「おいしい思い出、川床料理」
真夏の京都市内と比べて気温が10度も低いと言われる貴船の川床。川の真上の床板のひんやりしていたこと。昨年の今頃のことですけれど。
★ 貴船のほうたる 六首 松井多絵子
古都に来て昼すぎの坂のぼりつめ紫陽花の群れに囲まれている
七月の三千院のあじさいの老いたる青にわれは安らぐ
三十度のままの夕ぐれ山裾の杉に触れればひいやりとして
貴船にてこれが最後の晩餐のように川床料理味わう
唐揚げのアマゴ、塩焼きの鮎たぶんこれらは川の若き魚たち
暗闇にささやく声が、ほうたるの求愛はあの光なんだよ
※ささやかれたのは私ではありません。でも川床料理は「最後の晩餐」になることなく、おいしい思い出になりました。 7月4日 松井多絵子