山形市、東ソーアリーナで二兎社『鴎外の怪談』を見ました。権力の横暴に苦しむ人々を描く傑作です。
作・演出 永井愛
出演 松尾貴史 瀬戸さおり 味方良介 渕野右登 木下愛華 池田成志 木野花
大逆事件を題材として、森鴎外やその周辺の人物がどのように大逆事件に翻弄されていたのかが描かれる作品です。
大逆事件については私もこれまであまり関心がありませんでした。調べてみると、明治天皇の暗殺を計画したとして、全国の社会主義者や無政府主義者を逮捕・起訴して死刑や有期刑判決を下した政治的弾圧事件ということでした。幸徳秋水をはじめとする多数の社会主義者・無政府主義者が逮捕され、証拠不十分なまま死刑24名、有期刑2名の判決がでました。
その事件に森鴎外が関わっていたという説があり、それをもとにした作品です。
敵対する勢力を排除するために権力を用いる時代は過去のものだと思っていました。しかし今日もモリカケ問題と、権力の維持のためになんでもありの様相です。モリカケ問題はスケールが小さいのですが、沖縄の米軍基地の問題など大きな問題も解決しないままになっています。
そのような権力の横暴は庶民の心を翻弄します。じわりじわりと首をしめていきます。その苦しさを覚えさせる演劇でした。
松尾貴史さんが急病になり、延期されての公演でした。本来ならばすべてが終わっていた日に上演してくれました。無理をなさってくれたのだと思います。ありがとうございます。
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