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世界の街角

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出雲と古代朝鮮(九)・装飾大刀

2021-02-21 06:23:20 | 古代出雲

<続き>

久方のシリーズ再開である。今回も双方の交流を示すであろう考古学的裏付けで検証してみる。今回は装飾太刀について記述する。

装飾大刀とは把頭に環状の装飾金具を持つ大刀で、この環頭には龍文、獅噛文(しがみもん)、鳳凰文などの聖獣文や三葉文、三繋環などの幾何学文がある。

6世紀前半の安来市・仏山古墳からは獅噛環頭大刀が出土している。6世紀後半になると、松江市・御崎山古墳から獅噛環頭大刀と金銀装大刀更には円頭大刀が、同市岡田山古墳からは三葉環頭大刀と「額田部臣」銘大刀が出土している。ほかに安来市・鷺ノ湯病院跡の横穴墓からは龍鳳環頭大刀が、同市・高広1区1号横穴墓から圭頭(けいとう)大刀、おなじく高広3区1号横穴墓から双龍環頭大刀が、また同市・臼コクリS-2号横穴墓から単鳳環頭大刀が出土している。

①単鳳環頭大刀 安来市・臼コクリS-2号横穴墓

②双環頭大刀  安来市・高広4区1号横穴墓

③円頭大刀   松江市・御崎山古墳

④三葉環頭大刀 松江市・岡田山1号墳

⑤獅噛環頭大刀 松江市・御崎山古墳

⑥獅噛環頭大刀 安来市・仏山古墳

⑦双龍環頭大刀 奥出雲町・原田古墳

6世紀末になると、出雲市・築山古墳から金銀装円頭大刀、同市・国富中村古墳からは圭頭大刀が、安来市・かわらけ谷横穴墓から金銅装双龍環頭大刀が出土している。7世紀初頭になると奥出雲町・原田古墳から双龍環頭大刀が出土している。

(金銀装円頭大刀 出雲市・築山古墳)

尚、松江市・岡田山1号墳から出土した『額田部臣』銘大刀は、6世紀後半には既に大和王権の配下になっていたであろうことを物語る。この大刀の柄頭や銘文十二文字の稚拙さは、新羅渡来人の子孫の製鐵工人が作った可能性があると・・・指摘する識者が存在するが果たしてどうか。尚、柄頭の亀甲文様は、新羅の馬具や鏡の文様に似ているとの指摘がある。

(韓国・国立金海博物館展示)

(韓国・国立金海博物館展示)

上の写真は、韓国・金海市の国立金海博物館展示の装飾環頭大刀二振である。古代の文化・文物は何でもかんでも半島渡来との説には抵抗を覚えるが、これらの装飾大刀は、半島渡来ないしは何がしかの影響を受けていると考えざるを得ない。

<続く>

 


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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ストライベック (LLMインストラクター)
2025-04-28 02:11:19
最近はChatGPT(LLM)や生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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特殊鋼ナノサイエンス (チームスサノオ)
2025-07-01 11:47:27
日経クロステックの記事に去年ののノーベル賞は「「AIの父」ヒントン氏にノーベル賞、深層学習(ディープラーニング)の基礎を築いた業績をまとめ読み」と題して紹介されていましたが、物理学賞、化学賞ともにAIがらみあったんですね。しかしながらブラックボックス問題の解明には至っていないようです。AI半導体大手のNVIDIAのCEOも「AIと日本の優れた製造業、ロボット技術を合わせれば、日本は新しい産業革命を起こせる」と述べ、日本が持つ可能性に対して強い期待感を表明している。このようなAI技術は地球環境問題だけでなく人口減少に伴う労働力不足の解決策ともなろう。今後ロボットは高度な多軸、多関節化がおこることが予想されるため日本人の経営者も指導力を発揮すべきでは。
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