軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

雲場池の水鳥(1)マガモ

2020-04-17 00:00:00 | 野鳥
 朝、雲場池(くもばいけ)に散歩に出かけるようになって3か月ほどが経った。冬の間は外出の機会もあまりなく、運動不足気味なのでその対策ということであったが、同時に写真撮影対象を求める目的もあった。

 雲場池は、軽井沢町の六本辻近くにある池で、かつて昭和初期にはボート遊びもでき、近くにはホテルも建てられていた。

 現在、一帯は雲場川風致地区に指定されており、2年前に再整備されて軽井沢の観光コースとなっている。 

 しかし意外なことに、雲場池は自然のものではない。大正時代、この周囲一帯を別荘地として開発した貿易商野澤組の野澤源次郎がホテル鹿島ノ森の敷地内の湧水「御膳水」を源とする小川(雲場川)をせき止めて造った人造湖である。

 池の入り口には改修時に新設された次の案内板が設置されていて、以前は白鳥も飛来していたことから「スワンレイク」という愛称を持つことや、池と周辺で見られる動植物が紹介されている。


雲場池の入り口に2年前に新設された案内板(2018.6.9 撮影)

 ここに、池で見られる水鳥として紹介されているのは、カイツブリだけで白鳥は今はもう見ることができない。

 私が1月からこの池に来るようになって出会うことができた水鳥は、マガモ、コガモ、カルガモ、カイツブリ、キンクロハジロ、ホシハジロ、オオバン、カワウ、チュウサギなどである。
 
 この中で、一番数の多い種はマガモで、次いでカルガモの姿をよくみかける。

 今回はそのマガモの紹介をさせていただく。

 いつもの「原色日本鳥類図鑑」(小林桂助著 1973年 保育社発行)で、マガモの項を見ると次のようである。

 「形態 ♂は頭頸部金属緑色にて白色の頸輪がある。嘴峰50~56mm、翼長240~280mm、尾長82~95mm、跗蹠40~44mm。胸は紫栗色、上尾筒は黒色で先端巻き上る。翼鏡金属緑黒色で前後に白縁がある。♀は全体黄かっ色で黒かっ色はんがあり過眼線黒。
  生態 アヒルは本種を原種として作り出されたものである。冬期は各地の湖沼、沼沢地、海洋上に多数群生するが、昼間は主として海洋上に生活し、夜間陸地に飛来するものが多い。狩猟鳥として有名である。広く欧亜大陸及び北米に分布繁殖し、我国でも一部繁殖するものもあるが大部分は冬鳥としてシベリア大陸より渡来する。
  分布 北海道・本州の高山湖・滋賀県・馬毛島などから繁殖の記録がある。冬期は北海道・本州・伊豆七島・四国・九州・対馬・種子島・奄美大島に分布する。」

 雲場池には多い時には数十羽をみることができるが、日によっては全く姿を見せないこともある。


雲場池の入り口付近に集まるマガモ(2020.2.25 撮影)

雲場池の奥に架かる橋の近くに集まるマガモ(2020.1.17 撮影)

 マガモの姿はなかなか美しい。上に記した図鑑の説明では、頭頸部金属緑色と記されているが、この緑色はいわゆる構造色と思われ、光線の具合や見る角度で青~青紫色に見えることがある。また、光沢が消えてまっ黒く見えることもある。マガモのことを青首(アオクビ)ともいうが、時々青く見えるからそういうのか、日本人はもともと青と緑の区別があいまいなのでそのように言っているのかよくわからない。

 先ずは普通に緑色の金属光沢に見える状態から。


♂の頭頸部が緑色に光る2組のマガモのペア(2020.1.29 撮影)

♂の頭頸部が緑色に光るマガモのペア(2020.2.25 撮影)

 次はちょっとした角度の違いで緑色と黒に見えるところ。


頭頸部の僅かな角度の違いで緑色や黒に見えるマガモの♂(2020.1.19 撮影)

 次は角度の違いで、頸が緑に、頬は青色に光って見えるところ。


♂の頭頸部が緑~青色に光るマガモのペア(2020.2.25 撮影)

 光線の具合によっては、♂の頭頸部は緑~青~紫の色が微妙に混じって見えることがある。

頭頸部が紫色に光って見えるマガモの♂(2020.3.25 撮影)


♂の頭頸部が紫色~黒に見えるマガモのペア(2020.3.25 撮影)


♂の頭頸部が青~紫色~緑に見えるマガモのペア(2020.3.25 撮影)

 マガモは冬鳥ということで、今の季節は日本の各地に見られるようであるが、軽井沢で見られるマガモはどうか。シベリア方面から飛来した個体が越冬しているのか、通年生息し繁殖もしているのだろうか。

 1月からこちら、3回ほど雪が降ったが、雪の降りしきる中、じっと水面に留まる姿を見ることもあった。


雪の朝じっとうずくまるマガモ(2020.3.24 撮影)


雪の朝じっとうずくまるマガモのペア(2020.3.24 撮影)

 時にはユーモラスに思える姿を見ることもある。雲場池は全体に浅く、逆立ちすれば底に届くところでは次のようなシーンが見られる。まるで、シンクロナイズドスイミングを見るようである。


逆立ちして池の底の餌を探すマガモ(2020.1.22 撮影)
 

逆立ちして池の底の餌を探すマガモ(2020.2.10 撮影)

 また、少し深いところでは、潜水して底に生えている水草を食べているようである。ただ、潜水時間は短く数秒でほぼ同じ場所に浮き上がってくる。この辺は十数秒と長く潜ることができ、思いがけないところに浮かんでくるカイツブリとはだいぶ違う。

少し深いところでは潜水して餌を探している(2020.2.22 撮影)

 ある時、マガモのペアがいるなと思って撮影していたら、♀と思えたのはカルガモであった。くちばしの色が違っている。

 この後、1分程度経ったところで、2羽は陸に上がり歩き始めた。カルガモが先で、後を追うようにマガモが続いていく。恐らく、隣接する別荘地内の池に向かっているのだろうと思えた。


一緒に泳ぐマガモとカルガモ(2020.3.23 撮影)


一緒に遊歩道を歩くカルガモとマガモ(2020.3.23 撮影)

 家に帰ってから妻に、マガモが浮気している現場を「激写」したよといって、この2枚の写真を見せたところ、意外に冷静な返事が返ってきた。「このカルガモは♂じゃないの!」
 
 アヒルはマガモを家畜化したものであると上で引用した図鑑に書かれていたが、もう一つアイガモというものがいる。アイガモ(合鴨)とは何か。

 アイガモは、野生のマガモとアヒルとの交雑交配種ということである。ただし、アヒルはマガモを品種改良した家禽品種で生物学的にはマガモの1品種であり、その交配であるアイガモもまたマガモである。「『マガモ』、『アヒル』、『アイガモ』という呼び変えは生物学的なものではなく、歴史的伝統による慣例や認識にすぎないか、あるいは商業的な理由によるものである。」とのこと、何だかややこしい話である。

 しかし、アイガモはなかなか美味である。東京の東日本橋に住んでいたころ、近くにこのアイガモ料理専門の店があった。

 牛肉よりも鴨肉が好きだという娘の希望もあり、誕生日にこの店に出かけたことがあるが、メニューは「相鴨すき焼きコース」だけという店であった。1872年創業というこの店では「あひ鴨」と称している。

 何だか話題が変な方向にそれてしまった。

 




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