世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

敢木丁コレクション受贈記念展・富山市佐藤記念美術館#2

2016-12-14 08:17:01 | 博物館・富山県

<続き>

敢木丁(カムラテン)コレクションにおけるサンカンペーン陶磁で、最も優れていいるのは、図録番号67の鉄絵草魚文盤である。図録に寸法は記載されていないが、径は22-23cm程度の比較的小型の盤である。下の写真はその鉄絵草魚文盤であるが、この写真は京都・東南アジア陶磁館で頂いた自家本図録より転載したものである。

見込み中央に顔面が下向きで、鱗の代わりに草花文が魚体に描かれている。カベットには右向きの魚が三匹描かれている。この盤を見せられた時は、さすがに驚いた。初見はさることながら、デザインのアイデアに驚いたものである。サンカンペーン盤の五指の一つである。

 

上に掲げた2点の盤の双魚文はサンカンペーンでは一般的なデザインである。直上の魚文のように頭部を塗りつぶした盤も多々みる。

これもびっくりした盤である。あまりにも稚拙な運筆で後絵を疑ってみたが、そうでもなさそうである。これも印象に残っている。

 

 

これらの文様は、幾何学的な文様であるが、サンカンペーンでは好んで描かれた文様で、それなりの数量が残存している。

個人的には日輪を表していると理解しているが、この手の印花文はサンカンペーンでよく見る文様である。

この印花双魚文盤は、サンカンペーンの特徴をいかんなく発揮している。油を弾いたような表情をみせる褐釉は、サンカンペーンの最大特徴の一つである。

白化粧後箆のような道具で、カベットに縦筋をつけ、白化粧を掻きとったのちに焼成したものである。これもサンカンペーンの盤の装飾技法のひとつである。



                                     <了>


敢木丁コレクション受贈記念展・富山市佐藤記念美術館#1

2016-12-14 07:08:17 | 博物館・富山県

過日、富山市佐藤記念美術館にて、敢木丁(カムラテン)コレクション受贈記念展を観覧した。当該コレクションは京都・東南アジア陶磁館の旧蔵品で、特に今回の記念展で多くの出品があったクメール陶が著名である。

 

残念ながら写真撮影禁止であった。前置が長いが、京都・東南アジア陶磁館の館長兼コレクションオーナーから、クメール陶の図録を頂戴しており、転用の許可を頂いているが、今回は遠慮しておく。
今回の出品リストと記念展開催のパンフレットを下に掲げておく。特に上写真の象形壺は灰釉に褐彩で、釉薬の発色もよく且つ傷もない完品で秀逸である。

 

 

 

クメール陶については、37点展示されているが、これはコレクションの一部で、その全貌は下の図録で見ることができる。

と云うことで、まともな展示品の紹介にはならなかった点お許し願いたい。サンカンペーン陶磁は、僅か2点の紹介のみであったが、過去に京都・東南アジア陶磁館でサンカンペーン陶磁盤を全て見ることができた。残念ながら記憶媒体をミスで消去してしまったが、館長より図録を頂戴している。その図録の転載許可を頂いているので、次回それを紹介する。




                                   <続く>