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日本と泰国の環濠集落・#5

2017-02-06 08:12:03 | 古代と中世
<続き>

先史時代のコラート高原は、モン・クメール系の民族が先住していたであろうと思われる。コラート高原にはそれらの先住民の環濠集落を見ることができる。先にカラシン県ファーデート・ソンヤーン環濠集落を紹介した。それは規模の大きい環濠であるが、小規模の環濠集落も存在する。
前600-前500年頃から、少なくともアンコール朝まで継続していたパノム・ワン環濠集落がそれである。
高度を少し下げ、高度1010mの衛星写真である。この写真からは、これが環濠だ・・・と思われる痕跡は見いだせない。
パノム・ワン環濠集落はナコーンラーチャシーマ県に存在する。コラート高原のクメール時代の中心的遺跡にパノム・ルン遺跡が存在するが、パノム・ワン環濠集落は、アンコール朝以前にモン・クメール系の民族が築いたであろう。
次は同じく先史時代のコラートのヌンウローク環濠集落とバン・ノンワット環濠集落で、双方は近距離に存在する。双方共にドヴァラバティー時代前期に築かれていた。


今回紹介したのは、いずれも小型の環濠集落であるが、もっと大型の環濠集落が存在した事例を次回紹介したい。

<参考文献>
鹿児島大学法文学部紀要所収:東南アジアの都市形成とその前提・新田栄治著





                                   <続く>