軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ウスタビガ 2021年ー1/2

2021-09-03 00:00:00 | 
 今回は毛虫が登場しますので、苦手な方はご注意ください。

 昨年(2020年)飼育していたウスタビガはおよそ30匹が繭を作った。これらをコナラの枝から切り離し、飼育ケージに吊り下げておいたところ、秋に羽化し、♀はその繭にとどまり飛来した♂と交尾し、繭の表面に少し産卵し、移動後ケージのネットなどに産卵して飛び去って行った。

 次の写真は表面に卵が産みつけられているウスタビガの♀の繭(ヤマカマスとも)で、長さは約40mm、太さは約20mmで、一般に♀の繭は♂のものよりも大きい。産み付けられている卵の大きさは長さ約2.6mm、幅約1.8mmである。

ウスタビガの繭(ヤマカマス)の表面に産み付けられた卵(2021.4.23 撮影動画からのキャプチャー画像)

 この繭に産卵してあった卵から幼虫が孵化してくる様子をビデオ撮影したく思い、今年になってからは注意して観察していが、4月下旬に飼育ケージのネット上に数匹の幼虫を見つけた。繭上の卵を確認したが、こちらはまだ孵化していないようであった。

 そこで、表面に卵の付いている数個の繭を室内に取り込んで、撮影の準備に入った。いつ孵化するかがなかなか予測しづらいので、しばらく様子を見ていたところ、やがて一つの繭の表面に幼虫が一匹いるのが見つかったので、ビデオカメラをタイムラプスモードにセットして、2匹目が孵化するのを待った。こうして撮影したのが次の映像である。

 後の参考のために、繭上の卵から孵化してくる順番を次の写真の中に示す。「1」の卵からはすでに孵化していて穴が開いている。このあと見ていただく動画は「2」の卵からのものであるが、上部のやや色の濃い部分に穴が開きはじめる。


ウスタビガの繭(ヤマカマス)の表面に産み付けられた6個の卵(2021.4.23 撮影動画からのキャプチャー画像)

 撮影は30倍タイムラプスで行っていて、次の映像は約2時間45分間撮影したものを30分ごとに分割し編集したものである。孵化直後の幼虫は毛の根元の色が白っぽいが、次第に黒化して2時間ほど経つと全体がまっ黒になるのがわかる。

 
繭に産み付けられたウスタビガの卵からの孵化(2021.4.24  0:50-3:35 30倍タイムラプス撮影後編集)

 この「2」の卵から孵化した幼虫は、別に用意した食樹である瓶挿ししたサクラの葉に移し、次の卵からの孵化を待った。次の映像はサクラの葉を食べる先に孵化していた別の卵から孵化した幼虫である。

 
サクラの葉を食べる孵化直後のウスタビガ1齢幼虫(2021.4.23, 6:35-6:37 撮影)

 繭の上に産みつけられていた6個の卵のうち、3個目の卵からの孵化はタイミングの関係で見逃してしまい、気がつくとすでに幼虫が繭の上を這っていた。

 その次の4個目の卵からの孵化は実時間で撮影ができた。卵に穴が開いているのに気が付き撮影を始めたのは17:33頃であったが、次の動画は9分後の17:42頃からのものである。

 
繭の上の「4」の卵からの孵化(2021.4.24  17:42~17:45 撮影)

 これらの映像からもわかるように、孵化時、幼虫は卵の殻を内部から齧って小さな穴を開け、それを少しずつ大きくして、やがてそこから這い出して来るのだが、その穴を開ける場所はだいたい決まっていて、長めの球の頂点付近であり、その部分の色は周囲とは異なって見える。

 ところが、5番目の卵はその部分が隣接する卵「2」の陰に少し隠れている。幼虫が小さな穴を開け始めたが、隣の卵に邪魔をされて、それ以上広げることができない。どうも決められた場所以外に穴を広げることは難しいようで、中から齧りやすい場所は限られているのかと思える。しばらく格闘しているようであったが、諦めてしまった。

 そうしているうちに、最後の6番目の卵に動きが見られ、小さな穴が開き始めたと思っていたら、こちらはさっさと穴を大きくして、5番目の卵より先に孵化していった。次の映像で、左上にいるのは卵「4」から孵化した1齢幼虫。

 
卵「5」からの孵化を追い越して卵「6」が孵化する様子(2021.4.24, 17:55-19:29 撮影動画を編集)

 このままでは、5番目の幼虫は卵から脱出できないで終わってしまうのではと懸念し、邪魔をしている2番目の抜け殻を取り除いてやったところ、他の卵に比べてずいぶん時間がかかったが、ようやく幼虫が孵化して出てきた。

 前の動画と一部重複するが、卵「6」と卵「5」から孵化する様子をもう1台の別のカメラで撮影したのが次の映像である。

 
卵「6」が、卵「5」を追い越して孵化する様子。途中、卵「2」を取り除いている(2021.4.24, 19:27-19:50 撮影動画を編集)

 こうして6個すべての卵からの孵化は完了した。通常卵の一部に穴が開き始めてから1時間足らずで幼虫が出てくるが、「5」の卵だけが3倍程度長くかかっている。もし人の助けがなかった場合にどうなっていたのだろうかと思う。


繭上の6個の卵からの孵化日時

 これらの幼虫は室内で瓶挿ししたサクラの葉を与えてその後の成長の様子を追った。

 以下次回


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