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軽井沢からの通信ときどき3D

移住して11年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(2)カワウ

2020-04-24 00:00:00 | 野鳥
 今回はカワウ。雲場池に来る水鳥としては異色の存在かもしれないが、この3か月ほどの間に、5・6回見かけている。

 以前、南軽井沢にある八風湖で一度見かけたことがあり、珍しく思い撮影した記録がある。この時のウも単独であったが、今回雲場池で見たウもいつも1羽だけであった。ウと言えば集団で営巣している姿を思い浮かべるが、仲間からはぐれたのだろうか。

 雲場池では、ある朝池の中ほどの水面に浮かぶ特徴ある姿を目撃して、ウではないかと思ってしばらくそのまま眺めていたが、私が立ち止まっていた場所から随分距離があったにも関わらず、気配を感じたのか、南の方向に飛び去って行った。

 その後も1・2度似たようなことがあり、池のそばの高い樹上にとまっているのを見かけることがあったが、3月22日には雲場池からの流れが合流する精進場川にいたウが、私が近づいたのに驚き、頭上をかすめるように飛び去ることもあった。

 4月9日には雲場池の奥の方から飛び立ち、入り口近くにいたマガモのすぐそばに着水したが、その後再び飛び立って、今度は奥にある小島の木にとまった。とても警戒心が強いようであった。

 しかし、他の水鳥も同じであるが、毎日のように私が出かけているので、次第に慣れてきたのか、警戒心もいくぶん解け、池の奥にある小島の木にとまっている時は悠然と羽繕いなどをする姿を見かけるようになり、撮影もできるようになった。

 ウにはウミウとカワウがいることは知っていたが、調べてみると日本にはウ科の鳥が4種生息していて、この2種の他にヒメウとチシマウガラスがいるとのこと。

 その中で、今回雲場池で見た種は撮影した写真を参考にして、その外観と生息場所からカワウに違いないと判断した。

 いつもの「日本原色鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)から引用するとカワウは次のようである。

 「形態 我国では最も普通のウ。嘴峰56~69mm、翼長311~348mm、尾長151~161mm、跗蹠57~60mm。全体金属光沢のある藍黒色、眼の周囲から嘴の周囲にかけ羽毛を欠き皮膚裸出し黄色を呈す。裸出部の周囲には幅の広い白帯がある。上背と肩羽とは暗赤かっ色で各羽の羽縁は黒色である。生殖羽のものは腰の両側に各1個の大きな白色三角形はんを有し且つ頭及び上頸に白色糸状羽毛を多数生ず。この羽毛は老鳥ほど多く中には頭頸部の著しく白く見えるものもある。幼鳥は上面暗かっ色、下面は汚白色でかっ色縦はんがあり、成長の羽衣になるのには3年を要す。
  生態 我国には周年生息し各地に集団営巣地がある。中でも愛知県知多郡鵜の山と青森県南津軽郡猿賀神社の集団営巣地とは著名であり天然記念物に指定されている。粗林の高い樹枝上に毎年多数のものが営巣するのでそのふんのために樹木を枯死させることがあるが、またそのふんはよい肥料となるので附近の農夫は集団営巣林の地面にわらを敷きふんの多くかけられたわらを肥料として利用している。営巣地附近の湖沼、海面にて採食するがその行動半径は10kmにも及ぶこともある。繁殖期は11月ごろから6月ごろまでに及ぶ。大群にてねぐらと採食地の間をガン飛行するのがよく見られる。
  分布 本州各地で繁殖する他、北海道・伊豆七島・四国・九州・対馬にも分布。」
 
 以下、撮影した写真である。


南軽井沢の八風湖で見たウ(2017.6.17 撮影)


雲場池の中央部に浮かぶウ(2020.3.5 撮影)


人の気配に飛び立つウ(2020.3.5 撮影)


池周辺の高い樹上にとまるウ(2020.3.14 撮影)


頭上をかすめるようにして飛び去るウ(2020.3.22 撮影)



池から飛び立つウ(2020.4.9 撮影)


飛び立ってマガモのそばに着水(2020.4.9 撮影)

再び飛び立つウ(2020.4.9 撮影)


雲場池の奥にある小島に生える木にとまる(2020.4.9 撮影)

 この日以降、この小島の木にゆったりととまる姿を見るようになった。

ウがしばしばとまるようになった小島の木(2020.4.12 撮影)

小島の木にとまるカワウ 1/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 2/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 3/11 (2020.4.15 撮影)


小島の木にとまるカワウ 4/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 5/11 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまるカワウ 6/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 7/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 8/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 9/11 (2020.4.15 撮影)


小島の木にとまるカワウ 10/11 (2020.4.15 撮影)

小島の木にとまるカワウ 11/11 (2020.4.15 撮影)

 意外に思ったのだが、ウ類の羽は水をはじかないようになっているという。そのためウ類は岩場や樹上で翼を広げて乾かすのだそうである。


小島の木にとまり羽を広げて乾かすカワウ 1/3 (2020.4.12 撮影)


小島の木にとまり羽を広げて乾かすカワウ 2/3 (2020.4.12 撮影)

小島の木にとまり羽を広げて乾かすカワウ 3/3 (2020.4.12 撮影)

 ウといえば長良川の鵜飼のことをすぐに思い浮かべるが、前出の「原色日本鳥類図鑑」のウミウの項にも記されているとおり、「長良川のウ飼に用いられるのは本種である」とのことで、鵜飼に使われる種はウミウであって今回のカワウではない。

 長良川の他にも全国各地で鵜飼は行われているが、以前仕事で赴任していた広島の三次市でも鵜飼が行われていた。

 三次市には西城川・馬洗川・神之瀬川の三つの川が流れ、市の中心部で合流して江の川(ごうのかわ)となって日本海に流れる。この合流地点付近にある三次親水公園内に鵜飼乗船場があり、そこを拠点として、下流側の水道橋から巴橋までの水域を、鵜舟と遊覧船が並行しながら進む回遊式で夏の時期に観光鵜飼が行われている。

 三次にいる間に一度家族とこの鵜飼の舟に乗ったことがあった。この時は鵜匠がウを数羽あやつり、アユを捕えるところを見、下船してから河原でそのアユを焼いて食べた記憶があるが、大きな屋形船では船上ですぐに焼いたアユを食べさせていたのかもしれない。

 ウィキペディアでもう少しこの鵜飼のことを調べてみた。
 
 「鵜飼い・鵜飼・鵜養(うかい)は、鵜(ウ)を使ってアユなどを獲る、漁法のひとつ。中国、日本などで行われていた。現在では漁業というより、観光業(ショー)として行われている場合が多い。 また、ヨーロッパでは16世紀から17世紀の間、スポーツとして行われた。 」とある。

 日本の伝統漁法かと思っていたが、中国やヨーロッパでも行われているようである。日本での歴史については、「鵜飼いの歴史は古く、『日本書紀』神武天皇の条に『梁を作つて魚を取る者有り、天皇これを問ふ。対へて曰く、臣はこれ苞苴擔(ニエモツ)の子と、此れ即ち阿太の養鵜部の始祖なり』と、鵜養部のことが見え、『古事記』にも鵜養のことを歌った歌謡が載っている。」とされている。

 こうしたことから、岐阜県岐阜市ならびに関市の長良川河畔における鵜飼は、宮内庁式部職である鵜匠によって行われている。また、使われるウの捕獲も伝統的な手法が今日まで引き続き用いられているようで、「鵜飼いに使われるウはウミウであり、和歌山県有田市と島根県益田市を除く全国11か所すべての鵜飼は、茨城県日立市(旧十王町)の伊師浜海岸で捕獲されたウミウを使用している。ウミウの捕獲は、春と秋の年2回、鳥屋(とや)と呼ばれる海岸壁に設置されたコモ掛けの小屋で行われる。鳥屋の周りに放した囮のウミウにつられて近寄ってきたところを、鳥屋の中からかぎ棒と呼ばれる篠竹の先にかぎ針を付けた道具を出し、ウミウの足首を引っかけて鳥屋に引きずり込み捕らえる。」とされている。

 ところが、鵜飼に使用するウの種類や猟法についても、お国柄があるようで、中国では、「ウミウ」ではなく「カワウ」を使っているという。他にも中国と日本では鵜飼の手法に違いがあることから、互いに独自の発展をしてきたものとの研究報告があって、次のようである。

 「現在、観光地としても著名な広西チワン族自治区桂林市付近や、雲南省洱海での鵜飼いがよく知られており、『魚鷹捕魚/鱼鹰捕鱼 yúyīngbǔyu』、『鸕鶿捕魚/鸬鹚捕鱼 lúcíbǔyú』などと呼ばれている。・・・卯田宗平(国立民族学博物館准教授)による調査では、中国の鵜飼いは観光用でなく淡水漁業として現役であり、鄱陽湖や洞庭湖など少なくとも119カ所で行われている。中国の鵜飼いは、日本と以下のような相違点がある。
  • 日本ではウミウを使うのに対し、中国ではカワウを使っている。
  • 日本では野生の成鳥を捕獲して訓練するが、中国では完全に家畜化されている。人間から餌をもらうことに慣れすぎて水に潜ろうとしない場合もあり、長い棒を振り回りしたり、水面を叩いたりして魚を捕らせる。
  • 魚を飲み込めないように鵜の喉に輪を装着するのは日本も中国も同じだが、中国では日本のように鵜を綱に繋がず、魚を捕らえた鵜は自発的に鵜匠の元に戻ってくる。
  • 日本では鵜飼いは様式化して残ったため、捕る魚はほぼアユのみだが、中国では一般漁法として存続しているため、コイ科を中心に鵜が捕れる大きさのありとあらゆる魚を捕る。」
 ところで、私は大学生の頃写真部に所属していて、2-3年生頃のある時大学の寮生の生活を撮影するために、工学部などの学生が生活している寮に出かけたことがあった。 そこで、部屋に上がりこんで寮生と話をしながら写真撮影をしていたのであるが、その中の1人に「長柄」さんという人がいた。

 数年後、この長柄さんとは、偶然にも机を並べて講義を聴く機会があったが、久しぶりに会った彼に、私は「鵜飼」さんと呼び掛け、彼は不思議そうな顔をしていたことを思い出す。
 
 
 






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雲場池の水鳥(1)マガモ

2020-04-17 00:00:00 | 野鳥
 朝、雲場池(くもばいけ)に散歩に出かけるようになって3か月ほどが経った。冬の間は外出の機会もあまりなく、運動不足気味なのでその対策ということであったが、同時に写真撮影対象を求める目的もあった。

 雲場池は、軽井沢町の六本辻近くにある池で、かつて昭和初期にはボート遊びもでき、近くにはホテルも建てられていた。

 現在、一帯は雲場川風致地区に指定されており、2年前に再整備されて軽井沢の観光コースとなっている。 

 しかし意外なことに、雲場池は自然のものではない。大正時代、この周囲一帯を別荘地として開発した貿易商野澤組の野澤源次郎がホテル鹿島ノ森の敷地内の湧水「御膳水」を源とする小川(雲場川)をせき止めて造った人造湖である。

 池の入り口には改修時に新設された次の案内板が設置されていて、以前は白鳥も飛来していたことから「スワンレイク」という愛称を持つことや、池と周辺で見られる動植物が紹介されている。


雲場池の入り口に2年前に新設された案内板(2018.6.9 撮影)

 ここに、池で見られる水鳥として紹介されているのは、カイツブリだけで白鳥は今はもう見ることができない。

 私が1月からこの池に来るようになって出会うことができた水鳥は、マガモ、コガモ、カルガモ、カイツブリ、キンクロハジロ、ホシハジロ、オオバン、カワウ、チュウサギなどである。
 
 この中で、一番数の多い種はマガモで、次いでカルガモの姿をよくみかける。

 今回はそのマガモの紹介をさせていただく。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年 保育社発行)で、マガモの項を見ると次のようである。

 「形態 ♂は頭頸部金属緑色にて白色の頸輪がある。嘴峰50~56mm、翼長240~280mm、尾長82~95mm、跗蹠40~44mm。胸は紫栗色、上尾筒は黒色で先端巻き上る。翼鏡金属緑黒色で前後に白縁がある。♀は全体黄かっ色で黒かっ色はんがあり過眼線黒。
  生態 アヒルは本種を原種として作り出されたものである。冬期は各地の湖沼、沼沢地、海洋上に多数群生するが、昼間は主として海洋上に生活し、夜間陸地に飛来するものが多い。狩猟鳥として有名である。広く欧亜大陸及び北米に分布繁殖し、我国でも一部繁殖するものもあるが大部分は冬鳥としてシベリア大陸より渡来する。
  分布 北海道・本州の高山湖・滋賀県・馬毛島などから繁殖の記録がある。冬期は北海道・本州・伊豆七島・四国・九州・対馬・種子島・奄美大島に分布する。」

 雲場池には多い時には数十羽をみることができるが、日によっては全く姿を見せないこともある。


雲場池の入り口付近に集まるマガモ(2020.2.25 撮影)

雲場池の奥に架かる橋の近くに集まるマガモ(2020.1.17 撮影)

 マガモの姿はなかなか美しい。上に記した図鑑の説明では、頭頸部金属緑色と記されているが、この緑色はいわゆる構造色と思われ、光線の具合や見る角度で青~青紫色に見えることがある。また、光沢が消えてまっ黒く見えることもある。マガモのことを青首(アオクビ)ともいうが、時々青く見えるからそういうのか、日本人はもともと青と緑の区別があいまいなのでそのように言っているのかよくわからない。

 先ずは普通に緑色の金属光沢に見える状態から。


♂の頭頸部が緑色に光る2組のマガモのペア(2020.1.29 撮影)

♂の頭頸部が緑色に光るマガモのペア(2020.2.25 撮影)

 次はちょっとした角度の違いで緑色と黒に見えるところ。


頭頸部の僅かな角度の違いで緑色や黒に見えるマガモの♂(2020.1.19 撮影)

 次は角度の違いで、頸が緑に、頬は青色に光って見えるところ。


♂の頭頸部が緑~青色に光るマガモのペア(2020.2.25 撮影)

 光線の具合によっては、♂の頭頸部は緑~青~紫の色が微妙に混じって見えることがある。

頭頸部が紫色に光って見えるマガモの♂(2020.3.25 撮影)


♂の頭頸部が紫色~黒に見えるマガモのペア(2020.3.25 撮影)


♂の頭頸部が青~紫色~緑に見えるマガモのペア(2020.3.25 撮影)

 マガモは冬鳥ということで、今の季節は日本の各地に見られるようであるが、軽井沢で見られるマガモはどうか。シベリア方面から飛来した個体が越冬しているのか、通年生息し繁殖もしているのだろうか。

 1月からこちら、3回ほど雪が降ったが、雪の降りしきる中、じっと水面に留まる姿を見ることもあった。


雪の朝じっとうずくまるマガモ(2020.3.24 撮影)


雪の朝じっとうずくまるマガモのペア(2020.3.24 撮影)

 時にはユーモラスに思える姿を見ることもある。雲場池は全体に浅く、逆立ちすれば底に届くところでは次のようなシーンが見られる。まるで、シンクロナイズドスイミングを見るようである。


逆立ちして池の底の餌を探すマガモ(2020.1.22 撮影)
 

逆立ちして池の底の餌を探すマガモ(2020.2.10 撮影)

 また、少し深いところでは、潜水して底に生えている水草を食べているようである。ただ、潜水時間は短く数秒でほぼ同じ場所に浮き上がってくる。この辺は十数秒と長く潜ることができ、思いがけないところに浮かんでくるカイツブリとはだいぶ違う。

少し深いところでは潜水して餌を探している(2020.2.22 撮影)

 ある時、マガモのペアがいるなと思って撮影していたら、♀と思えたのはカルガモであった。くちばしの色が違っている。

 この後、1分程度経ったところで、2羽は陸に上がり歩き始めた。カルガモが先で、後を追うようにマガモが続いていく。恐らく、隣接する別荘地内の池に向かっているのだろうと思えた。


一緒に泳ぐマガモとカルガモ(2020.3.23 撮影)


一緒に遊歩道を歩くカルガモとマガモ(2020.3.23 撮影)

 家に帰ってから妻に、マガモが浮気している現場を「激写」したよといって、この2枚の写真を見せたところ、意外に冷静な返事が返ってきた。「このカルガモは♂じゃないの!」
 
 アヒルはマガモを家畜化したものであると上で引用した図鑑に書かれていたが、もう一つアイガモというものがいる。アイガモ(合鴨)とは何か。

 アイガモは、野生のマガモとアヒルとの交雑交配種ということである。ただし、アヒルはマガモを品種改良した家禽品種で生物学的にはマガモの1品種であり、その交配であるアイガモもまたマガモである。「『マガモ』、『アヒル』、『アイガモ』という呼び変えは生物学的なものではなく、歴史的伝統による慣例や認識にすぎないか、あるいは商業的な理由によるものである。」とのこと、何だかややこしい話である。

 しかし、アイガモはなかなか美味である。東京の東日本橋に住んでいたころ、近くにこのアイガモ料理専門の店があった。

 牛肉よりも鴨肉が好きだという娘の希望もあり、誕生日にこの店に出かけたことがあるが、メニューは「相鴨すき焼きコース」だけという店であった。1872年創業というこの店では「あひ鴨」と称している。

 何だか話題が変な方向にそれてしまった。

 




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山野で見た鳥(4)小さな三きょうだい

2020-04-10 00:00:00 | 野鳥
 手元にある「日本の鳥550-山野の鳥」(2000年 文一総合出版発行)という写真による鳥類目録を眺めていると、各項の欄外に、大まかな大きさの目安が、一般的な種と比較して記述されている。例えば、ハトくらい、ムクドリくらい、スズメより大きい、といった具合である。そこに、さらに「日本で最も小さい鳥の一つ」とか、「日本で最も小さい」と書かれた種がいる。前者はキクイタダキのところに、後者はミソサザイの項にそのように書かれている。そこで、どの種が一番小さいのだろうかと思い、改めてウィキペディアで調べてみると、ミソサザイの所には、「日本の野鳥の中でも、キクイタダキと共に最小種のひとつ」とあり、キクイタダキの所には、「日本国内ではミソサザイ、エナガとともに最小の鳥の一種である」と書かれている。エナガはどうかと思い調べてみたが、こちらには大きさに関して日本で一番・・といった表現は見られない。

 そこで、いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)を基本として、図鑑に記載されている数字から大きさ比較をしてみた。次のようである。

日本で最も小さい野鳥三種の比較

 この比較表をみると、総合的にはミソサザイもずいぶん小さいが、一番小さいのはキクイタダキということになる。特に体重では断然キクイタダキが小さいようである。

 以前からこのことはそれとなく妻から聞いていたので、それなりに頭に入っていたが、このところの早朝の雲場池散歩でこの三種すべてに出会い、不十分ながら証拠写真を撮ることができたので、ご紹介しようと思う。それぞれのもう少しましな写真はいずれまた撮影できた時点でご紹介ということにしたい。

 三種の中でも、私が初めて見たのはキクイタダキである。エナガは神奈川県に住んでいた頃にも冬に公園で見かけたことがあるし、今も自宅周辺や雲場池で比較的よく見かける。ミソサザイは軽井沢に住むようになってからであるが、中軽井沢の湯川でちらと見かけていた。しかし、キクイタダキは話に聞くだけで、見たことはなかった。

 朝の散歩の際、雲場池脇の別荘の生垣の間で動いている小さな鳥を見つけて急いで撮影したが、遠かったこともあり、その場では種が全く判らず、帰ってから写真を拡大して妻に見せながら判定したところ、キクイタダキだろうということになった。 
 
 その時撮影した写真は下で紹介するように、大層不鮮明であった。しかし、よく見るとキクイタダキの名の由来である頭頂の冠羽部が黄色に見える。これは♀の色で、♂の場合この部分は橙色とされる。それで間違いないだろうということになった。

 エナガは雲場池周辺で比較的よく見かけ、小さな群れで素早く動き回っているが、それでも撮影は比較的容易に行える。一方、ミソサザイは、ごくまれにそれらしい姿を見るのだが、見かけたと思うとすぐに飛び去り静止することがほとんどなく、なかなか撮影させてもらえないでいた。しかし、キクイタダキを初めて見かけてからしばらくして、ようやくミソサザイの写真も撮ることができた。また、この日は再びキクイタダキの撮影もできたし、ミソサザイにはその後にももう一度出会うことができた。

 こうして、日本で最も小さい野鳥の写真が何とか揃ったので、今回3種をまとめて紹介できることになった。

 まず、キクイタダキの写真から。キクイタダキの名前の元になった頭頂部の黄色い冠羽が見える。

キクイタダキ 1/5(2020.3.5 撮影)

キクイタダキ 2/5(2020.3.16 撮影)

キクイタダキ 3/5(2020.3.16 撮影)

キクイタダキ 4/5(2020.3.5 撮影)

キクイタダキ 5/5(2020.3.5 撮影)

 「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育社発行)からキクイタダキを紹介する。

 「形態 オリーブ色のごくごく小さい鳥で頭央は橙黄色美麗。嘴峰9~10mm、翼長50~59mm、尾長35~43mm。頭上、背共オリーブ色で、頭央には、2本の黒条に挟まれた顕著な橙黄色部がある(♀はこの部分黄色)。翼には白帯と白はんとがある。
  生態 北海道、本州の亜高山帯の針葉樹林中で繁殖す。冬季はシベリア大陸からも多数渡来し、エナガ、シジュウカラなどの群れに混じって山すそや人里近くに来るものが多い。チリッ、チリッと細い声でなき、あまり人を恐れない。低木林や草原に生息し秋から冬にかけては小群をなす。なき声ビッピー、ビッピーと聞こえる。あまり人を恐れない。
  分布 北海道・本州・伊豆七島・四国・九州・対馬・種子島・屋久島。」

 次にミソサザイの写真。ミソサザイの名前の由来は面白い、妻が義父から聞いたというのだが、ミソ色のササイな鳥なのでミソサザイになったという。なんとも可哀そうな名前の由来ではある。

ミソサザイ 1/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 2/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 3/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 4/5(2020.3.16 撮影)

ミソサザイ 5/5(2020.3.16 撮影)

 「形態 ごく小型でかっ色。尾は短かい。嘴峰10~13mm、翼長45~54mm、尾長27~38mm、跗蹠16~19mm。上面は茶褐色で背以下尾に至るまで黒色の小さな横しまがある。眉はんは黄かっ色で不明瞭。下面は上面よりやや淡く下胸部以下には上面と同様の横しまが密在する。
  生態 夏期亜高山帯の森林中に多いが、低山帯で繁殖するものもある。登山道や谷川に沿って生息するものが多い。短い尾を立てて岩角や切株の上に止まりチョㇿㇿㇿッと高らかに美声でなく。冬期には山すそ地方に漂行し小川沿いのやぶや人家の生垣などにも飛来し、チョッ、チョッとなきながらやぶを潜行する。
  分布 北海道・本州・伊豆七島(大島)・四国に生息繁殖する。」

 最後はエナガの写真。こちらは柄の長いヒシャクのイメージから付けられた名前と聞く。体の大きさに比べ尾がとても長い。

エナガ 1/8(2020.3.3 撮影)

エナガ 2/8(2017.5.5 撮影)

エナガ 3/8(2020.3.11 撮影)

エナガ 4/8(2020.3.18 撮影)

エナガ 5/8(2020.3.17 撮影)

エナガ 6/8(2020.3.18 撮影)

エナガ 7/8(2020.3.5 撮影)

エナガ 8/8(2020.3.17 撮影)

 「形態 きわめて小さい鳥で白と黒とのまだら。尾が著しく長い。嘴峰6~8mm、翼長56~62mm、尾長72~84mm、跗蹠16~18mm。頭上、顔は白く幅広い黒色眉はんがある。背は灰黒色で白や淡ぶどう酒色の羽毛が混じる。下面はほとんど白い。♀♂同色。
  生態 平地、低山帯、亜高山帯の下部に至る森林中に各地に普通に繁殖す。チー、チー、ジュリ、ジュリとなき秋から冬にかけては群生して人里近くにも来る。
  分布 留鳥として本州各地に広く分布繁殖する。」

 キクイタダキとミソサザイはどちらもまともな写真を見ていただくことができなかったが、たまたま自宅にはこの2種をデザインしたカップ&ソーサーがあったので、その写真を紹介して埋め合わせをさせていただく。どちらも同じイギリス製のシリーズで、Royal Worcester 社の銘がある。底に、キクイタダキには’The Goldcrest’、ミソサザイには’The Wren’と英語名が記されている。

キクイタダキ(The Goldcrest)をデザインしたイギリス製カップ&ソーサー

キクイタダキのソーサー

ミソサザイ(The Wren)をデザインしたイギリス製カップ&ソーサー

ミソサザイのソーサー

【2020.5.3 追記】
 ある朝、少し先の枝にミソサザイがとまり囀りはじめた。その鳴き声は時々耳にしていたもので、今まで姿が見えず声の主が分からなかったが、ようやく分かった。
 
 それにしても体に似合わず大きな声で鳴く。写真を見ると精一杯声を出している様子がよくわかる。

美しく大きな声で鳴くミソサザイ 1/2 (2020.4.28 撮影)


美しく大きな声で鳴くミソサザイ 2/2 (2020.4.28 撮影)



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山野でみた鳥(3)ヒレンジャク

2020-04-03 00:00:00 | 野鳥
 今回はヒレンジャク。頭上にある冠羽(羽冠とも)が目立つという特徴のある鳥なので、名前はもちろん知っていたし、以前どこかで群れになっているところを見た記憶はあるが、実際に間近に見たのは今回が初めてで、撮影ももちろん初めてである。

 このヒレンジャク、いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年保育者発行)には次のように記されている。

 「形態 全体ぶどう灰かっ色にて、頭上の羽冠顕著、尾の先端は鮮紅色。嘴峰10~12mm、翼長103~112mm、尾長49~59mm、跗蹠18~20mm。よく似たキレンジャクとの主な相違点は次の通りである。初列風切の先端が白く、やや紅色の部分がある。次列風切先端は黒色で、キレンジャクのように白斑や紅色の付属物がない。大雨覆の先端暗紅色。初列雨覆の先端は青灰色(キレンジャクは白い)
  生態 シベリア東南部で繁殖し、我国には秋季渡来して越冬する。冬期は数十の群をなして落葉した広葉樹のこずえなどに止まりヒィー、ヒィーと低い声でなく。ヤドリギの果実を好む。本州中部以西では一般に(キレンジャクと比べ)本種の方が数が多い。春季渡去の直前には数十の群をなして市街地の庭園にも渡来し電線に一列に止まって、その下を人が通って恐れないほどである。
  分布 冬鳥として北海道・本州・伊豆七島(三宅島・八丈島)・四国対馬・奄美大島などに渡来する。」

 日本の特産種ではないが、東アジアだけに分布するということから、学名はBombycilla japonica、英名はJapanese Waxwing とどちらにも日本の名が記されている。

 前記の「生態」にあるとおり、当地にはキレンジャクよりもヒレンジャクの方が多く生息しているようで、こちらに先に出会うことになった。

 いつものように雲場池の朝の散歩をしていて、アカゲラのドラミングが聞こえてきたので、その樹下に行って撮影をしていたところ、より低い枝先に数羽の鳥がいることに気がついた。しばらく見ていたが、それがレンジャクであることが冠羽から判った。その枝先にはヤドリギが生えていた。以前から、レンジャクはヤドリギの実を好み、レンジャクが移動して糞をすることでヤドリギの繁殖に寄与していると聞き知っていたが、その通りの状況であった。

 野鳥についての知識が乏しく、この鳥がヒレンジャクなのかキレンジャクなのか現地では判らなかったが、帰宅後鳥類図鑑を見て、尾の先端部の色の黄色いものがキレンジャク(黄連雀)、赤いものがヒレンジャク(緋連雀)であることから、今回見た種を確認した。

 ヤドリギに執着があるためであろう、逃げ去ることなくその周辺に長くとどまってくれたので、この時は次のように多くの写真を撮ることができた。


ヤドリギの実をついばむヒレンジャク(2020.2.28 撮影)


ヤドリギの実を咥えるヒレンジャク(2020.2.28 撮影)


咥えていたヤドリギの実を落とすヒレンジャク(2020.2.28 撮影)


飛び立つヒレンジャク(2020.2.28 撮影)


近くの木の枝に止まり様子をうかがうヒレンジャク1/3(2020.2.28 撮影)


近くの木の枝に止まり様子をうかがうヒレンジャク2/3(2020.2.28 撮影)


近くの木の枝に止まり様子をうかがうヒレンジャク3/3(2020.2.28 撮影)




近くの木の枝に止まり様子をうかがうヒレンジャク(2020.2.28 撮影)



近くの木の枝に止まり様子をうかがうヒレンジャク(2020.2.28 撮影)


ツグミとのツーショット(2020.2.28 撮影)

 数日後、今度は別の場所で、ヤドリギの生えている木に近い、別の木の上に5羽のヒレンジャクが止まっているのに気付いた。散歩していて思うのだが、野鳥は鳴き声が聞こえたり、飛び立ったりしない限り、すぐそばにいても気が付かないことがある。この時は、前回の経験でヤドリギの生えている大きな木があったので、少し注意してまわりを見回していて気がついた。

 それまでヤドリギの実を食べていたのだが、私の気配を感じて逃げていたのであろう、少し離れた位置から様子を伺っているという感じであった。しばらく見ていると、我慢ができなくなってヤドリギに向かって飛び、実をついばみ始めた。


2株のヤドリギの生えている木(2020.3.4 撮影)


少し離れた場所で様子をうかがうヒレンジャクの群れ(2020.3.4 撮影)


少し離れた場所で様子をうかがうヒレンジャクの群れ(2020.3.4 撮影)


ヤドリギの実をついばむヒレンジャク1/2(2020.3.4 撮影)


ヤドリギの実をついばむヒレンジャク2/2(2020.3.4 撮影)

 ヒレンジャクは冠羽が目立つレンジャクの仲間であり、これほど大きな冠羽のある種はそんなに多くない。庭にやって来る種の中ではヒガラに小さめの冠羽を見ることができる程度である。海外の種では、冠羽といえばカーディナルを思い浮かべる。田口壮選手が一時期所属していたことで知られるアメリカMLBのチーム、セントルイス・カーディナルスのシンボル鳥でもある。

 このカーディナルをデザインした洗面所用具の歯ブラシ立てが我が家にある。子育てしている様子であるがなかなか可愛い姿が描かれている。海外の陶磁器類にはこのように野鳥や蝶を描いたものが多く見られるが、日本産には少ないと感じる、何故だろうか。


アメリカ合衆国に生息するとされるカーディナルの親子が描かれた歯ブラシ立て

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庭にきた鳥(4)アトリ

2020-03-27 00:00:00 | 野鳥
 今回はアトリ。冬期、まれに我が家の窓際に設けている餌台にやって来る種にこのアトリがいる。これまで近くで見ることのなかった種であるが、こうして間近に見て覚えると、野外で樹上にいても判るようになった。

 原色日本鳥類図鑑(小林桂助著 1973年保育社発行)には次のように紹介されている。
「【形態】 黒、黄かっ色、白の取合せの美しい鳥。嘴峰11~14mm、翼長83~94mm、尾長55~66mm、跗蹠17~22mm、頭上、背、顔は黒と黄かっ色とのまだらで腰は白。喉、胸、脇は黄かっ色で腹部は白。翼と尾とは黒く翼には白帯がある。夏羽は頭上から背にかけ漆黒となる。♀は♂に比べ全体的に色彩が淡い。
 【生態】 本種は欧亜大陸の北部で繁殖し、冬期はその南部に渡る。我国には冬鳥として渡来する。秋から冬にかけて群生し、山ろく地帯や平地に普通である。キョッ、キョッ、キョッとなく。
 【分布】 北海道・本州・八丈島・四国・九州・対馬・屋久島・種子島。」

 また、ウィキペディアには「秋に飛来する鳥なので戦前は穀物に害を与える害鳥とされていた。いっぽう、古くから日本ではツグミと並んで食用の鳥として重視されてきた。かすみ網で捕らえられ、焼き鳥などで食されたものの、戦後にかすみ網が禁止されたため猟は下火となった。」といった記述も見られる。群れを成して飛来するので、一網打尽といった感じで捕らえて食用にしたのだろうか。

 餌台に来た時の映像があり、次のようである。この映像は30倍のタイムラプスで撮影している。庭に餌台を設けて間もない頃であったので、個々の鳥の姿を捉えるのではなく、どのような野鳥が集まるのか大雑把に調べてみたいと思っていたころであった。映像の前半(2016.1.20 撮影)に、他の鳥、シジュウカラなどが餌を咥えてすぐに飛び立つのに比べ、アトリは長時間餌台にとどまり、餌を食べ続ける様子が映っていた。後半部分(2016.1.23 撮影)では頻繁に餌台への出入りを繰り返しており、他の鳥を気にする様子はそれほど感じられない(YouTube の再生速度を落としてご覧ください)。


庭の餌台に来たアトリ(2016.1.20 15:40-15:47, 2016.1.23 10:03-10:23 30倍タイムラプスで撮影)

 群れで暮らすとされているが、この餌台にやってきた時は単独であった。この年は雪が多く降り、野鳥たちは餌探しに苦労していたのかもしれないが、この日餌台には常連のシジュウカラをはじめとした多くの鳥が餌を求めて集まってきた。アトリはそうした中に紛れ込んでいたようである。

 その後2017年1月3日に撮影の記録があるが窓越しでいい写真は撮れなかった。その次の記録は雪の降った日の2018年2月2日と3日に続けて餌台近くの木に止まったり、地面で何やら餌を探している2羽のアトリを見かけている。この時は長い間その付近にとどまっていたのでたくさんの写真を撮ることができた。


モミジの木に止まるアトリ1/3(2018.2.2 撮影)


モミジの木に止まるアトリ2/3(2018.2.2 撮影)


モミジの木に止まるアトリ3/3(2018.2.2 撮影)


スズメと共にエノキの木に止まるアトリ(2018.2.2 撮影)


地面で餌を探すアトリ(2018.2.2 撮影)

 その後は、2020年の現在まで、庭のモミジの木の枝に止まっているのを見かけたり、近隣の空き地に群れでやってきたことはあるが、餌台での動画撮影はできていない。
 
 次の写真は庭のモミジに止まっているところである。


モミジの木に止まるアトリ(2019.2.15 撮影)

 この時、隣地では数十羽の群れが地上で餌を探していた。


近隣の空き地で餌を探すアトリの群れ(2019.2.15 撮影)



飛び立つアトリの群れ(2019.2.15 撮影)

 2020年に入り、朝、雲場池の周囲を散歩するようになって、このアトリの小さな群れが別荘地の庭の枯れた下草の中で餌を探しているところを見かけるようになった。警戒心が強く、すぐに遠くへ逃げてしまうのでなかなか撮影させてもらえない。別荘の庭の木の間から辛うじて姿を見せたのが次の写真である。


朝の雲場池で見かけたアトリ1/2(2020.2.5 撮影)


朝の雲場池で見かけたアトリ2/2(2020.2.10 撮影)
 
 なかなか美しい羽色と紋様を持つ種である。また餌台に来たところを撮影できればと思っている。 

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