歩くことは歌うことですね。
♦ 大空と一つになりて日向ぼこ
※ 「日向ぼこ」は愉しいが現代人は紫外線を怖れて避けるのではないか。「日向ぼっこ」は
昼のひととき私たちの 「ゆとり」 になるのに。大空と一つになれば、若くなれるのに。
能美顕之は1977年島根県生まれ。「ホトトギス」同人。今年の日本伝統俳句協会新人賞
11月25日 松井多絵子
✿ 文芸情報 「ショートショート大賞」
原稿用紙1枚から応募できる「ショートショート大賞」が創設される。キノブックス主催。
来年2月29日まで作品を募集している。審査員長 作家の、田丸雅智
作品は400字詰め原稿用紙1~20枚にまとめる。
大賞は副賞30万円のほか書籍の刊行など。投稿先など詳細は特設サイト
(http://shortshortawards.com)へ。
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