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「64(ロクヨン)」を読むにあたり、未読であった同じD県警シリーズの「陰の季節」と「動機」を読んだ。警察小説でありながら犯人と直接対峙しない部署で働く人たちの物語が描かれている。「64(ロクヨン)」もまた記者クラブの記者たちと対峙する広報部の広報官が主人公である。タイトルの「64(ロクヨン)」とは昭和64年に起きたとされる未解決の誘拐殺人事件を指す隠語として登場する。
さすがに元新聞記者であるだけあって、広報部と記者クラブとの間で繰り広げられる闘争はリアルで息苦しく逃げ場のない重たさがある。主人公の三上はストーリー構成上、多少のスタンドプレー感が否めないが全体的には我々が警察小説に求める主人公たちの「清清しい活躍」「巧妙なトリック」「絶妙な謎解き」というものは存在しない。それらが存在しないかわりに、ここに登場する登場人物は常に迷い、煩悩をたぎらせ、そして一歩職場を離れれば私人の顔を持ち、常に葛藤に押しつぶされまいとしながら生きているように見える。だから読んでいてとても重苦しい。それでいて、読み続けながらも続きが気になって気になって仕方が無くなるほど読み耽ってしまうのは横山氏の筆の力なのだと思う。一つの完成された小説としては素晴らしいと思う。感動した。
今年の4月よりNHK「土曜ドラマ」にてピエール瀧主演でテレビドラマ化される予定があり、また、来年には佐藤浩市主演で、2部作の映画が予定されているという。もし、私がキャスティングを自由に決めることができるなら、以下の配役でお願いしたいところである。
三上広報官:堺雅人
三上美那 :吉田羊
三上あゆみ:???
諏訪:須田邦裕
蔵前:野間口徹
美雲:尾野真千子
雨宮 芳男 :橋爪功
赤間警務部長 :飯田基祐
石井秘書課長 :佐戸井けん太
二渡調査官 :椎名桔平
松岡捜査一課長:吉田鋼太郎
辻内本部長 :堤真一
糸川次席 :松尾諭
荒木田刑事部長:西田敏行
秋川(東洋新聞) :浅香航大
山科(全県タイムス):ムロツヨシ
幸田一樹 :滝藤賢一
村串みずき:鈴木紗羽
陰の季節 (文春文庫)
動機 (文春文庫)
64(ロクヨン) 上 (文春文庫)
64(ロクヨン) 下 (文春文庫)
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