およそ3年前。JR東京駅の東海道線ホームの東端は写真のように文字通り終点となっていて、その先は東北縦貫線の建設工事中なのであったが、
現在はめでたく上野駅を終端とする常磐線の線路と繋がり相互直通運転が可能になった模様。
しかし現在は試運転走行しかしておらず、来年の春のダイヤ改正で営業運転が始まるという。
東京駅を出ると線路は右へ左へ蛇行しすぐに急な坂を登り始める。余っているスペースを無理繰り利用して通した感がある。
実は2012年1月に上京した際に撮った工事の模様をブログにアップしようと思っていたのがずるずると出来なかったまま今まで放置されていたので、これを機に書いてみるとしよう。
東京を出てすぐに登り坂になるのは東京~秋葉原間、特に神田駅付近は平面的に新線が通るスペースが無いのである。何故ならばいちばん西側のスペースは東京駅で一段高い位置を走っていた中央線が一般線路の高架レベルまで降りてくるし、一方の東側のスペースには「東北・上越・秋田・長野」の新幹線の線路がいるからである。写真は神田駅南端から東京駅方面を望んでいる。右側の登っていく高架が中央線の線路で、左側の降りていく高架が東北縦貫線の線路。
だからこの区間は新幹線の線路の上を跨ぐ感じで新設されているのである。しかも営業運転している新幹線の線路の頭の上で工事をするのだからこれまた難工事中の難工事なのだと思う。
幼少の頃、東京から山手線に乗って上野に向かう山手線の車窓から見える風景を見ていて、『東京駅の北側には東海道線の車両の留置線が神田駅の方まであって、上野駅の南側には秋葉原を過ぎるところくらいまで東北線・常磐線の車両の留置線があるのに、何故稜線を繋げて運転しないのだろうか?』と思っていたのだが、それは「繋がなかった」のではなく「繋げなかった」のである。
では、今、これだけ危険な難工事をしてまで何故に両線を繋げようとしているのか?
表向きの理由は混雑率が大変な山手線&京浜東北線の混雑緩和に寄与するためということになっているが、本当にそれだけの理由のためにと言えば、実はそれだけのためではない。
ここから先の写真は、また別の用で今年の7月に東京に行った際に撮った品川駅の写真である。ホームの改良工事をしていて、大阪駅や新大阪駅の様に営業運転をしながら休止するホームを一本一本ずらしながらホームのカタチを整えて行っているのである。これは何のための工事かと言うと、品川駅と田町駅の間に新駅を設けるためである・・・そう書くと短絡的過ぎて何のことかよくわからないだろうし、東北縦貫線の築造と何の関係があるのか?と思うかもしれないので、もう少し詳しく書くとしよう。
東北縦貫線の開業に寄り東海道線の営業運転上の終点は東京駅でなくても良くなる。つまり必ずしも東京駅で全ての列車を折り返さなくても良いことになり、始発駅&終着駅の機能を持つ駅のそばに車両基地を設けなくても良いことになる。そのため、車両基地に留置の必要な車両を上野以北まで走らせてしまえば品川駅の北側に広がる広大な車両基地は要らない存在となる。
不要になった車両基地を現在挟み込むように走っている。東海道線・山手線・京浜東北線の線路を寄せてしまえば既存の都市に隣接した巨大な商業地の開発を行うことができるのである。そして、その土地に接続可能な最寄駅である新駅を設置すれば、
東北縦貫線の建設費用なんて簡単にペイできてしまうのである。だから、東北縦貫線の建設は品川の車両基地のある一等地を開発するための伏線であると言っても過言ではないのである。