我々の身の回りにあるマンションや戸建住宅の外観についてのことが書かれている。収録されている建築物群は、フツーに私たちの家の隣や勤め先のビルの隣に建っているようなフツーの建物ばかりである。
それらは、一見すると建築士先生たちの手腕により屋根のカタチや壁の位置が、自由な設計の下でデザインされているかのように見えるのだが、実はそのカタチのほとんどが「法の名の下」に様々な規制を受けた結果の造形である。
建築法規の根幹を成す建築基準法だけでなく、都市計画法、港湾法、航空法、児童福祉法・・・と数限りない制限の上に建てられているのがよくわかる。
掲載写真に引かれた形態制限を示す規制ラインの存在をまざまざと見せつけられることとなる一冊でなのである。本書解説には根拠となる法令が記されていて、かなり本格的な印象も受けるのだが、むしろ本書は建築関係者以外のために作られた本ではなかろうかと私は思っている。
絶妙なアングルから撮影された建築写真とその写真に書きこまれた見えざるラインのマッチングに、あらためて「へぇ~」と唸らされることもしばしばなのだ。かなりライトな本である。しっかり読んでも一時間とかけずに読みきってしまえる本なので、興味の有る人は大型書店へGO!
ほんっと、役所仕事はーとグチをいいながら理想をめざす建築士さんたちの呟きが聞こえそう。