まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

台風一過

2004年09月08日 23時08分27秒 | 自然
 恐ろしく大きな被害を出した台風は、ようやく温帯低気圧になったそうだ。勤め先が港町のはずれにあるのだけれども、海水が排水溝から逆流して町にあふれ出し、事務所のすぐ近所まで浸水していたのには驚いた。おかげで国道は通行封鎖され、その迂回路として事務所前の道路は大渋滞。おまけに緊急車両がひっきりなしに不安な音色を発しながら、そこかしこと走り回っているそんな夜であった。

 事務所の入居しているビルを出て、少しだけ浸水現場に立ち寄ってみたが、ものすごい暴風で通行封鎖された交差点の向こうの路面は絶えず大きな波紋が立っていた。大気中の塩分濃度はかなり高く、少し歩いただけで口の周りが塩辛くなる始末。

 風に煽られて転倒の危機も感じたのはこのときが始めてで、まっすぐ帰宅の途に向わずに寄り道しているので、ここで大事を起こしたら、『台風シーズンにバカンスに出てて帰って来られないくらい』恥ずかしいので、咄嗟に身を屈める。その刹那、脳裏にこんなアナウンスが駆け抜けていく

「帰宅途中の会社員が風に煽られて転倒、胸部骨折の重傷、これで台風によるケガ人は○人になりました」

 とにかくこんなに文明が進化しているのにも関わらず、人は「ただ渦を巻いて流れてくる雲」に対して無力なのですね。大雨や台風が来ると楽しくて仕方がなかった少年の時期に、ある教諭から事業中にこんな言葉を聴かされたことがあった。

「ニンゲンは風が吹いただけでも、雨が降っただけでも命を落とすことがある」

 だから、どうなんだということでもないのだけれど、それが現実なのだなあとこの季節になると、ついついそんな言葉を思い出したりする今日この頃。