多種多様な埴輪は東国に存在し、西国のそれは多様性について東国に劣る。西国と畿内における埴輪は今城塚古墳がピークであり、6世紀後半には埴輪そのものが退潮する。一方、関東では6世紀後半に埴輪作りが盛行し、多様な埴輪が出現する。
思うに継体大王の頃は、王権の縛りがあったかと思えるが、安閑・宣化に至り縛りが緩んだ結果であろう。
以下、糸魚川ー静岡構造線をもって東国と西国に区分し、今回の「はにわ」展で見たかった埴輪を紹介する。
<東国>
笑う男子埴輪 6世紀 群馬・藤岡市下毛田出土 九博にて
魚形埴輪 6世紀 千葉・芝山町白桝遺跡出土 芝山古墳博物館 九博にて
鵜形埴輪 5世紀 高崎市保渡田八幡塚古墳出土 かみつけの里博物館 九博にて
魚と鵜の埴輪は本邦唯一と思われ、東国の多様性と云うか自由度の高さが窺われる。
鷹匠埴輪 6世紀 太田市オクマン山古墳出土 新田荘歴史資料館 九博にて
西国にも鷹匠埴輪が存在するが、造形的には当該埴輪が最も優れている。
踊る人埴輪 6世紀 伝群馬県出土 埼玉県立さきたま史跡博物館 九博にて
踊るひとびと埴輪 6世紀 熊谷市野原古墳出土 東博 九博にて
踊るひとびと埴輪となっているが、これは持ち物からして馬曳人埴輪と云われている。
<西国>
模造船形埴輪 原品・国宝 5世紀 松坂市宝塚1号墳出土 九博にて
鰭付楕円筒埴輪 3~4世紀 奈良・天理市東殿塚古墳出土 天理市教育委員会 九博にて
船形埴輪ではないが、船が線刻されている。鳥がとまり、旗がなびいている。
両面人物埴輪 6世紀 和歌山・大日山35号墳出土 紀伊風土記の丘資料館 九博にて
今回紹介していないが、西国ではなぜか紀州に独自性の強い埴輪が存在する。その一つが上掲の両面人物埴輪である。
<了>
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