「源氏物語を読む」シリーズの9回目。「葵」です。メモとして書き残しておきます。
・背景となる政治力
「葵」の帖は物語が大きく動き始めます。動き始めるきっかけとなったのは桐壺帝の譲位です。朱雀帝の世になったので、朱雀帝の母の弘徽殿の女御の父である右大臣が権力を握ります。弘徽殿の女御にとって源氏はにっくき桐壺の更衣の子供であり、右大臣家にとっては源氏は敵役になってしまいます。源氏にとってはあまりいい状況ではありません。
・車争い
有名な車争いが前半のハイライトです。賀茂祭において六条の御息所と葵の上の車が場所取りでケンカになってしまいます。六条の御息所はしょうがないと思いながらも、意識の下ではかなりの恨みを感じていたようです。それが怨霊となって葵の上を苦しめて死に導くことになります。
作者は無意識を認識していたように感じられます。自分の心を理性では抑えていても、無意識にたまっっていき、それが夢に出てしまうと考えていたようです。その夢が怨霊になるというのは科学的ではありませんが、他人のうらみが人にストレスを与え苦しめるという意味ならば、現代にもあてはまります。
単なる空想でかたずけていいものではなさそうです。
・紫の君との新手枕
葵の上の死の喪が明ける前に、源氏は紫の君との初夜をむかえます。さすがは源氏です。源氏が満20歳ぐらい。紫の君が満13~14歳くらいでしょうか。紫の君はかなりショックだったようです。当然ですね。お兄ちゃんだと思っていた男がいきなり性行為を迫ってきたのですから。
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