寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

彼は優秀か・・・11

2011年09月01日 20時21分33秒 | 噂話

高辻課長は山川君を呼び寄せてこう言いました 。
「今夜の勘定は俺が払うから気にせずやって来れくれ 」
「それと彼女は市内じゃあないからタクシーで送ってやれよ」
それだけ言うと山川君にタクシーチケットを渡しました。
「はぁ…」何かを言うつもりでしたが、何を聞けばよいのか…直ぐに思い付きません。
ペコリと頭を下げると「頑張れよ♪」パンと肩を叩かれ山川君はもう一度頭を下げていました。

それから・・・二人は借りてきた猫・・・(ちょっと古い言い方ですか)みたいにじっと座り込んでいました。お店のほうは心得たもので(・・と言いますのがこの時代、このようなぎこちないカップルには皆が暖かい目で見守っていたのです。) 適当に料理を運ぶ以外には立ち寄らないでいました。
山川君はしきりにタバコを吸っては消し、又吸っては消しを繰り返しているだけで気の利いた台詞なんか出せる状態じゃあありません。単発に「今日はなんだか暑いねぇ」「ええ・・・」「最近仕事忙しい?」「いえ、あまり・・・」「俺もそう忙しくなくて・・・」「・・・」ただ灰皿だけが見る見る間にいっぱいになっていました。やがて・・・時間は過ぎて、(こうなると女のほうが厚かましく出来ているのでしょうねぇ(^^)モジモジして煮え切らない山川君に「私そろそろ帰らなきゃあ」「おっ!もうこんな時間か」我に返った山川君(笑)高辻課長からレクチャーどおりに言いました。「送っていくよ」「ありがとう、でもまだ早いから大丈夫です」なるほど・・時計はやっと八時を過ぎたころでした(^^)
井上さんは座り直しながらおかっぱ髪をサラリとなで上げます。その仕種が妙に色っぽく見えたのです。
何かの行為を終えた後の水商売系の造作に似ていましたが、初心(うぶ)な山川君は気がつきませんでした。むしろ新鮮に映っていたのです。
このとき瞬間的に山川君は恋をしました。たぶん井上さんは気がつかなかったでしょうが、男はこんな謂われないところでふと嵌(はま)ってしまう生き物でした。
「あの・・今度の休みに映画見に行かない」帰り際に山川君は思い切ってアプローチをかけました。在り来たりのセリフですが、この際映画でも魚釣りでも何でもよかったのです。
「はい、」うつむき加減のまま井上さんはうなずきました。(^^)
「じゃあ、又会社で・・・」#なにが会社か分かりませんが要するに詳細は連絡する。ということでしょうね(^^)#ああ携帯があったらメールかなんかで済ませるものを・・・
「おやすみ」「おやすみなさい」居酒屋の前で二人は別れました。
 その姿を少しはなれたところでじっと見ている人影がありました。

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彼は優秀か…10

2011年09月01日 11時35分27秒 | 日記
昨日はお題が抜けてしまいました。すみません。
さて話を居酒屋に戻しましょうか♪
高辻課長の注文に合わせて井上さんもオーダーをしました。
知らないのは強いですね。普段なら自分より先にオーダーされると露骨に嫌がっていた高辻課長がこのときだけは平然としていました。
しかも「へ~井上さんはベジタリアンなんだ♪じゃあ俺も…」なんて高辻課長までも野菜系の料理を頼む始末です。
「何を頼もうかな…」メニューを眺める高辻課長に側の井上さんは一緒になって「課長これなんかどうですか♪」顔をくっ付けるくらい近づけてメニューを覗き込みます。
「そうだねぇ♪」
「あと、これもどうですか」
「これか…」
テーブルの向こう側にいる山川君をそっちのけの二人です。
「いったい俺は…」
山川君でなくとも目の前でいちゃつかれてはおかんむり(怒)になるのも当然です。
そんな山川君に気づいたのか高辻課長がメニューから顔を上げて「山川、お前も好きなもの頼めよ!」
「は、はい」
笑顔なのに高辻課長の目は笑っていません。 …
一通り料理がテーブルを埋めると高辻課長は改めた様子で「山川君こちらは経理の井上さんだ 、こっちは山川君…」
そこまで話すと照れ隠しなのか咳払いをしました。
「山川君は私の下の営業三課で頑張ってもらっている」
こっくり頷く井上さん…
「さてこちらはさっきも言ったけど五階の経理にいる井上さんだ」「井上みゆきです」
フルネームで軽く会釈するときれいなおかっぱ髪が揺れました。
「人格は私がどちらも保証しますよ」
フフッと笑うと高辻課長はコップのビールを飲み干しました。
それを見て山川君ははっとしました。
これはどうもお見合いじゃあないかと!!
当時こんな形で若い男女の仲を取り持つのが割りとありました。 まだまだオープンな恋愛ができない不器用な男女の中を上司や親戚が仲を取り持ちます。 だから未婚の男女の比率はかなり低かったでしょうね。
又未婚は一人前と見られなかった風潮も幅を効かせていました。
女子は結婚して子供を持つことが最大の幸せとしたものでした。
まだ産休や育休なんてありませんでしたから、結婚イコール退社が世間の常識であります。
*女子社員と机は新しい方がいい*なんて(笑)まかり通っていた時代でしたから(笑)。

ところで料理を前に山川君は深いため息をついていました。
よれよれのスーツが恥ずかしいわけでもありませんが、場の雰囲気が妙に堅苦しくて、馴染めません。
そりゃお見合いの席だからでしょうが…
「う~ん… 」
井上みゆきさん… 山川君にはあまり顔馴染みではありませんでした。いつも自分の所属する三階辺りをうろうろするだけでたまに旅費の精算をやりに上がった五階の経理課は漠然としていました。
経理員は皆が下を向いて電卓を叩いている姿はとても気軽に声を掛ける雰囲気でありません。
おまけに井上みゆきさんの姿は地味なスーツを着込んではいますが、田舎者丸出しの格好でした。
おかっぱ髪に細長い瞳、瓜ざね顔(やや細長い)紅が唇いっぱいに塗られていました。
それでいて妙に色気がある、いわゆる男好きのするタイプでした。
「この子と結婚するのか…」
ぼんやりと山川君井上さんをは眺めていました。

「さあ二人とも飲んで!」高辻課長がけしかけます。

「はい!」山川君は我に帰りました。
「私…ちょっと」
「そうか、井上さんは飲めなかったんだな」「はい、すみません」あれっ、なぜ課長は知ってるんだろ…?
そうか、顔の広い課長だからなぁ…
山川君は一人自問自答でした(笑)
小一時間経ちましたか、主に高辻課長が話をする間山川君と井上さんは相づちこそ入れますが、先頭に立って話すことはありません。 お互いを意識をしながら小さな皿をつついているだけでした。 最初井上さんが山川君を見て以来ついぞ目が会うことはなかったようで、 気恥ずかしさの賜物でしょうね(笑)
それに引き換え山川君は男の子でした(笑) おまけに営業マンですから、厚かましく、遠慮がちに観察していたと言います… (笑)
「あぁ、俺はねぇちょっと用事があるからこれで失礼するよ」
高辻課長は腕時計を見ながら突然席を立ちかけました。
「えっ」
二人が同時に高辻課長を見ました。
「まだ時間は早いし後は二人でゆっくりしてくれよ」
そう言うが早いか高辻課長は立ち上がって靴を吐き出しました
「課長…」
まだろくすっぼ喋ってもいないうちに仲人に席を立たれては経験の浅い山川君はどうしていいのか分かりません。
そんな不安げな山川君を呼び寄せて高辻課長は耳打ちをしました。
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