人の一生には幾つかの分かれ道があります。岐路とでも言いますか、ここで一頑張りしたらあとは道なり楽勝♪そんな場面に出くわした時は兎に角最善を尽くすのはもちろんでしょうが、ある意味幸運の女神様に微笑んでもらうことも重要なポイントではないでしょうか。
再三ご登場いただいています(笑)鬼塚専務の場合、ぶら下がりで卒業したW大の教授のアドバイスを守ったお陰で今日の地位があると申しましたが、それからも何度か岐路があったそうであります。そのなかでも最初で最大だったのは新しく出来たエレクトロニクス事業部への転籍でしょうか。たまたま電子工学科を出ていた鬼塚君に白羽の矢がたったのでした。
…と言いましても社内では疑問視する向きも多数ありましたから業績が上がらなければポシャる可能性もありました。新しい事業部から出戻りとなるとまず形見の狭い会社人生を送る事になります。
又投入する人材でもその新規事業部の期待度が判るとしたものです。
社内の俊英が集まる事業部は競争も激しい事ながら会社の期待度も大きいからです。
社内には新規事業推進部があります。将来の基盤となる新規の事業を調査している部門があります。これは絶対伸びる!と決めても市場や経済の動向で頓挫してしまう場合も少なからずあります。 また将来の展望を予測してABCのランクをつけるのです。
Aはすごく有望で近い将来には会社の売り上げの柱となる事業です。 当然ながら資金や人材は集中的に投入していきます。
人材については人事査定のAもしくはSクラスの優績者が選ばれます。部署の所属長は自分の職場から優秀な社員を取られて痛いはずですが社命が優先ですから涙を呑むことになります。BCはそれ以下です。特にCとなると資金や人材で制約があり人材などは各部署から選抜される訳にはいかず『まあこいつならいいだろう』みたいな推薦となります。
鬼塚君が新規事業部への転籍になったのは専攻の学部も含んだものでした。しかし本人は自覚していたのでした。曰く当初はCに近い事業部計画だったそうでした。
従って職場も本社から離れた賃貸ビルのワンフロアでした。
集まった社員は評判の良くない者やC査定の者が多数を占めて居ました。
『何なんだよ…』 同僚となる顔触れを眺めて鬼塚君は憮然としていました。『これじぁ不良社員のゴミ箱だぜ』…となりでやっぱりぼやいていたのが今の高辻役員でした。
現在の三奉行と呼ばれる重役さんは皆さんこのなかにいらっしいました。つまり玉石混合だったのでした。 立ち上げから数ヶ月まるで手応えのない新規事業部に嫌気がさした鬼塚君は外回りの途中から飲み屋へ首っ引きとなりました。 新しい事業部のお得意先を開拓していたのですが、業界ではまるで知名度のない(当時本業では一流でしたが)のではどこも相手にしてもらえなかったのでした。たまに話を聞いてもらえたとしても 専門知識に乏しかったせいで突っ込んだ商談になりません。
それではさすがの鬼塚君も嫌になり新宿あたりで油を売って居たのもやむを得ないでしょうね(笑)
そんな新宿の飲み屋でひょっこり高辻君が入ってきたのでした。
夕刻の陽はまだ暮れていなかったと言いますから五時過ぎくらいだったのでしょう。
最初気がついたのは高辻君でした。 二人は顔こそは覚えていましたが今まで言葉を交わしたことはありません。
高辻君はほろ酔いの鬼塚君を見つけると自分と同じくさぼって来たな(笑)と思ったそうです。知らない振りをしても良かったのでしたが、その時の鬼塚君の横顔が実に寂しく憂いに満ちた雰囲気だったので思わず声を掛けたそうです。
『私も一杯いいですか』側に近付いて高辻君は笑顔で声を掛けました。これが永いコンビの始まりでした。
再三ご登場いただいています(笑)鬼塚専務の場合、ぶら下がりで卒業したW大の教授のアドバイスを守ったお陰で今日の地位があると申しましたが、それからも何度か岐路があったそうであります。そのなかでも最初で最大だったのは新しく出来たエレクトロニクス事業部への転籍でしょうか。たまたま電子工学科を出ていた鬼塚君に白羽の矢がたったのでした。
…と言いましても社内では疑問視する向きも多数ありましたから業績が上がらなければポシャる可能性もありました。新しい事業部から出戻りとなるとまず形見の狭い会社人生を送る事になります。
又投入する人材でもその新規事業部の期待度が判るとしたものです。
社内の俊英が集まる事業部は競争も激しい事ながら会社の期待度も大きいからです。
社内には新規事業推進部があります。将来の基盤となる新規の事業を調査している部門があります。これは絶対伸びる!と決めても市場や経済の動向で頓挫してしまう場合も少なからずあります。 また将来の展望を予測してABCのランクをつけるのです。
Aはすごく有望で近い将来には会社の売り上げの柱となる事業です。 当然ながら資金や人材は集中的に投入していきます。
人材については人事査定のAもしくはSクラスの優績者が選ばれます。部署の所属長は自分の職場から優秀な社員を取られて痛いはずですが社命が優先ですから涙を呑むことになります。BCはそれ以下です。特にCとなると資金や人材で制約があり人材などは各部署から選抜される訳にはいかず『まあこいつならいいだろう』みたいな推薦となります。
鬼塚君が新規事業部への転籍になったのは専攻の学部も含んだものでした。しかし本人は自覚していたのでした。曰く当初はCに近い事業部計画だったそうでした。
従って職場も本社から離れた賃貸ビルのワンフロアでした。
集まった社員は評判の良くない者やC査定の者が多数を占めて居ました。
『何なんだよ…』 同僚となる顔触れを眺めて鬼塚君は憮然としていました。『これじぁ不良社員のゴミ箱だぜ』…となりでやっぱりぼやいていたのが今の高辻役員でした。
現在の三奉行と呼ばれる重役さんは皆さんこのなかにいらっしいました。つまり玉石混合だったのでした。 立ち上げから数ヶ月まるで手応えのない新規事業部に嫌気がさした鬼塚君は外回りの途中から飲み屋へ首っ引きとなりました。 新しい事業部のお得意先を開拓していたのですが、業界ではまるで知名度のない(当時本業では一流でしたが)のではどこも相手にしてもらえなかったのでした。たまに話を聞いてもらえたとしても 専門知識に乏しかったせいで突っ込んだ商談になりません。
それではさすがの鬼塚君も嫌になり新宿あたりで油を売って居たのもやむを得ないでしょうね(笑)
そんな新宿の飲み屋でひょっこり高辻君が入ってきたのでした。
夕刻の陽はまだ暮れていなかったと言いますから五時過ぎくらいだったのでしょう。
最初気がついたのは高辻君でした。 二人は顔こそは覚えていましたが今まで言葉を交わしたことはありません。
高辻君はほろ酔いの鬼塚君を見つけると自分と同じくさぼって来たな(笑)と思ったそうです。知らない振りをしても良かったのでしたが、その時の鬼塚君の横顔が実に寂しく憂いに満ちた雰囲気だったので思わず声を掛けたそうです。
『私も一杯いいですか』側に近付いて高辻君は笑顔で声を掛けました。これが永いコンビの始まりでした。